JR首都圏グリーン車が縮小へ。東北線、常磐線の系統分離で

有料着席サービスにも限界

2022年3月ダイヤ改正で、首都圏のJR線普通列車のグリーン車エリアが縮小します。東北線・宇都宮~黒磯間でグリーン車の扱いがなくなるほか、常磐線では系統分離により日中時間帯は利用できない列車が増えます。

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宇都宮~黒磯間ワンマン化

JR東日本は、2022年3月12日ダイヤ改正で、首都圏の一部郊外路線で系統を分離します。まず、東北線(宇都宮線)では、宇都宮~黒磯間にE131系を投入。3両または6両編成でワンマン運転を実施します。

これにともない、東北線普通列車は原則として宇都宮で系統を分離し、黒磯発着の東京方面直通列車は廃止されます。そのため宇都宮~黒磯間でグリーン車を連結する列車がなくなります。JR東日本は、同区間でのグリーン車営業を終了すると、正式に告知しました。

黒磯発着の東京方面直通は、朝夜に数本が設定されているだけですが、一部列車は熱海まで267.9kmを走ります。この首都圏最長の普通列車も、ダイヤ改正後は宇都宮発着に変更されるとみられます。

首都圏グリーン車

土浦で系統分離

常磐線では、日中時間帯に土浦で系統分離します。これまでは上野~勝田間直通で、土浦以北も10両編成で運転されてきましたが、ダイヤ改正後は土浦乗り換えとなり、土浦以北は5両編成となります。

品川・上野から来た列車が水戸方面に直通する運用も残るものの、日中は15両編成のうち5両のみが水戸方面に運転します。

これらの措置により、日中時間帯は土浦以遠で普通列車グリーン車が連結されなくなる見通しです。系統分離は日中時間帯のみなので、朝夕の上野~水戸直通列車は存続し、グリーン車はこれまでどおり連結されるようです。

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拡大の歴史

首都圏の普通列車グリーン車は、国鉄末期は東海道線と横須賀・総武線にしか連結されていませんでした。

民営化後、2001年の湘南新宿ラインの開業にあわせて東北・高崎線方面にエリアを拡大。2007年には常磐線にも導入されました。2023年度には中央線にもグリーン車を設置する予定で、利用者の着席ニーズに応えてきました。

最近になって、鉄道各社が有料着席サービスに力を入れるようになってきましたが、その先鞭を付けたのがJR首都圏グリーン車といえます。

現在のグリーン車営業エリアは、下図のように、北は高萩、黒磯、前橋、南は伊東、沼津に達します。

首都圏普通列車グリーン車エリア
画像:JR東日本ホームページ

有料着席サービスにも限界

今回のJR首都圏グリーン車の縮小は、こうした拡大の歴史からの転換点になるのかもしれません。有料着席サービスにも限界があるという当たり前の事実を示したようにも感じられます。

有料着席サービスは混雑区間でこそ求められるわけで、普通車の座席に余裕があるエリアでは、グリーン車をつないでも利用者は限られます。JRとしては、それならワンマン運転や短編成化でコスト削減という話になるのでしょう。

とはいえ、遠距離通勤者や青春18きっぷで長旅をする人には、寂しい話といえそうです。(鎌倉淳)

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