新千歳空港駅のループ化が浮上しました。空港駅を途中駅化することで線路容量を増やす案です。新千歳空港アクセス鉄道の輸送力増強案には、ほかにも、複線化案、スルー化案などもありますが、実現できるのでしょうか。
国交省に要望
北海道の鈴木直道知事は、3月11日、新千歳空港のアクセスを担うJR千歳線の改良について、国の財政支援などを求める要望書を金子恭之国土交通相に渡しました。
要望書は、千歳線に単線区間があるため列車の増便が不可能になっていると指摘。国に路線改良などへの支援を求めました。

改良に複数案
千歳線の南千歳~新千歳空港間は単線で、新千歳空港駅のホームは6両編成対応の1面2線しかありません。そのため、ダイヤの制約が厳しく、列車増発には限りがあります。
各社報道によりますと、改良方法として、新千歳空港駅から線路を延長して、再び札幌方向に接続する一部ループ化案や、単線区間を複線化する案、帯広、苫小牧方面との直通案など、複数の案が出ています。
このうち、複線化案や直通案はこれまでにも取り沙汰されてきました。新たに浮上したのは、ループ化案です。詳細は明らかではありませんが、既存の新千歳空港駅を生かして線路を先に延ばし、急曲線で南千歳駅に戻る形が考えられます。
ループ化により、新千歳空港駅が事実上の途中駅となり、折り返しの必要がなくなります。結果としてダイヤに余裕ができ、列車増発もしやすくなります。低いコストで高い効果を狙う事業化案といえます。

車両が逆向きに
ただ、ループ化すると、車両の向きが反対になりますので、車両番号が列車によって逆になってしまう問題があります。
新千歳空港と札幌駅を結ぶ快速エアポートには、指定席が付いています。新千歳空港方から4両目ですが、ループ運用になると、列車によっては3両目になってしまいます。案内を徹底することで問題を小さくはできますが、統一されている方がわかりやすいのはいうまでもありません。
また、ループ化したところで、千歳線札幌~南千歳間の線路容量が増えるわけではありません。この区間の列車本数は多く、快速エアポートの増発の妨げとなっています。ループ化により新千歳空港駅の容量が増えても、快速エアポートの増発には限りがあります。
本腰を入れるなら
輸送力増強に本腰を入れるなら、複線化と新千歳空港駅のスルー化が効果的です。スルー化すれば、札幌~苫小牧間を走る列車を空港輸送に活用できますので、札幌~南千歳間の設備が現状のままでも、空港アクセス列車を大幅に増やせます。
ただ、スルー化となると、ループ化に比べ、かかる費用は桁違いになります。スルー化は以前から検討されてきましたが、実現できていないのは、費用対効果で割に合わないとみられてきたからでしょう。
ループ化、複線化、スルー化のいずれも決まった話ではなく、今後の検討で、課題や費用対効果などが洗い出されていくとみられます。
地域未来戦略
むしろ、今回の鈴木知事の要望のポイントは、ループ化にあるのではなく、高市早苗政権が掲げる「地域未来戦略」に新千歳空港アクセス改善を絡めたことにありそうです。
新千歳空港の鉄道アクセスの改善は、10年以上前から課題に挙がっているものの、事業費などが課題になって実現していません。「地域未来戦略」という国策に紐付く補助金を得ることで、長年の懸案の解決に目途をつけよう、という狙いでしょう。
北海道において観光産業は非常に重要で、観光客の玄関口となる新千歳空港アクセスはその要です。ならば、十分な予算を配分し、100年後も使用に耐えうるような、より良い形で整備してほしいところです。(鎌倉淳)























