最近、東京の地下鉄駅の至る所で「東京メトロ銀座線全面リニューアル」というポスターを見かけます。2020年の東京オリンピックへ向けた大改良工事のようですが、それ以外にも東京メトロではプロジェクトが目白押しです。
オリンピック対応の改良工事もあれば、ラッシュ時の輸送改善を狙ったものもあり。東京メトロの注目プロジェクトを整理してまとめてみましょう。
銀座線全面リニューアル
まずは、東京メトロの原点ともいえる銀座線。この全面リニューアルは、東京オリンピックを意識したものです。2020年までに全19駅を改装し、ホームドアも設置、車両も全て新型に入れ替える、という野心的なプロジェクト。完成は2020年ですが、早くも2016年度には全ての車両が1000系に更新されます。つまり、銀座線01系はあと2年で姿を消すことになりますので、乗り収めはお早めに。
銀座線では、そのほか、浅草駅構内の折り返し線延伸も検討されています。これはラッシュ時の輸送改善を狙ったもので、遅延吸収能力を高めるためだそうです。
リニューアル後の上野駅。画像:東京メトロ
千代田線は3社直通へ
千代田線では、北綾瀬駅の10両対応を実施します。2018年度完成予定で、これにより代々木上原方面との直通運転が実施されます。
千代田線では、小田急線の複々線化工事完成後に常磐線・小田急線との3社車両の直通も予定されていて、JR車両による我孫子発本厚木行きといった列車が登場するかもしれません。
小田急の複々線化の供用開始は2017年度以降とされていて、そのとき大きなダイヤ改正が行われそうです。並行して16000系電車への更新も進んでいます。
丸ノ内線は方南町直通が誕生
丸ノ内線では、新宿方面から方南町への直通運転開始が目玉プロジェクトです。このため、方南町駅では、6両編成対応のためのホーム延伸工事を実施しています。2016年度の完成予定で、完成後は新宿方面からの直通列車が終日運行される予定です。
日比谷線は20メートル車に
日比谷線は、2016年度から新型車両が投入され、2019年度までに全車両が置き換えられます。新車両は全長20メートルの4ドア車の7両編成です。もともと日比谷線は18メートル車の8両編成ですが、これを20メートル車の7両編成にします。目的はホームドアの設置で、乗り入れ先の東武と車両長を統一しドア位置も全て同じにします。
日比谷線では、虎ノ門に新駅を設置する計画もあります。虎ノ門ヒルズの西側に設置され、銀座線と接続します。2020年の東京オリンピック前の開業を目指しています。
東西線・南砂町駅の2面3線化
東西線では、南砂町駅の線路・ホーム増設という大プロジェクトが行われています。南砂町駅を2面3線化し、中線ホームを使って同一方向交互発着を行えるようにします。
また、飯田橋駅~九段下駅間の上下線の間に、折返し設備を新設する計画もあります。同区間には現在も引き上げ線はありますが、中野方面行き線路の外側にあるので、ラッシュ時の運用に難があります。これを改善します。
南砂町駅改良工事 画像:東京メトロ
有楽町線・小竹向原の平面交差解消
有楽町線・副都心線では、千川駅~小竹向原駅間連絡線工事を実施しています。完成は2017年度で、同区間の平面交差が解消されます。
また、東新宿駅ホームの通過線側にある壁を撤去。交互発着機能を持たせます。この工事自体は難しいものではなく、2015年6月にも撤去完了のようです。
豊住線は実現するか?
新路線建設事業は現時点ではありませんが、有楽町線の豊洲~住吉間(豊住線)の延伸が現実味を帯びてきています。交通政策審議会の次期答申に盛り込まれれば実現の可能性が高くなります。実現すれば、有楽町線の新木場発着の一部列車が住吉発着に振り返られるかもしれません。
「支線」が消滅
まとめると、今後数年で大きく姿が変わるのが銀座線。ダイヤに大きな変更がありそうなのが千代田線です。
また、東京メトロには、現在、丸の内線方南町支線と千代田線北綾瀬支線という複数の「支線」がありますが、その両方が数年以内に「本線」と直通することになります。これにより、東京メトロで系統分離した支線がなくなります。
全国的に人口減少が進む中、これだけプロジェクトが目白押しなのは東京メトロくらいでしょう。首都の地下鉄の改造計画は、これからもまだ出てくるかもしれません。