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鉄道未来年表

『鉄道未来年表』好評発売中! 全国の鉄道新線計画がまるわかり

『鉄道未来年表 5年後・10年後・20年後』(鎌倉淳著、河出書房新社刊)が好評発売中です。現在進行中の鉄道新線計画や、ローカル線の将来像などについてまとめた一冊です。概要をご紹介しましょう。 鉄道を取り巻く新たな社会情勢 人口減少時代に入り、日本の鉄道は新たな局面を迎えつつあります。大都市の鉄道では輸送力増強の必要性が減り、乗りやすさや使いやすさ、安全性の向上などが重視されるようになってきました。 郊外や地方都市の路線では、利用者減少を食い止めつつ、路線を健全に維持していくことが課題です。外国人観光客や高齢者が増えたこともあり、あらゆる人が使いやすいユニバーサルデザインの必要性も高まっています。 鉄道新線計画で増えているのは、空港や新幹線駅へのアクセスを改善する路線です。整備新幹線は全線着手が視野に入る段階になり、基本計画路線の建設へ向けた動きが活発になってきました。 本書は、こうした鉄道を取り巻く新たな社会情勢に基づいて、新線や新駅、新車両、ローカル線の再構築などについて、現在決まっていることや将来の見通しを紹介するものです。 鉄道新線計画を中心に紹介 「鉄道の未来」というテーマは非常に大きいですが、紙幅には限りがあります。そのため、本書では、実現可能性のある鉄道新線計画の概要を中心に取り上げ、利用者の関心が高い内容に絞って記載しています。 既設線については、おもに都市鉄道で人口減少がどういう影響を及ぼすかについて概観しました。ローカル線は、最近整備された制度に基づく方向性を示しました。特定の線区について、その存廃を予測するものではありません。 今後の新型車両の導入予定については、公表されている範囲でまとめてあります。ただし、鉄道技術の進歩などについては、ほとんど触れていません。そうした未来を知りたい方には、残念ながら物足りない内容でしょう。 なお、構成は序章で年表形式を取り入れ、1章以降はテーマごとに記しています。 「鉄道未来年表」内容構成詳細 序章 鉄道未来年表2025~2050 2025~2030年の鉄道未来年表/2031年~2040年の鉄道未来年表/2041年以降の鉄道未来年表 1章 人口減少時代の鉄道の未来 鉄道各社が有料着席サービスに注力する事情/人口減少は鉄道の未来にどれだけの影響を与えるか?/鉄道会社を悩ませる「働き方改革」/京阪が火をつけた関西の有料着席サービス競争/近畿圏の人口減少は首都圏よりも深刻/これからの都市鉄道で何が起こるか?/ローカル線には厳しい未来が待ち受けているのか?「相鉄・東急新横浜線開業」に見る社会情勢の変化/都市鉄道の未来像を示した「答申198号」を読みとく/近畿圏の新線建設が「これから容易ではない」理由/「鉄道整備の評価方法」の読み方/新線計画を「物価高と人手不足」が襲う/運転士不足で公共交通の支え手がいなくなる/バリアフリー強化で鉄道は「より便利で安全な乗りもの」に/インバウンドという「救世主」をどう取り込むか?/未来の鉄道に求められる「ユニバーサルデザイン化」 2章 東京圏の鉄道の未来 JR羽田空港アクセス線、2つのルートが開業へ/京急は品川駅大リニューアルでJRを迎え撃つ/羽田空港アクセスの伏兵「新空港線」が誕生/成田空港の旅客ターミナル再編で新駅設置へ/東京メトロ南北線の品川延伸が持つ意味とは/東京メトロ有楽町線の住吉延伸で利便性が向上/「東京8号線」延伸という大構想、今後どうなる?/つくばエクスプレスは双方向で延伸を目指す/いよいよ動き出した都心部・臨海地域地下鉄の全貌/都営大江戸線の大泉学園延伸、着手へと進む/埼玉高速鉄道の延伸計画に立ちはだかる壁とは/「エイトライナー・メトロセブン」構想は動き出すか?/葛飾区が熱望する「新金線旅客化」実現のカギとは/壮大な多摩モノレール延伸構想、その現在地は?/小田急多摩線の延伸計画は、2027年まで動きなし/横浜市営地下鉄ブルーライン、日本最長の地下鉄へ/完成形が見えない横浜市営地下鉄グリーンライン延伸構想 3章 大阪圏の鉄道の未来 なにわ筋線の開業が「革命的」である理由/阪急大阪空港線計画も動き出す?/大阪モノレール延伸で大阪空港アクセスが向上/近鉄奈良線から大阪メトロ中央線へ、直通特急計画の狙い/IR予定地への新線計画、各社が抱える思惑と不安とは/「神戸空港地下鉄」実現の可能性はあるか? 4章 新幹線と並行在来線の未来 リニア中央新幹線の品川─名古屋間、開業後の姿は?/東北・北海道新幹線、札幌延伸と時速360km運転の夢/北海道新幹線「函館駅乗り入れ」は実現するか?/一部区間のバス転換に合意も、函館線の未来は課題山積/三セク鉄道の生命線「貨物調整金」制度はどうなる?/青函トンネル共用問題と「貨物新幹線」構想の現在/先行きが見通せない北陸新幹線の新大阪延伸/西九州新幹線に立ちはだかる佐賀県の「正論」/整備新幹線の建設スキームは曲がり角に/新幹線の基本計画路線は、全部建設されるのか?/国交省が検討する「新幹線の効率的な整備手法」とは/北海道新幹線の旭川延伸と北海道南回り新幹線の可能性/羽越・奥羽新幹線実現の突破口はどこに?