JR西日本輸送密度ランキング2018年版。三江線ブーム、芸備線も好調

三江線はほぼ倍増

JR西日本が2017年度の各線区の輸送密度を公表しました。2018年3月限りで廃止になった三江線の利用者が急増。その影響か、芸備線東部の輸送密度も改善しています。

広告

輸送密度10万人以上

JR西日本では、各線区の輸送密度(平均通過人員)を公表しています。輸送密度とは利用者の1日1kmあたりの人数です。

公表された2017年度(2018年3月期)の輸送密度を、多い順にランキングしてみましょう。まずは、同社の主力路線といえる10万人以上の区間です。

  

JR西日本2017年度・輸送密度ランキング
順位 路線名 区間 2017年度 2016年度
1位 東海道線 大阪~神戸 393,419 391,351
2位 東海道線 京都~大阪 353,807 349,268
3位 大阪環状線 天王寺~新今宮 295,472 290,555
4位 山陽線 神戸~姫路・和田岬 202,464 201,083
5位 阪和線 天王寺~日根野・東羽衣 160,580 157,433
6位 JR東西線 京橋~尼崎 123,219 121,525
7位 東海道線 米原~京都 121,754 120,946
8位 山陽新幹線 新大阪~岡山 120,057 117,093
9位 福知山線 尼崎~新三田 100,394 100,226

輸送密度10万人を超えるドル箱路線は全体的に微増傾向です。

とくに伸び率が高いのは阪和線。LCC路線網拡大とインバウンド増にともなう関西空港輸送の好調を反映しているようで、前年度比1.9%増です。

はるか

輸送密度3万人以上

続いて、輸送密度3万人以上をみてみましょう。

JR西日本2017年度・輸送密度ランキング
順位 路線名 区間 2017年度 2016年度
10位 山陽新幹線 岡山~広島 93,176 89,806
11位 桜島線 西九条~桜島 87,913 83,683
12位 関西線 加茂~JR難波 69,030 68,925
13位 片町線 木津~京橋など 67,025 66,783
14位 山陽新幹線 広島~博多 56,618 54,001
15位 山陰線 京都~園部 44,251 44,099
16位 山陽線 白市~広島 43,840 43,249
17位 山陽線 広島~岩国 43,322 42,707
18位 宇野線 岡山~茶屋町 42,374 42,043
19位 湖西線 山科~近江塩津 38,322 38,202
20位 阪和線 日根野~和歌山 37,222 36,983
21位 山陽線 岡山~福山 36,343 35,930
22位 おおさか東線 放出~久宝寺 35,126 34,516
23位 奈良線 京都~木津 30,315 29,837

桜島線が5.0%増。ユニバーサルスタジオジャパンへの観光客増を反映しているとみられます。また、山陽新幹線も好調で、岡山~広島間で3.7%増、広島~博多間で4.8%増です。

広告

輸送密度8,000人以上

続いて、輸送密度8,000人以上。「幹線」の目安となる輸送量です。

JR西日本2017年度・輸送密度ランキング
順位 路線名 区間 2017年度 2016年度
24位 北陸線 敦賀~福井 29,416 29,264
25位 本四備讃線 茶屋町~児島 29,026 28,680
26位 関西空港線 日根野~関西空港 28,908 26,677
27位 北陸線 福井~金沢 27,368 27,153
28位 山陽線 姫路~上郡 26,060 25,005
29位 呉線 広~海田市 24,932 24,948
30位 北陸新幹線 上越妙高~富山 23,173 23,245
31位 北陸新幹線 富山~金沢 21,330 21,556
32位 草津線 貴生川~草津 18,613 18,760
33位 北陸線 米原~敦賀 17,801 17,747
34位 可部線 横川~あき亀山 17,690 18,720
35位 山陽線 福山~糸崎 17,428 17,288
36位 博多南線 博多~博多南 15,289 14,680
37位 福知山線 新三田~篠山口 14,191 14,366
38位 山陽線 上郡~岡山 14,083 13,185
39位 伯備線 倉敷~備中高梁 11,146 11,194
40位 赤穂線 長船~東岡山 10,708 10,520
41位 和歌山線 王寺~高田 10,695 10,740
42位 山陽線 岩国~新山口 9,629 9,488
43位 山陽線 糸崎~白市 9,443 9,316
44位 赤穂線 相生~播州赤穂 9,437 9,429
45位 芸備線 狩留家~広島 9,246 9,306
46位 播但線 寺前~姫路 8,904 8,989
47位 紀勢線 白浜~和歌山 8,630 8,701
48位 山陽線 新山口~下関 8,073 7,977

