西武池袋線「快速急行」の運転縮小。2022年3月ダイヤ改正を読み解く

メトロ直通も削減

西武鉄道が2022年3月12日ダイヤ改正の概要を発表しました。快速急行をはじめとした速達サービスの縮小が目立つ内容です。発表を読み解いていきましょう。

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快速急行の運転縮小

西武鉄道が2022年3月12日のダイヤ改正の概要を発表しました。プレスリリースでは詳細な時刻が明らかにされていませんが、現在の時刻表と照らしあわせながら、発表内容を読み解いていきます。

まず、池袋線関係の大きなトピックスは、快速急行の運転縮小です。平日朝ラッシュ時には、飯能発池袋行き快速急行2本のうち1本の運行を取り止め。日中時間帯には、東京メトロ有楽町線・副都心線と直通運転する快速急行(Fライナーを含む)を、飯能発着から小手指発着に短縮します。

土休日の快速急行では、小竹向原を11時以降に発車する下り列車と、小手指駅を12時以降に発車する上り列車を、飯能発着から小手指発着に変更します。夕方に運転されている西武秩父発池袋行き快速急行も、各駅停車飯能行きに変更し、飯能で急行池袋行きに接続する形となります。

これらのダイヤ変更により、小手指以遠の速達サービスは、特急を除きかなり縮小されることになります。

西武6000系快速急行

夜の優等列車も削減

夕・夜間の速達サービスも削減します。

平日は、池袋駅を18時以降に発車する優等列車4本、土休日は21時以降に発車する優等列車3本の運転を取り止めます。優等列車の種別は明らかではありませんが、池袋口でも混雑時間帯の速達サービスを縮小することになります。

一方で、日中時間帯の急行の所要時間を短縮し、池袋~所沢間を最速21分で運行します。

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メトロ直通を削減

東京メトロ有楽町線との直通運転削減も注目点です。平日、土休日とも11時~17時頃の毎時2本の新木場発着列車の運転を取りやめます。西武池袋線からの副都心線も含めたメトロ直通は、日中毎時10本から8本に縮小することになります。

この影響で、メトロ有楽町線内では毎時2本が新木場~池袋間の区間運転となります。有楽町線池袋~小竹向原間の運転間隔が10分も空いてしまう時間帯が生じそうです。

もともと西武有楽町線・メトロ線直通列車は日中時間帯に供給過多のようでしたが、メトロ線内の池袋折り返しを生じさせてまで減便に踏み込んだのは、やや意外感があります。

狭山線は20分サイクルに

西武秩父線では、飯能~西武秩父間を平日12~15時台で毎時2往復削減。ダイヤの大枠を変えないなら、1時間間隔の時間帯が生じそうです。土休日の削減はありません。

狭山線は、平日日中時間帯に毎時4本を3本に削減します。20分サイクルのダイヤになりそうです。土休日は、10時台と11時台で上り2本、下り1本の削減にとどめます。

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新宿線は日中12分サイクル化

新宿線関係では、平日日中時間帯(12時~15時頃)に、急行、各駅停車とも毎時1本を削減します。現在は毎時6本なので、新ダイヤでは毎時5本になるわけで、10分サイクルから12分サイクルへの変更を意味します。拝島線(小平~多摩上水間)、国分寺線も同様になります。

このダイヤ変更は平日のみ告知されているので、土休日は10分サイクルが維持されるようです。ただし、土休日午前中の快速急行西武新宿発本川越行きの運転を1本取りやめ、1本のみが残ります。

一方、多摩湖線は、平日、土休日ともに増発し、国分寺~萩山駅間の日中時間帯は10分間隔で運転します。

朝の通勤急行は1本に

新宿線では、朝ラッシュ時にも減便します。具体的には、通勤急行の本川越発西武新宿行き1本と、各駅停車2本を削減します。通勤急行は上り1本だけになります。

多摩湖線では、朝の多摩湖発西武新宿行きの各駅停車2本を国分寺行きに変更します。この多摩湖発の2本削減と、上記の西武新宿着2本削減が同一なのか別枠なのかははっきりしません。萩山始発の国分寺行き2本は、多摩湖始発に延長します。

このほか、朝の新宿線狭山市始発の各駅停車2本を、本川越始発1本と新所沢始発1本とし、狭山市始発の列車がなくなります。朝の国分寺線と西武園線の直通運転は取りやめます。

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夜も削減

平日夜時間帯は、西武新宿を19時以降に発車する優等列車3本、各駅停車1本の運転を取りやめます。

土休日は西武新宿を17時~19時台に発車する各駅停車を毎時2本取りやめます。

多摩湖線では、土休日の22時以降の列車をすべて国分寺・多摩湖発着に変更し、所要時間を一部短縮します。これは狭山発着の列車を多摩湖まで延長することを意味します。多摩湖発萩山行き最終電車は国分寺まで延長し、国分寺着の最終が20分繰り下がります。

特急列車は減便なし

特急列車の運転本数の変更はなく、ダイヤ変更にとどまります。新宿線の平日朝の特急の所要時間が最大3分短縮するのがトピックスですが、ラッシュ時の運転本数削減により、ダイヤに余裕ができたからかもしれません。

料金不要の速達サービスを廃止する一方、特急や「S-TRAIN」は現状の本数を維持するわけで、速達サービスと着席サービスをセットで有料としていく姿勢が見てとれます。

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速達サービスの削減目立つ

2022年3月12日西武鉄道ダイヤ改正を全体的に見渡すと、目立つのは池袋線の快速急行縮小と、メトロ直通減便、新宿線平日12分サイクル化でしょうか。新宿線では小平~川越市間で特急以外の速達サービスがほとんどなくなります。

力を入れているのは多摩湖線で、増発し国分寺方面への利便性を高めます。新宿線を不便にする一方で、中央線方面への利便性を向上させることになりますが、その需要のほうが強い、ということでしょうか。

西武鉄道では、「生活様式の変化を踏まえ、ご利用状況に応じたダイヤに変更」と告知しています。新型コロナウイルス感染症後の利用者減少を受けて、「選択と集中」が行われた内容といえそうです。(鎌倉淳)

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