/北越急行がミニ新幹線になる?「新潟県内鉄道高速化」のゆくえ/四国新幹線計画は「十字型ルート」で4県が合意したが…/山陰・伯備新幹線を実現させる方法はあるか?/東九州新幹線は「日豊線ルート」と「久大線ルート」、どちらに? 5章 地方鉄道の未来 滑り出し好調な宇都宮ライトライン。延伸計画も加速/那覇でもLRT計画が具体化。その全貌とは/広島の新たな玄関口に路面電車が乗り入れる/各地で進む路面電車延伸計画の現状は?/広島アストラムライン延伸、最後の新交通システム建設に?/熊本空港アクセス鉄道、ついに実現へ/新千歳空港駅大改良で空港アクセスの利便性が向上/「沖縄鉄軌道」で、沖縄本島の公共交通が激変/富士山登山鉄道構想、日本最高所への路線は誕生するか?/ひたちなか海浜鉄道、廃線間際からの延伸実現/城端線と氷見線の再構築事業はローカル線維持のモデルとなる?/「ローカル線の再構築事業」とは/再構築協議会の設置を自治体が警戒する理由/肥薩線「八代─人吉間」、土壇場からの復旧実現/近江鉄道の存続を沿線自治体が選択した事情/北陸鉄道、「バス転換不可能」で存続へ 6章 車両ときっぷの未来 最後の寝台特急車両「サンライズエクスプレス」の見えない将来/特急「やくも」新型車両から読む「鉄道の未来」とは/非電化区間に新タイプの車両が続々。液体式気動車は絶滅危惧種に?/新幹線、在来線、私鉄…新型車両導入の動向は?/ワンマン運転からドライバレス運転への移行状況は?/「みどりの窓口」縮小を進めるJRの事情とは/鉄道各社が磁気券をQRチケットに切り替える理由/クレジットカードのタッチ決済も全国へ拡大/交通系ICカードはさらなる進化を遂げる/顔認証に無線通信認証…タッチレス改札が次々登場 過去と未来 鉄道の建設・運営は、国の政策の影響を強く受けます。したがって、国の方針を確認すれば、未来の鉄道の姿を、ある程度は予見できます。そのため、本書では、国交省の有識者会議の答申やとりまとめ、それに基づいて制定されたガイドラインなどをベースにして、鉄道の将来像を見通す形にしました。個々の計画については、地方自治体や鉄道事業者などが作成した資料を参照しています。 未来を語るには、過去を振り返る必要もあります。鉄道プロジェクトは一つ一つに長い経緯があり、構想から実現まで数十年かかることも珍しくありません。10年後を見通すには20年前から振り返る必要があります。たとえば新幹線の基本計画路線については、実現性はさておき、基本計画策定から50年という長い歴史を尊重して、建設運動のある路線についてはできるだけ触れました。 JRには、国鉄分割民営化という重い歴史があります。国有財産を継承した経緯を尊重するならば、利用者の少ないローカル線とて、簡単に切り捨てるわけにはいきません。そうした事情を改めて確認するために、ローカル線の再構築を説明する項では、20年以上前の国会答弁を紹介しています。 ローカル線の未来 ローカル線については、急激な人口減少という、分割民営化時におそらく想定していなかった時代を迎え、いつまでも過去の枠組みにとらわれ続けることができない状況になっています。今後、利用者の極端に少ないローカル線で廃止が進むのは避けられません。 一方で、バスの運転士不足という深刻な問題が広まっています。鉄道を廃止してもバス転換ができないという、こちらも過去に予測できなかった時代が訪れました。 鉄道でも運転士は不足していますが、列車には少ない人員で多数の利用者を運べる利点があります。自動運転へのハードルも、バスよりは低いでしょう。 一方で、保線要員の確保はバス事業者にはないハードルです。今後のローカル線議論では、鉄道をできるだけ維持する前提を置きつつも、いかに維持・活用するかについて、知恵を絞るようになっていくのではないでしょうか。 建設・維持が目的ではない 本書では2050年までの未来を記しましたが、人口減少はその後も続きます。インバウンドは増えるでしょうが、受け入れ能力には限界があり、いずれ頭打ちとなるときが来ます。鉄道新線建設のハードルは上がっていき、建設できる区間は限られていくでしょう。 鉄道新線には夢がありますが、現実をみれば、既設線の維持・更新で手一杯になっていく可能性が高いといえます。 いうまでもなく、鉄道は建設、維持それ自体が目的ではありません。まちづくりに組み込んで、誰もが利用しやすい公共交通を提供することが重要です。今後とも、日本全国の鉄道ネットワークが広く維持され、より使いやすい形に進化していくことを願ってやみません。(鎌倉淳) 『鉄道未来年表』大好評発売中! いつ、どこに新線が開業する? 最高速度はどこまで伸びる? 将来消える可能性がある路線は?……鉄道は5年後・10年後・20年後にどう変化するか。そのスケジュールと変貌の中身を浮き彫りに! 【本書の内容構成】 序章 鉄道未来年表 2025~2050 1章 人口減少時代の鉄道の未来 2章 東京圏の鉄道の未来 3章 大阪圏の鉄道の未来 4章 新幹線と並行在来線の未来 5章 地方鉄道の未来 6章 車両ときっぷの未来 『鉄道未来年表 5年後 10年後 20年後』(鎌倉淳著)河出書房新社より、大好評発売中!
相鉄12000系