関西空港線は、8.3%の大幅増。LCCの隆盛とインバウンドの強さを物語ります。北陸新幹線は微減。開業ブームもその反動も終わり、安定軌道に乗った印象です。

広告

輸送密度4,000人以上

続いて、輸送密度4,000人以上。「地方交通線」のなかでは、輸送量の多い区間です。

JR西日本2017年度・輸送密度ランキング
順位 路線名 区間 2017年度 2016年度
49位 加古川線 加古川~厄神 7,491 7,451
50位 姫新線 姫路~播磨新宮 7,316 7,156
51位 福塩線 福山~府中 6,988 6,936
52位 山口線 新山口~宮野 6,210 6,042
53位 山陰線 米子~出雲市 6,186 6,104
54位 山陰線 園部~福知山 6,159 6,194
55位 吉備線 岡山~総社 5,890 5,749
56位 桜井線 奈良~高田 5,328 5,354
57位 伯備線 備中高梁~新見 4,894 4,948
58位 七尾線 津幡~和倉温泉 4,555 4,681
59位 和歌山線 五条~和歌山 4,540 4,760
60位 福知山線 篠山口~福知山 4,404 4,457
61位 山陰線 鳥取~米子 4,296 4,256
62位 宇野線 茶屋町~宇野 4,013 4,134

D51「SLやまぐち」の運転を開始した山口線が堅調です。全体的に、6,000人以上は利用者が微増、5,000人未満は利用者が微減という傾向が見て取れます。

広告

輸送密度2,000人以上

続いて、輸送密度2,000人以上4,000人未満。国鉄時代の「第3次特定地方交通線」レベルです。

JR西日本2017年度・輸送密度ランキング
順位 路線名 区間 2017年度 2016年度
63位 紀勢線 和歌山~和歌山市 3,999 3,653
64位 伯備線 新見~伯耆大山 3,895 3,988
65位 因美線 智頭~鳥取 3,759 3,756
66位 津山線 津山~岡山 3,678 3,623
67位 山陰線 福知山~城崎温泉 3,644 3,647
68位 舞鶴線 東舞鶴~綾部 3,368 3,272
69位 山陰線 小串~幡生 2,879 2,968
70位 草津線 柘植~貴生川 2,869 2,963
71位 城端線 高岡~城端 2,858 2,776
72位 境線 米子~境港 2,671 2,620
73位 和歌山線 高田~五条 2,592 2,688
74位 宇部線 新山口~宇部 2,528 2,525
75位 氷見線 高岡~氷見 2,503 2,621
76位 呉線 三原~広 2,367 2,493
77位 高山線 猪谷~富山 2,314 2,252
78位 赤穂線 播州赤穂~長船 2,196 2,212

紀勢線の和歌山~和歌山市間が9.4%増と利用者を増やしたのが目を引きます。これは事情が分からないのですが、和歌山市駅の再開発などの影響でしょうか。

高岡を起点とする城端線は2.9%増、氷見線は4.6%減と明暗を分けました。

輸送密度2,000人未満

続いて、輸送密度2,000人未満。国鉄時代の「第2次、第1次特定地方交通線」レベルです。

三江線

JR西日本2017年度・輸送密度ランキング
順位 路線名 区間 2017年度 2016年度
79位 加古川線 厄神~谷川 1,902 1,895
80位 芸備線 三次~狩留家 1,410 1,381
81位 播但線 和田山~寺前 1,345 1,387
82位 岩徳線 岩国~櫛ヶ浜 1,296 1,312
83位 山陰線 出雲市~益田 1,292 1,300
84位 紀勢線 新宮~白浜 1,222 1,252
85位 関西線 亀山~加茂 1,162 1,257
86位 小浜線 敦賀~東舞鶴 1,035 1,083
87位 山陰線 浜坂~鳥取 965 941
88位 姫新線 播磨新宮~上月 938 935
89位 姫新線 津山~中国勝山 906 888
90位 山陰線 城崎温泉~浜坂 801 817
91位 山口線 宮野~津和野 770 760
92位 美祢線 厚狭~長門市 636 562
93位 山口線 津和野~益田 612 575
94位 小野田線 小野田~居能など 460 470
95位 姫新線 上月~津山 439 435
96位 越美北線 越前花堂~九頭竜湖 373 423
97位 山陰線 長門市~小串・仙崎 362 380
98位 姫新線 中国勝山~新見 343 326
99位 山陰線 益田~長門市 296 282
100位 芸備線 備後落合~三次 238 225
101位 木次線 備後落合~宍道 204 204
102位 福塩線 府中~塩町 200 206
103位 因美線 東津山~智頭 179 195
104位 三江線 三次~江津 163 83
105位 大糸線 南小谷~糸魚川 104 100
106位 芸備線 備中神代~東城 86 81
107位 芸備線 東城~備後落合 13 9

紀伊半島南端部を走る紀勢線新宮~白浜間は「1,222」。2018年3月ダイヤ改正で新宮への特急「くろしお」が1往復削減されて6往復となりましたが、この数字をみると厳しさがわかります。

また、越美北線は11.8%の大幅減となりました。

一方、2018年3月限りで廃止になった三江線は、96%の大幅増。廃線ブームが数字になって表れています。

それに引っ張られたのか、芸備線も好調です。備中神代~東城が6.1%増、東城~備後落合が44.4%の大幅増、備後落合~三次が5.7%増となりました。

といっても、実数が「86」「13」「238」ときわめて少ないため、芸備線東部の厳しい状況は変わっていません。(鎌倉淳)

広告