JR東海の路線別輸送密度
JR6社のうち、線区別輸送密度を唯一公表していないのがJR東海です。
ただ、国交省が公表している鉄道統計年報では、路線別の数字を明らかにしています。鉄道統計年報は数字が出るのが遅いですが、現在公表されている2019年度のJR東海の全線区の輸送密度について、参考資料としてランキングにしてみました。
路線名 | 区間 | 輸送密度 |
---|---|---|
名松線 | 松阪~伊勢奥津 | 287 |
紀勢線 | 亀山~新宮 | 1,721 |
参宮線 | 多気~鳥羽 | 1,765 |
飯田線 | 豊橋~辰野 | 1,799 |
身延線 | 富士~甲府 | 2,983 |
高山線 | 岐阜~猪谷 | 3,366 |
太多線 | 多治見~美濃太田 | 5,462 |
御殿場線 | 国府津~沼津 | 7,218 |
武豊線 | 大府~武豊 | 9,738 |
関西線 | 名古屋~亀山 | 14,252 |
中央線 | 塩尻~名古屋 | 29,788 |
東海道線 | 熱海~米原 | 48,113 |
東海道新幹線 | 東京~新大阪 | 267,039 |
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東海道新幹線が圧倒的
最も数字が悪いのが名松線287です。次いで紀勢線の1,721、参宮線1,765、飯田線1,799と続きます。身延線、高山線までが、輸送密度4,000人未満の特定地方交通線水準です。新型コロナの影響を受けた2021年度なら、太多線も4,000人未満に沈むかもしれません。
同社の幹線区間である中央線は29,788にとどまりますが、名古屋圏に限ればもっと高いでしょう。東海道線は48,113で、静岡、愛知、岐阜、滋賀の4県に及ぶ341.3km区間の平均と考えれば、相当に高い水準です。
そして、なんと言っても東海道新幹線の26万人超えは圧倒的です。新幹線は客単価が高いので、収益性では山手線や埼京線を凌駕するかもしれません。そんな線区を500km以上も有しているのですから、JR東海の収益力が高いのも頷けます。JR東海の運輸収入の9割が東海道新幹線によるものです。
JR東海も輸送密度の低い路線を抱えてはいますが、東海道新幹線の収益力からすれば、取るに足らない問題でしょう。同社は、線区別の収支などを公表する予定はなく、名松線も含めてローカル線を廃止する予定はありません。(鎌倉淳)
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