東京圏の鉄道新線計画

日本で最も多くの鉄道新線や延伸計画があるのが東京圏です。東京都心にはまだまだ地下鉄計画がありますし、郊外路線でも事業化が予定されている区間があります。 ここでは、東京、神奈川、千葉、埼玉を中心とした東京圏と関東エリアの鉄道新線・延伸計画をご紹介します。 東京都の鉄道新線・延伸計画 JR羽田空港アクセス線 田町付近から羽田空港へ直結するJR東日本の新路線。埼京線やりんかい線との直通も計画。 東京メトロ南北線品川延伸 白金高輪~品川の延伸計画。 東京メトロ有楽町線住吉延伸 豊洲~住吉間の延伸計画。有楽町線本線とも直通。 東京メトロ半蔵門線松戸延伸 押上駅~松戸方面への延伸計画。 都営大江戸線大泉学園町延伸 光が丘~大泉学園町~東所沢の延伸計画。 都心部・臨海地域地下鉄 東京駅から晴海を経て有明・国際展示場付近に至る地下鉄計画。つくばエクスプレスへの乗り入れ構想も。 都心直結線 京成押上~新東京~泉岳寺の新線計画。 つくばエクスプレス延伸 秋葉原~新東京への延伸計画。臨海地下鉄への乗り入れ構想も。土浦への延伸も計画 新金貨物線旅客化 新金貨物線を旅客化し、普通鉄道やLRTを走らせる計画。 新空港線(蒲蒲線) 東急多摩川線蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶ構想。さらに大鳥居から京急羽田線に乗り入れ構想も。 多摩都市モノレール延伸 上北台~箱根ヶ崎、多摩センター~八王子、多摩センター~町田の延伸計画 。 メトロセブン・エイトライナー 環八と環七の地下を走る鉄道計画。葛西臨海公園-亀有-赤羽-荻窪-田園調布。 神奈川県の鉄道新線・延伸計画 川崎市営地下鉄 新百合ヶ丘~武蔵小杉~川崎の新線計画。 横浜市営地下鉄ブルーライン新百合ヶ丘延伸 あざみ野~新百合ヶ丘の延伸計画。 横浜環状鉄道(グリーンライン延伸) 日吉~鶴見、中山~二俣川~東戸塚~上大岡~根岸~元町・中華街。一部はグリーラインの延伸として。 小田急多摩線相模原延伸 唐木田駅以西の延伸計画。 ...
北大阪急行箕面萱野駅

大阪圏の鉄道新線計画

東京圏に次いで多くの鉄道新線や延伸計画があるのが大阪圏です。大阪にはまだ地下鉄計画がありますし、郊外路線でも事業化が予定されている区間があります。 ここでは、大阪、京都、神戸を中心とした大阪圏と関西エリアの鉄道新線・延伸計画をご紹介します。 大阪府の鉄道新線・延伸計画 JR・南海なにわ筋線 新大阪駅~難波駅を結ぶ地下鉄新線計画。 阪急なにわ筋・新大阪連絡線 なにわ筋線と直通する北梅田~十三~新大阪駅の連絡線を作る構想。 阪急大阪空港線 阪急宝塚線の曽根~大阪空港(伊丹空港)の新線計画。 京阪中之島線九条延伸 京阪中之島線の中之島~九条の延伸計画。 大阪メトロ中央線夢洲延伸・森之宮旅客化 コスモスクエア~夢洲の延伸計画(北港テクノポート線)。森之宮検車場線の旅客化。 大阪メトロ今里筋線延伸 今里~湯里六丁目の延伸計画。 大阪メトロ長堀鶴見緑地線延伸 大正~鶴町の延伸計画。 JR桜島線夢洲延伸 JR桜島線の桜島~舞洲~夢洲の延伸計画。北港テクノポート線。 大阪モノレール瓜生堂延伸 門真南駅~瓜生堂を経て堺市までの延伸計画。 京都府・兵庫県・奈良県の鉄道新線・延伸計画 近鉄けいはんな線 近鉄けいはんな線の高の原・新祝園延伸構想。京阪奈新線。
札幌市電

地方圏の鉄道新線計画

東京圏と大阪圏を除くと、鉄道新線や延伸計画は多くはありません。構想だけなら各地にたくさんありますが、実現に向けて多少なりとも動きがあるのはわずかです。 ここでは、日本各地の地方圏の鉄道新線・延伸計画をご紹介します。 東日本の鉄道新線・延伸計画 札幌市電延伸...
E7系北陸新幹線

