昔ながらの遊園地がどんどん減っているなか、首都圏で孤塁を守るのが「よみうりランド」。新たなアトラクションを定期的に投入しつつ、実力派遊園地として存在感を示しています。
首都圏屈指の大型遊園地
大型テーマパークが隆盛を誇るなか、昔ながらの遊園地が次々と閉園しているのは、みなさんご存じの通り。東京都では、2020年にとしまえんが閉園。東京23区で10万平米を超える大型遊園地が姿を消しました。
そんな状況で、首都圏屈指の大型遊園地として孤塁を守るのが、よみうりランド。東京都稲城市と神奈川県川崎市にまたがる丘陵部に、37万平米という広大な敷地面積で営業をつづけています。東京ディズニーランドの46万平米には及ばないものの、旧としまえん22万平米の約1.7倍の広さです。
開園は1964年。高度成長期に誕生した「昭和な遊園地」です。運営する株式会社よみうりランドは、その名の通り読売新聞の系列会社。大手メディア系列の遊園地という点でも珍しいかもしれません。同社は少し前まで一部上場企業でしたが、TOBにより、2021年3月に読売新聞の完全子会社になっています。
ロープウェイでアクセス
前置きが長くなりましたが、6月のある日、子連れで出かけてみました。アクセスは京王よみうりランド駅と遊園地を結ぶロープウェイ「スカイシャトル」があります。最近は、ヨコハマ・エア・キャビンが都市型ロープウェイとして話題になりましたが、こちらも一種の都市型ロープウェイ。5分ほどの空中散歩は、便利で楽しいです。
よみうりランドには全部で43のアトラクションがあります。目玉となるのは、最高時速110kmのジェットコースター「バンデッド」(6月21日まで運休中)。ただ、こうした絶叫系ライドはよみうりランドでは少なく、どちらかといえばファミリー向けのアトラクションが多いです。
グッジョバ!!
最近のよみうりランドの注目といえば、グッジョバ!!エリアでしょう。「ものづくりが体感できる遊園地エリア」として2016年3月にオープン。2020年3月にリニューアルをしました。
たとえば、日産自動車がパートナーの「カスタムガレージ」は、ゲストが自動車の部品を取り付け、試験走行をするという設定のライドアトラクション。VRゴーグルをかぶると、古代ジャングルの遺跡探検や、未来のハイパーコースを走行体験できます。
「ものづくり体験」とまでいうと大げさですが、ライドの「組み立てごっこ」をして、VRで過去や未来を走る体験ができるという、ひと味違ったアトラクションになっています。
もう一つ、マニア的な人気を誇るのが、EV-グランプリ。約1.1kmのコースを電気自動車のゴーカートで走行するアトラクションです。
1.1kmというコースも長いですが、自動運転を交えたEVも未来的。カートも大型で、本物の電気自動車を運転しているような気分になれます。2コースあるので、ファミリーなら分かれて乗車すると、追いつ追われつで楽しめそう。
コクヨが協賛する「キャンパスチャレンジ」は、ゲストが身体を動かして達成度を競うという珍しいアトラクションです。
「紙の裁断ゲーム」や「表紙のせダンシング」といっても何のことかわからないと思いますが、民放テレビのチャレンジ系番組みたいなものです。
7つのチャレンジがあり、全部クリアするのはそれなりに難しく、何度もやりたくなるような「ハマり感」があります。
昭和感残るアトラクションも
グッジョバ!!エリアは、新しいエリアなので、イマドキに洗練されています。が、それ以外の古いエリアには、昭和感残るアトラクションが健在です。
フラッグストリートにある「ジュラシックカー」は、幼児も運転席に座れる自動車アトラクションです。としまえんにあった「アンチックカー」に似ています。
ファミリーエリアにある「わんぱく鉄道オリヴァー」は、幼児でも楽しめる、昔ながらの豆汽車。乗車時間も4分程度と長く、ゆったりと楽しめます。
設備投資を続けていて
よみうりランドのアトラクションは、こうしたレトロなアトラクションでも、よく手入れされていて、ちょっとしたリニューアルが施されていたりします。ですので、古さは隠せなくても、うらぶれた感じがしません。懐かしいけれど新しい、という印象でしょうか。
各地の遊園地が入場者減→経費節減→入場者減の負のスパイラルに陥るなか、よみうりランドはきちんと設備投資をして施設の新鮮さを維持している、実力派遊園地といえそうです。
あえて難点をいうと、園内に坂が多いこと。バリアフリーは十分配慮されていますが、ベビーカーの乳幼児連れには、少し大変かもしれません。
お手頃とはいえない
よみうりランドのワンデーパスは大人5,800円、中高生4,600円、小学生4,000円、未就学児2,400円です。入園料のみですと、大人1,800円、中高生1,500円、小学生と未就学児1,000円です。差額は大人4,000円、中高生3,100円、小学生3,000円、未就学児1,400円です。
アトラクションの1回あたりの価格は300円~1,000円程度で、子ども料金はありません。そのため、大型アトラクションに5~6回乗れば、どの年代でもワンデーパスで元が取れてしまいます。未就学児が乗れるアトラクションは300円程度が多いですが、それでも5回乗れば元が取れるので、アトラクションに乗るつもりなら、ワンデーパスを買えばいいででしょう。
ただし、家族4人で出かけた場合、ワンデーパスだけで1日2万円程度にはなりそうで、決してお手頃な遊園地とまではいえません。
チケットを安く買う方法は?
チケットを安く買う方法はあまりありませんが、京王線で訪れる場合は、「京王アミューズメントパスポート」を使うと少し安くなります。よみうりランドのワンデーパスと、京王線の1日乗車券がセットで、大人5,460円、中高生4,370円、小学生3,790円です。
かつては株主優待券を入手する方法がありましたが、上場廃止にともなって、株主優待券も廃止されています。
混雑具合は、日によって異なるので何ともいえませんが、現在は、新型コロナウイルス感染症対策で滞留者数を最大5,000人に絞っているので、アトラクションで長い待ち時間が発生することはなさそうです。
東京都内や神奈川県から気楽に遊びに行ける、貴重な大型遊園地。最新のアトラクションとして、大正製薬をパートナーとする「SPACE factory(スペースファクトリー)」を近くオープンする予定です。新型コロナ感染症で難しい時期ですが、頃合いを見計らって遊びに行ってみるのもよさそうです。(鎌倉淳)