深刻な大雪の影響で札幌圏で全面運休が続いているJR北海道が、除雪について説明しています。
札幌圏で全面運休
2月6日の大雪の影響で、札幌圏のJR路線は7日に全面運休、8日も運休が続いています。
すでに天候が回復していることもあり、JR北海道に対しては、復旧に時間がかかっていることに対する疑問も投げかけられているようです。これに対し、JR北海道が除雪状況を説明。その内容をみてみます。
留置車両が雪に埋まり
まず、2月6日の降雪状況についてですが、列車運転中に風雪が急激に強まり、吹きだまりが相次いで発生しました。そのため、運行不能になった列車が数多く発生し、途中駅に留置されたままとなりました。
こうた留置車両は、やまない降雪のため雪に埋もれてしまいます。
降雪が峠を越えた後、JR北海道では運転再開のため、駅の留置車両を一編成ずつ車両基地に動かす作業を始めました。これにより、列車が走行する「本線」をあけます。
人力作業で
留置車両を動かすためには、車両手前まで除雪車などによる機械除雪ができますが、埋まった車両の近くでは除雪車が使えません。そのため、手で掘り出すという人力作業になります。掘り出した後、ようやく車両は車庫に移動できます。
上図で説明すると、上り本線のように留置車両がいなければ、除雪用機械は緑矢印のように、真っ直ぐ進めます。この場合、除雪車が走れば本線は空けられます。
しかし、下り本線のように留置車両がいれば、赤矢印の経路をたどって、車両前後の除雪をしなければなりません。
車両前後の除雪を終え、車両を車庫などに移動した後、残った雪を機械で除けながら次の留置列車に向かい、同様の手順で列車を動かしていきます。
今回は17駅に29編成が留まりましたので、こうした作業を何度も繰り返さなければならず、本線を空けて運転再開をするのに時間がかかってしまうということです。
そのほか、除雪用機械に負荷がかかりすぎ、突発的な故障が起こることもあります。また、高架駅の排雪作業は地上駅と違って手間がかかります。こうしたことも、除雪を遅らせる要因となります。
札幌~手稲が優先の理由
JR北海道では、札幌~手稲間を最優先にして復旧作業を進めています。これについては、札幌圏で使用する主な車両の基地が手稲(稲穂)にあるためです。
その次は札幌~新千歳空港を優先していますが、札幌~南千歳間が道南・道東など各方面へ向かう列車が重なって運行する区間であり、影響が多方面に及ぶことを理由に挙げています。空港アクセスもそれに含まれるでしょう。
除雪に使用する機械、人力、運用する車両には限りがあるため、優先順位を付けるのはやむを得ないところです。
通常の降雪対策としては、ポイント部分に融雪器を設置したり、降雪が多く見込まれる日は、ポイント切換の頻度を落とすために発着番線を変更したり、運行本数を削減したるするなどの対策をしています。ただ、今年は例年以上の降雪量となり、とくに2月6日くらいの集中降雪になると対応しきれなかったようです。
非常に手間と時間のかかる除雪作業を続ける作業員の方には、頭が下がります。(鎌倉淳)