新幹線の建設計画

新幹線は、建設が決まっている「整備新幹線」と、まだ計画段階の「基本計画線」に分かれます。 ここでは、全国新幹線鉄道整備法に基づいた、新幹線の建設計画をご紹介します。また、既存ミニ新幹線の改良計画も掲載します。 リニアモータカーの建設計画 リニア中央新幹線 ...
高輪ゲートウェイ駅

鉄道新駅計画

全国の鉄道新駅の設置情報をまとめました。たんなる構想ではなく、具体化しているものを中心に取り上げています。 ただし、鉄道の新駅開業予定は実現しなかったり、予定が遅れることも多いので、その旨ご理解ください。 計画中の鉄道新駅 北海道・東北の新駅情報...
西九州新幹線かもめ

開業予定年度

鉄道新線の建設計画を、開業年度ごとにまとめました。開業予定時期がわかります。基本的に事業着手しているか、着手の見通しの付いている路線のみ掲載しています。開業時期が確定していない路線は、目安として記載しています。 鉄道の開業予定時期は遅れることが多いので、その旨ご理解ください。 開業年度ごとの鉄道新線 2024年度 ...
JR羽田空港アクセス線

JR羽田空港アクセス線

JR東日本が計画する、羽田空港と田町、大崎、新木場などを経て東京都心を結ぶ鉄道新線です。2023年6月に着工しました。開業予定は2031年度です。 JR羽田空港アクセス線の概要 羽田空港アクセス線は、JR東日本が計画している新路線です。東海道貨物線の一部を旅客化しつつ、新線も建設し、羽田空港から東京駅、上野駅、渋谷駅、新宿駅、新木場駅などに直通列車を運行する構想です。 計画では、羽田空港の国内線第1ターミナルと第2ターミナルの間に「羽田空港新駅」を設け、東京貨物ターミナルまで約5.0kmの「アクセス新線」を建設します。 そこから田町駅付近への「東山手ルート」、大井町駅付近への「西山手ルート」、東京テレポート駅付近への「臨海部ルート」の3ルートを建設します。将来的には、羽田空港国際線ターミナルへの延伸も検討します。 東山手ルートの概要 最初に着工したのは、東山手ルートです。羽田空港駅から東京貨物ターミナルを経て、田町駅付近で上野東京ラインに合流します。途中駅はありません。 羽田空港~東京貨物ターミナル間は新線(アクセス新線)です。東京貨物ターミナル~田町付近は休止線となっている東海道貨物線(大汐線)を整備・活用します。田町~浜松町間に「大汐短絡線」を建設して、上野東京ラインに合流します。 羽田空港~合流地点(田町付近)の総延長は12.4キロ。内訳はアクセス新線5.0km、東山手ルート7.4kmです。田町~羽田空港間の距離は12.4kmです。 完成すれば、上野東京ラインの列車が羽田空港に乗り入れ、東京駅と羽田空港間が約18分で結ばれます。 羽田空港駅は1面2線の島式ホームで、改札口は地下1階、ターミナル間通路と同じ平面に設置されます。ホームと改札の間に段差はありません。列車を降りてから第2ターミナルの地下まで、高低差のない完全バリアフリー構造となります。 ホーム長は15両対応の311メートルです。グリーン車併結の上野東京ラインの15両編成が、羽田空港駅まで乗り入れられるように作られます。 東山手ルートの事業費は2,800億円です。2021年1月20日に国土交通省が鉄道事業を許可。このとき、開業予定は2029年度と公表されました。ただし、2023年に、開業予定を2年後ろ倒しし、2031年度に変更しました。 2023年6月に起工式を実施しています。 東山手ルートの運行系統 羽田空港~新橋~東京~上野~宇都宮、高崎、土浦方面 羽田空港駅を出発し、田町駅付近で上野東京ラインに合流。ただし、新橋駅まで停まりません。新橋駅で上野東京ラインに合流し、宇都宮線・高崎線・常磐線方面への直通を想定します。所要時間は、羽田空港~東京駅間約18分です。 2019年5月に公表された東山手ルートの環境影響評価書によりますと、羽田空港アクセス線の運転本数は毎時8本、1日144本です。片道あたり72本で、計算するとおおむね15分間隔での運転を想定していることになります。 上野東京ラインの列車が、東京駅から15分間隔で羽田空港に乗り入れてくるわけです。 臨海部ルートの概要 羽田空港アクセス線臨海部ルートは、東京貨物ターミナル付近で東山手ルートから分かれ、りんかい線に乗り入れて、東京テレポート駅で合流します。そのまま新木場方面に至る路線です。 羽田空港アクセス線はりんかい線の八潮車両基地の横を経由します。そのため、渡り線を設ければ、羽田空港アクセス線から車庫線を経由してりんかい線への乗り入れは容易に実現できます。 八潮車両基地からりんかい線への車庫線は、現在一部が単線ですが、これを複線化させ、品川埠頭分岐部信号場でりんかい線に合流します。 臨海部ルートが開業すれば、羽田空港~新木場駅間が約20分で結ばれます。途中の国際展示場までなら15分程度の計算になります。 開業予定は東山手ルートと同じ2031年度です。 臨海部ルートの運行系統 羽田空港~東京テレポート~新木場 羽田空港駅を出発すると、次は東京テレポート駅です。そのままりんかい線を走り新木場駅に到着します。 所要時間は、羽田空港~新木場間が約20分です。計算すると、羽田空港~東京テレポート間が13分程度、同~国際展示場間が15分程度になります。 開業後の運行系統は明らかになっていませんが、おそらく、りんかい線と同じ10両編成の列車が走ることになるでしょう。 