JR日高線の鵡川~様似間の廃止が固まりました。日高管内7町長がバス転換に向けてJRと個別協議に入ることを決めました。
町長会で多数決
JR日高線は、2015年1月の高波被害で、鵡川~様似間が不通になっています。JR北海道は、全線復旧する場合、復旧費用を86億円と見積もったうえで、運行のため年間13億4000万円の維持費がかかるとし、廃止とバス転換を求めています。
この問題について、日高管内7町長は2019年11月12日に臨時町長会議を開き、各町がバス転換に向けてJRと具体的な協議に入ることを決めました。
会議は非公開で行われ、鵡川~様似間の全区間で廃止、鵡川~日高門別間の一部復旧、全区間復旧の三択で多数決が取られました。その結果、鉄道を復旧させる案を支持したのは浦河町だけで、6対1で鵡川~様似間の全区間をバスに転換する方針でJRと協議することを決めました。一部存続を求めていた日高町も、今回は全区間廃止に賛成票を投じました。
「廃止容認ではない」
会議後、7町長がそろって記者会見を行い、日高町村会長の坂下一幸・様似町長は「鉄路の廃止を容認するということではなく、バス路線になった場合、どういう日高沿線の交通体系になるのか、町の振興策についてどうしてくれるのか、7町がJR北海道と個別の協議に入ることを正式に確認できたということだ」と述べました。
廃止容認ではなく協議に入るだけだ、という論理ですが、協議の結果として鉄道維持に戻る可能性は限りなく低く、鵡川~様似間は、2015年1月以来復旧しないまま廃止となる見通しとなりました。各町ごとの個別協議は2020年3月末をメドに合意を目指します。
留萌線、根室線はどうなる?
JR北海道が「単独では維持困難」として廃止・バス転換を求める5線区のうち、廃止となるのは、石勝線・新夕張~夕張間、札沼線・北海道医療大学~新十津川間に続いて3線区目です。5線区のうち残るのは留萌線・深川~留萌間と、根室線・富良野~新得間の2区間です。
このうち、留萌線の深川~留萌間については、留萌市が存続を強く求める方針を転換し、廃止した場合のバス輸送などについて、今後、JRとの個別協議に応じる姿勢をみせています。
根室線の富良野~新得間では、途中の東鹿越~上落合信号場間が2016年8月の集中豪雨により被災し、いまも不通となっています。同区間の復旧には10億円の工費がかかるとされ、運転再開の目途は立っていません。
日高線の廃止方針決定は、これらの区間の議論にも影響を及ぼしそうです。(鎌倉淳)