豪雨被害により長期運休しているJR只見線の会津川口-只見間が廃止される可能性が強くなってきました。これは、JR東日本本社を訪れた只見町長らとの話し合いの中で明らかにされたものです。
JR只見線は、2011年7月の新潟・福島豪雨により鉄橋や路盤が流出。被災当初は会津坂下-小出間の113.6kmが不通となっていました。その後、復旧工事が進められ、2012年10月1日までに会津川口-只見間27.6kmを除いて復旧が完了しました。
この残された区間は、鉄橋流出3箇所を含めて被害が大きく、当初から復旧が危ぶむ声もありました。これについて、JR東日本の役員が同区間の復旧費用を50億円以上であることを明らかにし、今春にも具体的な費用を算定し、復旧させるかどうかを判断することを町長らに伝えました。
微妙なニュアンスですが、「JR単独で50億円もの復旧費用を負担するつもりはない」と受け取れます。赤字企業の場合は災害復旧費用に公的補助が出ますが、黒字企業であるJR東日本にはそうした補助はありません。原則として復旧費用全額がJR東日本負担になるのです。しかし、採算のとれないローカル線に対して50億円も拠出するとなると、民間企業としては二の足を踏まざるを得ないでしょう。
JR東日本では、同様に災害で被害を受けた岩泉線も復旧を諦め、廃止の方針を決めています。岩泉線では復旧費用が130億円と見積もられていましたので、只見線はそれよりは安いといえますが、割にあう投資でないことは同じです。
只見線といえば豪雪区間で知られており、並行する国道ですら冬季通行止めになるほどです。ただし、並行道路が冬季道路閉鎖になる区間に関しては只見線の復旧は完了しており、今回の会津川口―只見間は冬季でも並行道路は通行可能です。そのためバス代替が可能、という判断も働いていると思われます。
鉄道ファンとしては復旧を願いたいところですし、地元住民には痛手と思われます。とはいえ、費用を考えるとJRが単独負担するには大きすぎ、地元自治体で負担できる金額でもなく、妙案を探すのは難しいかもしれません。
なお、只見線については、JR東日本は田子倉駅を3月のダイヤ改正で廃止する方針も示しています。JR東日本によると、近年は年間利用者が約250人にとどまっていることを理由に挙げているそうです。
田子倉駅は豪雪で広く知られている秘境駅です。最近はとくに観光的知名度も上がってきた矢先ですので、廃止になってしまうのはとても残念です。