りんかい線は、JR京葉線とも線路がつながっています。したがって、羽田空港アクセス線が京葉線に直通し、羽田空港から舞浜や海浜幕張に直通列車を走らせることも、設備のうえでは可能です。 ただし、JR線の間にりんかい線を挟むと、りんかい線の運賃を収受するのが難しくなります。そのため、京葉線直通列車を設定するには、JR東日本がりんかい線を買収するか、特別な運賃分配ルールを策定する必要があります。いずれも不可能ではないが、実現するかは見通せません。 西山手ルートの概要 羽田空港アクセス線西山手ルートは、東京貨物ターミナル付近で東山手ルートから分かれ、「東品川短絡線」を建設し、りんかい線に合流します。合流地点は品川シーサイド~大井町間です。 大井町に停車し、そのまま大崎に至り、埼京線(山手貨物線)に乗り入れ、渋谷、新宿方面に向かいます。新宿から先は未確定ですが、埼京線または中央線方面への乗り入れが想定されます。 現時点では事業着手に至っていません。着工時期も開業予定も未定です。着工するにしても、東山手ルートの開業後の事業着手となるでしょう。 西山手ルートの運行系統 羽田空港~大井町~大崎~渋谷~新宿~池袋、大宮、中野、立川方面 羽田空港駅を出発すると、次は大井町駅です。そのままりんかい線、埼京線を走り渋谷駅、新宿駅に到着します。 所要時間は、羽田空港~新宿間が約23分です。羽田空港~渋谷間が18分程度、同~池袋間が29分程度になります。 西山手ルートは、埼京線乗り入れが基本になるとみられます。ただ、中央線方面への乗り入れ構想もあり、中央線特急「あずさ」「かいじ」の羽田空港乗り入れを求める声もあります。 JR羽田空港アクセス線の沿革 東海道貨物線を使った羽田空港アクセス線構想は、2000年の運輸政策審議会答申第18号(第18号答申)で初めて具体的に示されました。同答申では、「東京臨海高速鉄道臨海副都心線(現りんかい線)の建設及び羽田アクセス新線(仮称)の新設」として、東京テレポート駅から東京貨物ターミナル駅を経て羽田空港に向かう路線を取り上げています。 このときは、「今後整備について検討すべき路線」という「B路線」の扱いでした。「大崎方面からの直通ルートについても併せ検討する」とも添えられました。 同答申では、同じくB路線として「東海道貨物支線の旅客線化等及び川崎アプローチ線(仮称)の新設」も取り上げられ、品川駅および東京テレポート駅から浜川崎駅や桜木町駅に向かう途中に羽田空港口駅を設け、羽田空港への連絡を図ることが盛り込まれていました。 しかし、これらの計画については、永らく進展がありませんでした。 転機となったのは、2013年10月29日にJR東日本が発表した『グループ経営構想V(ファイブ)「今後の重点取組み事項」について』という中期経営計画です。この経営計画に「今後の羽田空港の利用客増加を見据えた、空港アクセス改善策の検討」が盛り込まれています。JR東日本が、羽田空港への鉄道新線について整備の検討に入ることを宣言した形です。 2014年8月19日に開かれた、国土交通省交通政策審議会の「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」で、JR東日本は羽田空港アクセス線の計画を正式に公表しました。同時に、この計画に関連して、東京都が保有している東京臨海高速鉄道(りんかい線)の株式をJR東日本が買収する意向も示しました。りんかい線をJR東日本に組み込み、京葉線と直通運転させる意向を表明したことになります。 2015年7月10日、東京都は『広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫』を公表。そのなかで、羽田空港アクセス線は整備効果が高いとして「整備について優先的に検討すべき路線」のひとつと位置づけられました。これにより、東京都としては明確にJR羽田空港アクセス線の建設を促進する態度を表明したことになります。 2016年4月20日、交通政策審議会の「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」は『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』(答申198号)をまとめ、国土交通大臣に答申しました。そのなかで、JR羽田空港アクセス線は「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」に位置づけられました。これにより、国交省としてもJR羽田空港アクセス線の建設にお墨付きを与えたことになります。 2018年7月には、JR東日本は、羽田空港アクセス線の開業時期を「早ければ2028年」と公表しました。2019年5月には、JR東日本が「環境影響評価調査計画書」を東京都に提出。同31日に公表されました。2021年1月21日に鉄道事業許可がおり、2023年3月24日に工事施行認可を受けました。 これを受け、2023年4月4日に、JR東日本は、羽田空港アクセス線の東山手ルート・アクセス新線について「本格的な工事」に着手することを宣言。同時に、開業目標を2031年度と2年後ろ倒しにしたことを明らかにしました。2023年6月2日に起工式をおこなって、工事に着手しています。 JR羽田空港アクセス線データ JR羽田空港アクセス線データ 営業構想事業者 JR東日本 ...
東京メトロ南北線品川延伸

