岐阜県LRTは、岐阜県岐阜市を中心にLRTを敷設する計画です。市街地を南北に貫く基幹ルートと、岐阜市内の周回ルートの計画があります。
岐阜LRTの概要
岐阜県では、「新しい交通システム」として、LRTを有力候補に挙げて調査を進めています。現時点では、江崎禎英知事の発案による基礎調査の段階です。
江崎知事の発言によりますと、LRTの整備区間は、岐阜羽島駅~岐阜県庁~岐阜駅、岐阜市内~岐阜大学~岐阜インターチェンジの基幹路線と、岐阜駅~金華山~長良川国際会議場の周回路線の、計3ルートです。
ルートの詳細は未定です。下図は、筆者の仮定でルートを地図に落とし込んだものです。実際の計画ルートとは異なる形になるでしょう。

岐阜LRTの沿革
岐阜県には、かつて名鉄岐阜市内線という路面電車が走っていました。郊外へ延びる揖斐線、谷汲線、美濃町線にも直通し、一体的な軌道ネットワークを構成していました。しかし、2005年に全線が廃止となっています。
新たに計画されているLRTは、この名鉄岐阜市内線とは全く関係のないものです。
2025年7月の岐阜県議会一般質問で、江崎禎英知事が、岐阜県内のまちづくり政策について、「高齢者に加え、子どもや若者の活動範囲を拡大するためにも新たな交通インフラの整備が必要」と述べ、「LRTを有力な候補として検討を始めた」ことを明らかにしました。。
2025年9月の補正予算案で、岐阜県は、新しい交通システムの導入可能性を検討するための調査費3,000万円を盛り込んだ、一般会計補正予算案を発表しました。新しい交通システム導入に係る事業スキーム検討業務が1000万円、交通再編検討業務が2000万円です。
合計で3000万円の調査費を計上し、調査を開始したわけです。調査は2025年度内におこない、年度末には一定の結論を出す予定です。開業時期は10年後をメドとしていますが、これは調査のための目安という程度の話で、実際に2030年代半ばにLRTができるかどうかは、全くわかりません。
岐阜県のLRT検討の動きを受けて、岐阜市東部地区の自治会連合会が、2025年9月11日に江崎知事を訪れ、岐阜市と関市を結ぶルートについても検討を要望しました。
岐阜市東部には、かつて名鉄美濃町線が走っていましたが、前述の通り、2005年に廃止されています。要望書によると、廃線後は慢性的な交通渋滞が発生し、路線バスも高齢者や障害者にとって利用しづらくなっているとして、LRTの整備を求めました。いわば「美濃町線復活」を要望したわけです。
読売新聞9月12日付によりますと、知事は「まず構想が出ている基幹の路線を検討し、できた段階で広げていくことも含めて考えていく」と答えたそうです。
一方、LRTが敷設される岐阜市の柴橋正直市長は、2025年9月11日の市議会の一般質問で、「現在実施している事業の実現を大前提として宇都宮市や富山市など国内はもとより、架線レス車両を導入している台湾をはじめとした海外の先進事例を幅広く調査研究するなど、より詳細な課題の整理を行ってまいります」と答弁しました。
岐阜市では、現在、市街地の再開発事業や名鉄の高架化事業を実施しています。そのため、新たな費用負担が大きいLRTについては慎重な様子とも報じられてきました。
これに対し、柴橋市長は「反対しているということではなく、課題を一つずつしっかりと対応して検討を進める必要がある」とし、前向きな姿勢を強調しています。
岐阜LRTのデータ
営業構想事業者 | 未定 |
---|---|
整備構想事業者 | 岐阜県 |
路線名 | 未定 |
区間・駅 | 岐阜羽島駅~県庁~岐阜駅(基幹ルート) 岐阜駅~岐阜大学~岐阜IC(基幹ルート) 岐阜駅~金華山~長良川国際会議場(周回ルート) |
距離 | 未定 |
想定利用者数 | 未定 |
総事業費 | — |
費用便益比 | — |
単年度収支黒字化 | — |
種別 | 未定 |
種類 | 未定 |
軌間 | 未定 |
電化方式 | 未定 |
単線・複線 | 未定 |
開業予定時期 | 未定 |
備考 | 未定 |
岐阜LRTの今後の見通し
岐阜LRTは、2025年に浮上した新しい計画です。江崎知事によると、2025年春頃から、県庁内にまちづくりのプロジェクトチームを作り、そのなかで浮上した案ということです。そのため、まだ構想段階で、「計画」と呼べるかどうかも怪しい段階です。
今後の見通しもまったくわかりません。岐阜市が協力するかが一つのポイントですが、同市は岐阜駅前の再開発や名鉄高架化の事業が重く、LRT事業に投じる余力は当面乏しそうです。そのため、岐阜市の財政力が回復するまでは、難しいかも知れません。