津軽線蟹田~三厩間、廃止の可能性。復旧協議で「あり方」を検討へ

青森県などと協議へ

2022年8月の豪雨の被害により不通となっているJR津軽線の蟹田~三厩間の復旧について、JR東日本が、今後の交通体系の「あり方」について協議を求める意向を示しました。存廃問題につながる可能性もありそうです。

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復旧工事に6億円

JR津軽線蟹田~三厩間は、2022年8月の豪雨で大きな被害があり、現在も不通となっています。復旧について、JR東日本盛岡支社の久保公人支社長は、2022年12月19日の記者会見で、工事費用として最低6億円がかかるという見込みを明らかにしました。

津軽線の中小国~三厩間の輸送密度は、2021年度で98。新型コロナ前の2018年度でも115にとどまっています。利用状況が極端に悪いため、6億円を投じて復旧したところで、大量輸送という鉄道の特性を発揮することはできそうにありません。

そのため、久保支社長は、JR東日本が復旧工事に取りかかる前に、地元自治体に対し持続可能な交通体系のあり方について協議を求める意向を明らかにしました。早ければ、2023年1月から、青森県や沿線地域と協議を開始します。

久保支社長は、「将来を見据えて、みなさんと交通体系を考えていけるのか相談させていただいたほうが、地域のみなさまにも使い勝手のいいものにできる」と協議の意味を説明したうえで、「廃線も可能性としては含まれるし、当然、残すことも可能性には含まれる」と述べました。

廃止も視野に入れるものの、廃止を前提にした協議ではないと強調した形です。

津軽線被災
画像:JR東日本

県は応じる姿勢

JRの協議要請を受けて、青森県の三村申吾知事はコメントを発表。「県は鉄路の維持が必要との立場で協議に参加し、JRの考え方や津軽線の利用実態などを確認していくとともに地域住民の交通を確保していくという観点から最善の方策を検討する」と、JR協議に応じる姿勢を示しました。コメントは冷静で、強く反対するようなニュアンスではありません。

正直なところ、津軽線の蟹田以北の現実の輸送量を見ると、鉄路を維持する必要性が高いとはいえません。奥津軽いまべつという新幹線駅もあることから、新幹線と路線バス、乗合タクシーなどを組み合わせる交通体系を整えたほうが、地元住民の利便性が高まる可能性もあります。

現時点で津軽線の存廃の見通しは何ともいえませんし、決まった事実もありません。とはいえ、災害を機に廃止されてもおかしくはない状況になっていることは確かでしょう。(鎌倉淳)

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