九州新幹線でまた新しい割引きっぷが登場しました。「つばめ限定!九州ネット早特7」です。JR九州インターネット予約サービス限定の格安チケットで、7日前までに購入する必要があります。
価格は、博多~熊本が2,350円、博多~鹿児島中央が7,000円です。九州新幹線の格安チケットは多いのですが、博多~熊本の距離で2,350円となると、普通運賃とほとんど価格は変わりません。
博多~熊本の営業キロは118km。JR九州の普通運賃は2,130円です。つまり、普通運賃に220円を足すと、「つばめ限定!九州ネット早特7」が購入でき、博多~熊本間で新幹線に乗れるわけです。さすがにこれは安すぎないか?と思わなくもありません。
高速バスとの競合で優位に立てず
博多~熊本は高速バスと競合しています。高速バス「ひのくに号」は、福岡~熊本間の普通運賃が2,060円、往復乗車券が3,700円、ひのくに号回数券(4枚つづり)を使った場合は1枚あたり1,645円で、これが最安値です。ひのくに号回数券は金券ショップでばら売りされていて、相場は1,800円前後です。
高速バスは天神~熊本交通センターを1時間50分程度で結びます。新幹線は博多~熊本を「さくら」で40分程度、「つばめ」で50分程度です。時間を比較すると新幹線はバスの半分以下なのですが、「1時間しか違わない」という考え方もできます。そして、バスは福岡市天神と熊本市中心部を直結しますが、新幹線は博多駅と熊本駅を結ぶだけです。
こういう事情で、この区間で新幹線は高速バスに対してなかなか優位に立てないようです。そのため、JR九州はこれまでも各種割引きっぷを繰り出してきたのですが、あまり効果がなかったのでしょうか。
これが「ラストプライス」になるか?
「つばめ限定!九州ネット早特7」は、JR九州が繰り出す「ラストプライス」かもしれません。これ以上価格を下げると、「普通運賃よりも安い」ということになりかねないので、さすがに難しいでしょう。
しかし、率直なところ、この価格でも高速バスに勝てるかどうかは微妙です。依然としてバスよりは高く、時間差も大きくはないのですから、利用者は増えないかもしれません。
「つばめ限定!九州ネット早特7」には、ネットで7日間前に買わなければならない、などの制限があります。もし、このきっぷでも利用者が増えなければ、価格は下げずにこうした制限が外れていくのでしょうか。でもそうしたら、今度は普通列車に乗るのが馬鹿らしくなりそうです。