東京メトロ南北線品川延伸

東京メトロ南北線の白金高輪~品川間の延伸構想です。当初は、「都心部・品川地下鉄構想」とも呼ばれていました。すでに事業着手しており、2024年11月5日に着工しました。開業予定時期は2030年代半ばです。 東京メトロ南北線延伸の概要 東京メトロ南北線延伸は、白金高輪駅と品川駅を結ぶ地下鉄計画です。 白金高輪駅には東京メトロ南北線と都営三田線が乗り入れており、2面4線のホームがあります。このうち外側2線が目黒方面に延びており、内側の2線が白金高輪止まりになっています。この内側2線を品川方面に延ばします。内側2線は南北線が使用していることもあり、品川延伸の際も南北線優先のダイヤが組みやすくなります。 2023年に公表された環境影響評価書によりますと、延伸線は白金高輪駅内側からの留置線を延ばし、目黒通りから白金台駅付近で東に向きを変え、都営浅草線高輪台駅をかすめた後、第一京浜(国道15号)に入り込む形で南方向に転じます。 途中駅は設けません。白金台駅や高輪台駅をかすめる部分も通りますが、既存駅と深さが倍くらい違うこともあり、駅を設けないという判断になったようです。 路線の概要 品川駅は南北方向にホームを設置し、JR線や京急線と平行する形となります。ホームは島式1面2線で、8両編成に対応します。 計画区間は約2.8km。都市計画変更区間は2.5km。その差0.3kmは、白金高輪駅の既存の留置線部分に相当します。0.3kmは留置線を活用し、実際に建設するのが2.5kmということです。 工事予定期間は約10年を見込みます。開業予定は明確ではありませんが、工事が順調にいったとして、2030年代半ばになりそうです。 整備主体は東京メトロで、第1種鉄道事業者となります。上下分離の制度は用いません。 東京メトロ南北線延伸区間の運転計画 南北線品川延伸後の運転計画は、毎時最大上下各12本。つまりラッシュ時に5分間隔の運転です。終日で上下各195本を運転しますので、日中時間帯は毎時8本程度、つまり7.5分間隔になるとみられます。 品川発着の全ての列車がメトロ南北線(麻布十番方面)または都営三田線(三田方面)と直通運転をします。調査段階では、全時間帯で毎時12本と仮定し、南北線と三田線に半数ずつ乗り入れるのを基本としながら、日中時間帯は南北線方面を毎時8本、三田線方面を毎時4本と想定していました。 実際には、日中時間帯の運転は毎時8本にとどまりそうです。白金高輪折り返しが毎時8本(南北線、三田線各4本)あるので、これをそのまま品川方面に持ってくることになるかもしれません。その場合、南北線と三田線が半数ずつの乗り入れとなります。 新線区間の所要時間は4分程度で、品川~六本木一丁目間の所要時間は9分となります。品川~溜池山王間は12分程度になるでしょう。 東京メトロ南北線延伸の沿革 東京メトロ南北線延伸は、東京都が2015年7月10日に発表した『広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫』で、「都心部・品川地下鉄構想」(品川地下鉄)として、はじめて明記されました。 それを受けて、2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』では、「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」と位置づけられました。 2019年3月に国土交通省の交通政策審議会が『東京圏における国際競争力強化に資する鉄道ネットワークに関する調査』の調査結果を発表。そのなかで、「都心部・品川地下鉄構想」の概要が初めて示され、「関係者間で事業化に向けたより具体的な検討が進められるべきである」と明記されました。 二つのルートを検討 2019年調査では、ルートは2つ検討されました。ひとつは、国道1号から東に折れ、整備中の環状4号の地下を抜けて、国道15号の地下を南に折れて、JR・京急線と平行に品川駅を配置するルート(Aルート)。もう一つは、国道1号を南に進み、柘榴坂の下を東へ向かい、国道15号やJR・京急線と直行する位置に品川駅を配置するルートです(Bルート)。 輸送人員を予想したところ、Aルートが1日13.4万人、Bルートが7.8万人となり、他路線との乗換移動距離が比較的短いAルートの方が多くなることが示されました。 費用便益比と採算性 品川地下鉄の需要推計や事業性については、Aルートの場合で輸送人員が1日13.4万~14.3万人、費用便益比が2.5~3.1、収支採算性(累積資金収支)は16~19年目に黒字転換します。メトロの既存線の減収の影響を考慮した場合、24~28年目の黒字転換です。したがって、社会経済条件に拠らず、目安とされる開業後40年以内には累積赤字が解消される結果となっています。 品川地下鉄の整備により、南北線(目黒→白金台)の混雑率は17ポイント緩和し、銀座線(新橋→虎ノ門)は7ポイント緩和すると予想しています。新橋駅で銀座線に乗り換えて溜池山王方面に向かっていた旅客が、品川地下鉄経由で南北線に流れるという見通しで、これらの減収を考慮しても、24~28年目には黒字転換するということです。 また、事業費800億円(建設費763億円、車両費37億円)、建設期間は10年間を要すると見積もられました。 答申371号 こうした結果を受け、2021年7月に交通政策審議会答申第371号『東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について』がまとめられ、東京メトロ南北線の白金高輪~品川間と、有楽町線の豊洲~住吉間の延伸について、それぞれ整備を進めるのが適切と示されました。これにより、事実上、東京メトロ南北線延伸が決まりました。 答申371号では、延伸について、国や東京都が建設費を補助し、東京メトロに建設・運営を求めるべきとしました。一方で、国と都がそれぞれ保有する東京メトロ株の半分を売却し、上場する方向性も示しました。要は、東京都が東京メトロ株上場を認め、株を放出する代わりに、メトロが南北線と有楽町線の延伸を自力で建設するという取引をさせたわけです。 これを都、メトロが受け入れ、南北線の品川延伸が、有楽町線の住吉延伸とともに、実現することになりました。 答申371号では、事業費1600億円、輸送密度7.3~7.5万人、費用便益比1.2、累積資金収支25~16年と試算されました。 2022年1月28日に南北線品川~白金高輪間2.5kmと有楽町線豊洲~住吉間4.8kmの延伸について、鉄道事業許可を国土交通大臣に申請。2022年3月に鉄道事業許可を受けています。2022年6月には東京都が都市計画の素案を公表しました。2023年6月には、東京都が環境影響評価書を公表しています。2024年11月に着工しました。 鉄道事業申請時の事業費は1310億円と見積もられています。2022年に公表した「地域公共交通利便増進実施計画(東京メトロ南北線の分岐線(品川~白金高輪))」によれば、1日15万人の利用を見込みます。 東京メトロ南北線品川延伸データ 東京メトロ南北線延伸データ 営業構想事業者 東京メトロ ...
東京メトロ有楽町線延伸(豊住線)

