東京シャトルが「成田空港まで800円」の割引を導入。東京駅発の「往路」にのみ設定された理由とは?

京成バスなどが東京駅~成田空港で運転している格安バス「東京シャトル」に片道800円の割引を導入します。名称は「粋割(いきわり)」。2015年11月1日~2016年1月31日の期間限定です。

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通常価格は1,000円

東京シャトルは、東京都心(東京駅、東雲車庫、銀座駅、大江戸温泉物語)と成田空港を結ぶ高速バスです。片道の通常運賃は1,000円(早朝・深夜便は2,000円)、事前予約をすれば900円という低価格が魅力です。

ただ、最近はライバルの「THEアクセス成田」の人気も上昇中。THEアクセス成田はビートランセ・グループが運行開始した東京駅~成田空港間の格安バスですが、2014年12月にJRバス関東との共同運行を開始。東京駅八重洲口のJRバスターミナルに乗り入れるようになりました。JR八重洲口バスターミナルは立地がいいため、東京駅口からの利用は「THEアクセス成田」が便利になりました。

一方、成田空港では、東京シャトルは第1ターミナル、第2ターミナルでチケットを販売する専用カウンターを到着口の目立つ位置に擁しているので、THEアクセス成田よりも存在感があります。THEアクセス成田は第1ターミナル、第2ターミナルにチケットカウンターを持っていません。

つまり、東京駅発はTHEアクセス成田に分があり、成田空港発には東京シャトルに分があるようにみえます。

東京シャトルバス停

両社の力関係を反映

今回、東京シャトルに導入された粋割は、東京駅から成田空港へ向かう往路の予約をすると片道運賃が800円になる、というもの。成田空港から東京駅へ向かう復路には設定されていません。東京シャトルが不利な東京発にのみ値下げに踏み切ったわけで、東京駅と成田空港での両社の「力関係」を反映しているようにもみえます。

要するに、JR参入後守勢に立たされた東京シャトルが、東京駅口でTHEアクセス成田に反撃するわけです。2016年1月31日までの期間限定運賃ですが、値下げ効果があれば、このまま存続することも十分あり得るでしょう。

小児運賃も導入

東京シャトルは、同時に小児運賃も導入します。THEアクセス成田はすでに小児運賃を設定していましたので、対抗上、子ども向けの価格を下げたのでしょう。

東京シャトルの小児運賃は、早朝・深夜便を未予約で乗車する場合は1,000円。そのほかは予約・未予約にかかわらず一律500円となります。小児運賃は満12歳以下が対象で、6歳未満の場合でも1席を占有する場合は小児運賃が必要です。

THEアクセス成田にJRが参入してから、東京~成田空港間の格安バスの競争は、いい意味で盛り上がっています。両社のバスの便数も非常に増えて使いやすくなりました。これからも、両社の健全な競争に期待したいところです。

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