サハリン航路をロシアの船会社が運航へ。2016年夏期限定、「現代の稚泊航路」が、なんとか復活!

稚内とロシア・サハリンのコルサコフを結ぶ「サハリン航路」が、2016年夏季限定で運航される方向になりました。ロシアの船会社が270トンの双胴型客船をレンタルして運航します。2015年9月のハートランドフェリー撤退後、存続が危ぶまれてきた「現代の稚泊航路」が、期間限定で復活することになりそうです。

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ハートランドフェリーは撤退

サハリン航路は、1999年から定期運航してきたハートランドフェリーが不採算を理由に2015年9月を最後に撤退しました。これを受けて、稚内市などは第三セクター「北海道サハリン航路」を設立し、定期運航を引き継ぐ姿勢を見せているものの、2016年度の運航は断念しています。

これを受けて、ロシア・サハリン州の船舶運航会社「サハリン海洋汽船」(SASCO)が、7月から9月の3ヶ月間、コルサコフ~稚内間で客船を運航する方向が固まりました。SASCOは、シンガポールの船舶会社から双胴船「ペンギン32」(270t、定員80人)を借り受け、7月25日~9月16日に、チャーター便として週2便程度、16往復運航する予定です。稚内発が火・金曜、コルサコフ発が月・木曜で、所要時間は4時間半です。

ペンギン32写真:maritime-connector.com

バイクの搬送は不可?

運航経費はサハリン州政府と日本側が応分に負担し、北海道サハリン航路が日本側の総代理店となりチケットの販売などを行います。

チャーター便のため、一般旅客も定期便に近い形で利用できるかどうかは、現時点では不明です。ただ、おそらくはそうなると期待しましょう。

双胴旅客船なので、車両は運べませんし、バイクの搬送も不可になるとみられます。サハリンはバイクツーリングで人気がありますので、その点では残念に思うファンもいるでしょう。自転車についてはわかりませんが、輪行袋を用いれば持ち込めるかもしれません。

日本人よりロシア人の利用者が多い

ロシア側が運航に手を挙げた背景として、最近のサハリン航路利用者は、日本人よりもロシア人のほうが多くなっていた、という事情があります。日本人利用者が多かったのは2005年までで、最近はロシア人観光客が増えているためにロシア側が運航に前向きになったようです。

ただ、ロシア側が運航することに懸念がないわけではありません。とくに、安全性と定時性については日本人の要求水準は高いので、日本側のツアーが利用するには、ある程度運航実績を見てから、ということになる可能性があります

なんであれ、戦前の稚泊航路の伝統を引き継ぐサハリン航路が、2016年も存続する方向になったのは喜ばしいことです。これからも、安全で安定した運航が続けられることを願いたいところです。(鎌倉淳)

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