JR北海道が、2021年3月ダイヤ改正の概要を発表しました。大きな変化があるのが宗谷線で、12駅を一気に廃止し、H100系を集中投入します。
12駅を廃止、18駅を管理移管
JR北海道が発表した2021年3月ダイヤ改正の概要によりますと、同社管内で、宗谷線の12駅をはじめ、計18駅を廃止します。
廃止対象になるのは、以下の駅です。
廃止される駅
■宗谷線 12駅
南比布駅、北比布駅(比布町)、東六線駅、北剣淵駅(剣淵町)、下士別駅(士別市)、北星駅(名寄市)、南美深駅、紋穂内駅、豊清水駅(美深町)、安牛駅、上幌延駅(幌延町)、徳満駅(豊富町)
■石北線 4駅
北日ノ出駅(旭川市)、将軍山駅(当麻町)、東雲駅(上川町)、生野駅(遠軽町)
■函館線 1駅
伊納駅(旭川市)
■釧網線 1駅
南斜里駅(斜里町)
自治体管理になる駅
このほか、以下の駅がJR管理から自治体による維持管理に移行します。
■宗谷線17駅
蘭留駅(比布町)、塩狩駅(和寒町)、日進駅、智北駅(名寄市)、恩根内駅(美深町)、天塩川温泉駅、咲来駅、筬島駅(音威子府村)、佐久駅、歌内駅(中川町)、問寒別駅、糠南駅、雄信内駅、南幌延駅、下沼駅(幌延町)、兜沼駅(豊富町)、抜海駅(稚内市)
■石北線1駅
瀬戸瀬駅(遠軽町)
抜海は存続
ご覧のように、今回のダイヤ改正で大きな変化があるのが、宗谷線です。12駅廃止、17駅管理移管で、実に29駅がJR北海道の管理外になります。宗谷線は、これまで駅の整理が手つかずでしたが、ここで一気に片付けた、という印象があります。
注目は、抜海駅でしょう。稚内市は、当初廃止の意向を示していましたが、地域住民などの強い反対があったためか結論が出ておらず、自治体管理で当面存続となりました。
H100形で時間短縮
JR北海道の2021年3月ダイヤ改正での前向きな話題は、H100形電気式気動車の導入でしょう。30両を一気に導入し、キハ40形を置き換えます。
H100形は、これまで函館本線山線に投入されてきましたが、今回のダイヤ改正では室蘭線(苫小牧~室蘭、東室蘭~長万部間)、宗谷線(旭川~名寄間)、石北線(旭川~上川間)に投入します。
H100形はキハ40形より性能がよく、所要時間が短縮されます。宗谷線の旭川~名寄間では、H100形投入で約11分の短縮効果があります。さらに、5駅廃止の効果で12分の短縮効果があり、ダイヤ調整とあわせて、最大31分(平均13分)の速達化が図られます。
旭川~名寄間は、37本中34本をH100形で運転しますので、ほぼ新型車両によるサービスに置き換わります。
特急「カムイ」などと連絡する札幌~名寄間に関しては、下りは普通列車10本のうち9本について、旭川乗り換えを含めた所要時間を7~30分短縮します(平均14分)。上りは10本について、0~22分短縮します(平均10分)。
短縮効果の大きい主な列車は、以下の通りです。
「サロベツ」減便
特急に関しては「サロベツ3号・4号」を閑散期の曜日運休とします。具体的には4、5、10、11月の火・水・木曜日の運休です。
これにより、旭川発の最終の特急は13時35分発となります。稚内発は6時36分の「サロベツ2号」のあと、17時44分発の「宗谷」まで11時間以上も間が空くことになります。
下り「サロベツ3号」は利用状況の悪い列車ですが、上り「サロベツ4号」は、上り「宗谷」に比べると利用状況が良い列車です。ただ、運用の都合で、両列車をセットにして運休になるのでしょう。
そのほか、普通列車は旭川~比布間の列車が1往復減便となります。旭川10時33分発と、比布11時52分発です。
駅の大量廃止と、列車の減便で、宗谷線は駅間もダイヤも、よりスカスカになりそうです。ただ、新型車導入と所要時間短縮は明るい話題です。これを機会に、収支改善を期待したいところです。