新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、東京の地下鉄利用のピーク時間帯が早まっています。東京メトロが時間帯別の利用動向を公表しました。
利用者数61%減
東京地下鉄(東京メトロ)は、2020年第二四半期の決算を発表しました。輸送人員は8億8613万人で、前年度に比べ61.8%の減少となりました。1日平均では484万人です。
同時に公表した自動改札機の出場データをみると、平日の利用者数(定期・定期外合計)が大きく落ち込んだのは4~5月で前年比62.9%~65.5%減を記録しました。その後は回復軌道にありますが、9月でも依然として32%減となっています。
平日の定期利用者
平日の定期利用に限ると、4月は前年比54.7%、5月は同64.4%です。
5月の減少率は全体と定期利用者とでほぼ一致しますが、4月は定期利用者の落ち込みがやや少ないです。定期が切れるまで使い、切れた後に更新しない人が多かった、ということでしょう。回復状況は全体と定期とが軌を一にしています。
平日の定期外利用者
定期外利用については、平日が4月に最大の落ち込みを記録。5月から徐々に回復しています。5月が4月より回復しているのは、5月の定期利用が底だったことの裏返しで、在宅勤務が普及して定期を使わないで通勤する人が増えたのでしょう。
休日の定期外利用者
定期外では休日の落ち込みがひどく、4月~5月が約8割減です。「不急不要の外出」が制限された時期なので、休日のおでかけの激減につながったのでしょう。
時間帯別利用状況
次に、平日の時間帯別の利用状況を見てみます。朝夕の通勤時間帯(1、2)において、大きな減少が見られます。
青の山とオレンジの山を比べると、朝ピークの落ち込みに目を奪われますが、割合としてみると、深夜時間帯の利用者数の減少も激しいことが見て取れます。はっきりとした数字はわかりませんが、割合としては半分以下になっているようです。
それに比べて、早朝時間帯の利用者数はあまり変わりません。コロナ前後の全体の利用者数減少を考えれば、早朝時間帯での減少率の低さは驚くほどです。朝6時台の混雑が相対的に高まっている様子が見て取れます。
オフピークで朝早めの電車に乗ったのに、思ったほど空いていなかった、と感じている方も多そうです。
時間帯別占有率
午前中の時間帯別占有率を見ると、前年同期の朝ピーク時間帯(3)に比べ、今期のピーク時間帯(4)が早まっているのがわかります。
前期は8時30分~9時が定期出場のピークだったのが、今期は8時~8時30分となっています。朝のピーク時間帯を避け、より早い時間に通勤している人が増えている様子が見て取れます。
定期外の時間帯別利用状況
平日の定期外の利用者を見てみると、終日減少していますが、朝夕のピーク時(1、2)にとくに減っています。定期外での通勤・通学需要が減っていると推測されます。
夕方の時間帯(2)においては、プライベートの利用も減少しているとみられます。
また、深夜時間帯の利用者数の落ち込みが、はっきりとわかります。それに比べて、早朝時間帯の利用者数の減少幅は小さいです。
休日の時間帯別の定期外利用状況
休日の時間帯別の定期外利用については、昼の時間帯(3)を中心に満遍なく減少しています。休日のおでかけが減っているのでしょう。
ダイヤ改正に反映か
東京メトロのデータですが、ラッシュのピークが早い時間に移り、深夜時間帯の利用が減っているという傾向は、鉄道各社で同じとみられます。こうした利用状況の変化は、今後のダイヤ改正に反映されるのでしょう。
実際、終電の繰り上げや深夜時間帯の減便は、すでに各社から発表されています。相対的に利用者が多くなった早朝時間帯については、今後増発の手当がなされる可能性もありそうです。