石勝線夕張支線が、2019年3月にも廃止される見通しとなりました。夕張市がJR北海道に対し廃止を提案していたのに対し、JR北海道の島田修社長が2016年8月17日に夕張市を訪れ、提案を受け入れることを表明したためです。
JR北海道は、夕張市の要請に基づき、今後、市内バスなどの公共交通の整備に全面的に協力する考えも伝えました。
「石勝線の一部」として残ってきたが
石勝線夕張支線は、新夕張~夕張間16.7kmを走るローカル線です。もともとは夕張線として独立していましたが、1981年の石勝線新夕張~新得間開業とともに、石勝線の支線に組み入れられました。
かつては石炭輸送で賑わいましたが、炭鉱閉山後は沿線人口が減り、利用者は減少。国鉄末期の特定地方交通線の対象になってもおかしくない輸送量でしたが、石勝線の一部とされていたため、廃止が議論されることなく存続してきました。いまでも運賃計算上は「幹線」に分類されています。
しかし、2015年度の輸送密度は118人キロと発足時の約1割にまで激減。施設も老朽化しています。JR北海道は2016年秋から不採算路線の縮小を進める方針を公表しており、夕張支線がその対象になるのは避けられないとみられていました。
複合施設整備にあわせ廃止か
このため夕張市はJR北海道に対し、先手を打って廃止を提案。見返りとして、市内交通網見直しへの協力、JR所有施設の無償譲渡と活用、JR社員の市への派遣の3条件を提示していました。この日、JR北海道の島田社長は、夕張市の鈴木直道市長に対し、これに全て応じる考えを伝えました。
廃線時期について、島田社長は「これから協議が始まるので、推移を見守る」としています。夕張市はバスなどの交通拠点となる複合施設を2019年度に整備する計画を目指しており、これに合わせるとすれば2019年3月、遅くとも2020年3月までに廃止されることになりそうです。
鉄道施設も活用へ
JR北海道では、夕張支線廃止の方針を8月9日に臨時取締役会を開くなどして決定。市との協議の場に参加する社員は、部課長級を軸に調整しているとのことです。
夕張市では人口減少に対応したコンパクトシティー化を進めており、市人口の約3分の1を占める清水沢地区を中心に、新交通体系の整備を進める方針です。新しい複合施設には、市内バスと都市間バスが乗り入れます。夕張支線には並行して道路が走っており、代替バスの運行も問題はなさそうです。
鉄道施設の活用については詳細が明らかではありませんが、駅舎を公共施設として転用したり、歴史のある建造物については観光的に活用するなどが検討されるとみられます。(鎌倉淳)