「スカイレール」廃止は2024年4月末に。実際に乗ってみたら…

バス導入に遅れ

広島市の新交通システム「スカイレール」が、廃止時期を2024年4月末に延期します。代替交通機関のEVバスの準備が整わなかったためです。

広告

バス運行は24年3月に

スカイレールは山陽本線瀬野駅に隣接するみどり口からみどり中央までの1.3kmを結ぶ新交通システムです。山上に開発された住宅地と、山麓に位置する鉄道駅を結ぶ路線で、1998年に開業しました。

運行するのはスカイレールサービスという積水ハウス系列の会社です。同社は、スカイレールを2023年12月末を以て廃止する方針を明らかにしていましたが、廃止時期を2024年4月末に延期すると発表しました。

延期の理由は、代替交通として予定していた電気自動車(EV)の路線バス運行について、許認可手続きなどの準備が間に合わないためです。

EVバスの運行開始も、当初予定の2023年11月初旬から、2024年3月30日に延期します。バスの運賃は200円で、スカイレールより30円値上げします。

スカイレール

広告

実際に乗ってみたら……。

スカイレールは、「ロープ駆動式懸垂型交通システム」という、世界唯一の方式で運行されている路線です。

現在は日中15分間隔、ラッシュ時7~8分間隔で、1日あたり平均約90便、土休日は約70便を運行しています。

廃止時期延期が発表された6月14日に、ちょうど乗ってみましたが、日中の時間帯に、往復とも4~6名程度の利用者でした。1時間で片道あたり20名程度、往復40名程度の利用者という計算です。

スカイレール

広告

所要時間は増えそう

鉄道統計年報によりますと、新型コロナの影響を受ける前の2019年度のスカイレールサービスの平均通過数量(輸送密度)は1,456です。統計上の数字を見ても、実際に乗ってみた印象としても、バス転換そのものに大きな支障はなさそうです。

ただ、沿線は坂が多く、バスとなれば所要時間が大幅に増えるのは避けられません。一方で、停留所が団地内16箇所に増えるので、居住地によっては利便性が上がる側面もあるでしょう。

なお、週末は鉄道ファンの「さよなら乗車」が増えているそうですが、平日日中の利用者は沿線住民とおぼしき人ばかりでした。(鎌倉淳)

【関連記事】
「スカイレール」2023年末に廃止。世界唯一の交通システムが姿を消す

広告