東京メトロ有楽町線住吉延伸

東京メトロ有楽町線では、豊洲から住吉まで延伸する計画があります。「豊洲」と「住吉」の頭文字を取って「豊住線」ともいいます。有楽町線は「東京8号線」のも呼ばれますので、「東京8号線延伸」と表記されることもあります。 1972年の都市交通審議会答申第15号で豊洲~住吉~押上~亀有間が盛り込まれたのが最初です。2016年国土交通省交通政策審議会答申には豊洲~住吉間が記載されました。2022年3月に鉄道事業許可を受け、2024年11月に工事に着手。開業予定時期は2030年代半ばです。 東京メトロ有楽町線延伸の概要 東京メトロ有楽町線の延伸区間は、豊洲~住吉間は5.2kmです。既存の有楽町線豊洲駅から分岐して、半蔵門線の住吉駅に至ります。5.2kmのうち、トンネル建設区間は約4.8km、豊洲駅改良区間が0.2kmです。 東京メトロ有楽町線の豊洲駅から、区道と運河の地下を進みます。東西線と交差する東陽町駅付近からは都道465号(四ツ目通り)に沿って北方向に進み、半蔵門線の住吉駅に至ります。途中駅は枝川、東陽町、千石の3駅(いずれも仮称)です。 延伸区間の駅構造 有楽町線豊洲駅のホームは分岐線の建設に対応できるよう2面4線で建設されており、中央側の2線が空いています。さらにホームに1面を追加して3面4線となります。追加ホームの最大幅員は約8mです。 枝川駅は相対式ホームで最大幅員が約4m。東陽町は島式ホームで最大幅員が約9m。千石駅も島式ホームで最大幅員が約7mです。 半蔵門線の住吉駅ホームは上下2層式の2面4線となっており、このうち2線が分岐線用として確保されています。 豊住線が完成すれば、有楽町線池袋方面と、半蔵門線押上方面へ直通できる構造になります。開業した場合、池袋方面から住吉方面への直通列車が運転されます。 総事業費と費用対効果 交通政策審議会が2021年7月にまとめた答申第371号『東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について』の参考資料によると、総事業費は1500億円、輸送密度は10万3200~10万5400人、費用便益比(B/C)は2.0~2.1で、累積資金収支は25~26年で黒字化するとしています。 ただし、総事業費は、鉄道事業申請時に2690億円に修正されています。これを基に計算すると、費用便益比は1近くに下がるとみられます。 工事予定期間は約10年を見込みます。工事が順調にいったとして、有楽町線延伸(豊住線)の開業は2035年頃になりそうです。 東京メトロ有楽町線延伸区間の運転計画 2023年に公表された環境影響評価書によりますと、開業後の運転計画は、毎時最大上下各12本。つまり、朝ピーク時に5分間隔の運転です。終日で上下各150本を運転します。 交通政策審議会が2019年3月にまとめた『東京圏における国際競争力強化に資する鉄道ネットワークに関する調査』では、運行頻度は朝ピーク時に毎時12本、夕ピーク時に毎時10本、日中に毎時8本とし、各時間帯で毎時4本は豊洲駅において有楽町線市ヶ谷方面との直通運転を想定しています。 これらの情報を総合すると、朝ラッシュ時5分間隔、夕ラッシュ時6分間隔、日中は7.5分間隔での運転になりそうです。2019年調査では、各時間帯で毎時4本は豊洲駅で有楽町線市ヶ谷方面との直通運転を想定しています。15分に1本は有楽町線直通ということです。 一方、半蔵門線押上方面への乗り入れは想定されていません。全列車が住吉折り返しになるようです。 ホームは20m車10両編成に対応しますので、有楽町線の現行車両がそのまま乗り入れることができます。 豊住線が開業すれば、豊洲~住吉間が9分で結ばれます。錦糸町駅~豊洲駅間の所要時間は11分程度となり、現在の21分から10分短縮されます。 運賃体系は東京メトロと同等とし、東京メトロの既存線とは通算運賃と考えられています。 東京メトロ有楽町線住吉延伸の沿革 1972年の都市交通審議会答申第15号にて、東京8号線計画に豊洲~東陽町~住吉町~押上~亀有間が追加されたのが、有楽町線住吉延伸の始まりです。1982年には、営団地下鉄が8号線豊洲~亀有間 (14.7km) の鉄道事業免許を申請し、実現への期待が高まりました。しかし、この免許は未交付に終わりました。 1985年の運輸政策審議会答申第7号では、「東京8号線の建設及び複々線化」として、豊洲~住吉~押上~亀有~武蔵野線方面への延伸が答申されました。