一畑電車が新車投入で増便へ! 2017年4月1日ダイヤ改正で、山陰のミニ私鉄が健闘中

島根県の一畑電車が、2017年4月1日にダイヤ改正を実施します。新型車両7000系の増備にあわせ、平日で2本、休日で3本の運転増をおこないます。

広告

デハ7000系を新製投入

一畑電鉄は、島根県内を走る山陰唯一の私鉄です。北松江線(電鉄出雲市~松江しんじ湖温泉間)と大社線(川跡~出雲大社前間)の2路線を運行しています。

ローカル私鉄の宿命として経営は苦しく、一畑電車の2014年度の輸送密度は1709人キロにすぎません。地元自治体では存続へ向けて「一畑電車沿線地域公共交通総合連携計画」を策定し、2011年度から2020年度までの10年間で総額61億円を投じ、運行の基盤部分を支援しています。

具体的には、老朽化した車両6編成12両を廃車にして、新車の単行車両4編成4両と中古車両3編成6両によって更新します。また、既存車両4編成8両の15年程度の延命化措置も進めています。

こうした支援により、2016年12月には、同社86年ぶりの新車となるデハ7000系が登場、2017年3月11日には、第2編成が営業運転を開始します。

一畑電車7000系
画像:一畑電車

平日2本、土休日3本増

2017年4月1日のダイヤ改正は、このデハニ7000系の投入を受けてのもの。ダイヤ改正により、全体の運行本数は平日が現在より2本多い98本に、土曜・休日は現在より3本多い85本になります。

初発の繰上げと終発の繰下げも実施されます。たとえば、平日ダイヤの電鉄出雲市発の初電が、これまでの06時34分発から06時09分発に繰り上がります。松江しんじ湖着の終電は、これまでの22時38分着から23時11分着と繰り下がります。

平日朝に運行されている、電鉄出雲市発~松江しんじ湖温泉行きの特急『スーパーライナー』は停車駅が増えます。新たに停車するのは、布崎・津ノ森・秋鹿町・松江イングリッシュガーデン前の各駅。全体の所要時間は現在より2分長くなり、43分となります。

人口減を乗り切れるか

初電の繰上げと終電の繰下げは、上記「一畑電車沿線地域公共交通総合連携計画」にも記されており、自治体の支援で車両が増備されたのを受けて、一畑電車側が約束を実行した、という形になります。

ローカル線といえば「減便」の話題が多いなか、1日数本であっても増便とは明るい話題です。とはいえ、現状の輸送密度が2000人キロ以下は、鉄路維持にはぎりぎりの数字といえます。

島根県は人口減少に転じており、一畑電車でも沿線住民がこれから減っていくのも気がかりです。ただ、最近は外国人旅行者が増えるなどの明るい話題もあるそうで、新車と増便効果で巻き返せるか、山陰のミニ私鉄の健闘に期待したいところです。(鎌倉淳)

広告