JR北海道が札沼線の代替交通案を提示。3区間に分け、既存バスも活用

3つの区間に分けて検討

JR北海道が「単独では維持困難」としている札沼線の北海道医療大学~新十津川間について、路線廃止後の代替交通案を地元に提示しました。

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輸送密度は「66」

札沼線の北海道医療大学~新十津川間の輸送密度は66人キロ(2016年度)。JR北海道が「単独で維持困難」とする路線のなかでも際だって低く、JR北海道は地元自治体に対し、路線廃止を提案しています。

北海道の有識者会議が2018年2月10日にまとめた報告書でも、札沼線に関しては、廃止を前提とした扱いとなっています。

こうした状況のなか、JR北海道では、廃止後の新しい交通体系について、同社で検討した内容を、札沼線沿線まちづくり検討会議で示しました。

札沼線

3つの区間に分けて検討

それによりますと、JR北海道では、北海道医療大学~新十津川間を3つの区間に分けて検討。既存のバス路線も活用しながら、新たな交通体系を築くとしています。3つの区間とは、石狩当別~石狩月形間、石狩月形~浦臼間、浦臼~新十津川間です。

順に見ていきましょう。

石狩当別~石狩月形間

この区間は、現在、鉄道に並行するバス路線がありません。沿線の月形高校へ通学する生徒が札沼線を利用しているため、廃止後は鉄道路線に沿う形で代替バス路線を新設します。バスの本数は、現在の列車本数よりも増便します。特に、月形高校の下校時間帯に増便し、利便性を向上させるとしています。

代替バス路線は石狩当別駅発着とし、北海道医療大学駅を鉄道との接続駅とします。北海道医療大学~石狩当別間では列車を増便し、北海道医療大学駅の設備を改善、バス乗換設備を新設します。

なかでも午前中の上り便を増やし、列車との乗り継ぎを改善します。これにより、札幌方面への利便性が向上するとしています。

石狩月形~浦臼間

石狩月形~浦臼間では、札沼線に沿う形でのバス路線を新設し、月形高校への通学輸送を含めた輸送手段を確保します。

また、石狩月形以北は、バスで石狩川対岸の都市への移動する流動が大半であることから、浦臼町から札幌方面への移動手段を確保するため、 現在平日のみ運行の浦臼~奈井江間の町営バスを土休日も含めた毎日運行とします。

浦臼・新十津川間

浦臼~新十津川間では、現在、札沼線は1日1往復するのみです。鉄道の利用者は極めて限られていることから、新規のバス路線の設定はしません。

既存のバス路線として、北海道中央バスの滝川浦臼線があるため、その活用を促します。新十津川から札幌方面への移動手段としては、新十津川~滝川間の既存バスの利用を促すことにしています。

JR北海道としては、新しいバス路線について、地元事業者による運行を求めていきます。また、運行にあたっては国や北海道の補助制度を活用し、地元負担分に関しては、JRが初期費用と運行経費を一定期間支援するとしています。

札沼線代替交通
画像:JR北海道プレスリリースより

永続的に維持できるのか

部外者の感想で申し訳ないのですが、今回の提案内容は、札沼線の利用状況からみれば現実的に見えます。

ただ、地元にはそれぞれの事情もあるでしょうし、JRの提案が地元住民にとって受け入れ可能な内容なのかは、何ともわかりません。バス転換するにしても、地元事業者ではなく、JR直営を求める声が出てきたりもするでしょう。

何より、JRが支援する「一定期間」がどのくらいの長さなのか、代替バスが永続的に維持されるのか、といった点は、気になるに違いありません。この提案を叩き台にして、使いやすい交通ネットワークが長く維持できる方策が打ち出せれば、何よりなのですが。(鎌倉淳)

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