このとき、住吉~四ツ木間は東京11号線(半蔵門線)と共用する計画となっています。豊洲~亀有間の計画の目標年次は2000年とされました。 1988年には有楽町線が豊洲駅まで開業し、住吉方面への分岐に備えた2面4線の構造となりました。ただ、その後も豊住線区間は着工に至らず、2000年の運輸政策審議会答申第18号では、豊洲~住吉間と押上~四ツ木~亀有~野田市間が2015年度までに整備に着手するのが適当な路線(押上~四ツ木間は東京11号線と共用)とされました。 2004年に営団地下鉄が民営化され東京メトロになると、同社は副都心線を最後に新線建設を行わない方針を表明します。これにより住吉延伸の建設期待はしぼみましたが、2010年に地元江東区が事業化に関する検討を独自に開始。2013年に『東京8号線(豊洲~住吉間)延伸に関する調査報告書』を公表します。 2015年7月10日、東京都が『広域交通ネットワーク計画について≪交通政策審議会答申に向けた検討のまとめ≫』を公表。そのなかで、住吉延伸を「整備について優先的に検討すべき路線」のひとつとしました。 198号答申記載から事業化へ さらに、2016年4月20日の交通政策審議会答申第198号『東京圏における今後の都市鉄道のあり方について』では、豊住線は「国際競争力の強化に資する鉄道ネットワークのプロジェクト」に位置づけられました。これにより、住吉延伸は建設に向け大きく前進しました。 2019年3月には交通政策審議会が『東京圏における国際競争力強化に資する鉄道ネットワークに関する調査』を公表。総事業費1559.5億円(建設費1420億円、車両費139.5億円)と想定しました。30年間での費用便益比(B/C)が2.60~3.03、50年間で2.85~3.33になるとしました。 収支採算性については、累積資金収支が19~29年目に黒字に転換し、累積損益収支は 1年目の黒字転換が見込まれました。したがって、基準とされる開業後40年以内に累積赤字が解消される見通しで、事業採算性に問題はないという結論になりました。 ただし、有楽町線が住吉まで延伸すると、東西線など東京メトロの既存路線で減収が生じます。それを考慮すると、単年度の黒字転換はなく、開業後40年以内で累積資金収支は黒字となりません。そのかわり、東西線の混雑率は木場→門前仲町間で20ポイント、有楽町線の混雑率は豊洲→月島間で16ポイント減少すると見込まれるなど、既存路線の混雑緩和に貢献するとされました。 答申371号 こうした結果を受け、2021年7月に交通政策審議会答申第371号『東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について』がまとめられ、東京メトロ南北線の白金高輪~品川間と、有楽町線の豊洲~住吉間の延伸について、それぞれ整備を進めるのが適切と示されました。これにより、事実上、東京メトロ有楽町線の住吉延伸が決まりました。 答申371号では、延伸について、国や東京都が建設費を補助し、東京メトロに建設・運営を求めるべきとしました。一方で、国と都がそれぞれ保有する東京メトロ株の半分を売却し、上場する方向性も示しました。要は、東京都が東京メトロ株上場を認め、株を放出する代わりに、メトロが有楽町線と南北線の延伸を自力で建設するという取引をさせたわけです。 これを都、メトロが受け入れ、有楽町線の住吉延伸が、南北線の品川延伸とともに、実現することになりました。 2022年1月28日に有楽町線豊洲~住吉間4.8kmと南北線品川~白金高輪間2.5kmの延伸について、鉄道事業許可を国土交通大臣に申請。同3月28日付で許可を受けました。2024年6月に都市計画決定、同11月に着工しています。 さらなる延伸計画も 有楽町線(東京8号線)延伸は、豊洲~住吉間だけの計画ではありません。住吉から先は、亀有、八潮、越谷レイクタウン、野田方面への延伸計画もあります。 おおざっぱにいうと、有楽町線延伸計画のうち、江東区部分だけを切り取ったのが「豊住線」です。ただし、押上以北の構想実現は、現時点では望み薄です。 東京メトロ有楽町線住吉延伸データ 東京メトロ豊住線データ 営業構想事業者 東京メトロ ...

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