JR西日本「着席サービス」の最終形は? 大阪~姫路に通勤特急「らくラクはりま」を新設

2022年度に向けて

JR西日本が大阪~姫路間に通勤特急「らくラクはりま」を新設します。新快速の「Aシート」につづく、有料着席サービス第2弾です。

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289系6両編成

JR西日本は、2019年春にJR神戸線で通勤特急の運行を始めると発表しました。大阪~姫路間を約1時間で結ぶ列車です。平日の朝に姫路発、夕方に大阪発の片道1本ずつを運行します。詳細な時刻表は未発表です。

列車名は「らくラクはりま」。289系6両編成で、オーシャングリーンの帯を巻いた「くろしお」用の車両です。全351席で、このうち18席を女性専用席とします。自由席2両、指定席3両半、グリーン車半室という編成です。

停車駅は大阪、三ノ宮、神戸、明石、西明石、加古川、姫路の各駅です。

JR西日本の通勤特急としては、JR京都・琵琶湖線方面に「びわこエクスプレス」があります。「らくラクはりま」により、通勤特急の運行区間を西に拡大することになります。

らくラクはりま
画像:JR西日本ウェブサイト

らくラクはりま編成表
画像:JR西日本ウェブサイト

らくラクはりま
画像:JR西日本ウェブサイト

J-WESTチケットレスで破格値

特急料金は、大阪~明石・姫路間が自由席970円、指定席1,490円。大阪~三ノ宮・神戸間が、自由席650円、指定席1,170円です。

「J-WESTカード」会員向けの「J-WESTチケットレス」サービスを利用すると、指定席が大阪~姫路間720円、大阪~明石間620円、大阪~三ノ宮・神戸間510円となります。

らくラクはりま料金表
画像:JR西日本ニュースリリース

らくラクはりま料金表
画像:JR西日本ニュースリリース

J-WESTチケットレスの価格が飛び抜けて安く設定されており、通勤で利用する層には、J-WESTカードの保有を促しているといえます。

自由席向けには、「神戸線自由席回数特急券」(4枚つづり)を発売します。料金は1枚あたり560円~780円。自由席回数券でもJ-WESTチケットレス指定席より高い値段になっています。

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中期経営計画を受けて

JR西日本では、同じく2019年春から新快速の2編成に「Aシート」という有料座席車を設置して、1日あたり上下4本を運転する計画です。「らくラクはりま」は、これに続く、JR西日本の有料着席サービス第2弾となります。

JR西日本が、在来線で有料着席サービスの検討を示唆したのは、2018年4月に発表された中期経営計画でのこと。「着席ニーズにお応えする車両」という表現で、その導入を明らかにしました。これを受けて、新快速の「Aシート」導入、通勤特急「らくラクはりま」設定と話が進んだことになります。

ただ、「Aシート」は2編成にとどまりますし、通勤特急も平日1往復のみ。いずれも試験的な雰囲気が漂います。

らくラクはりまロゴ
画像:JR西日本ニュースリリース

利用状況を比べながら

中期経営計画の目標年度は2022年度。北陸新幹線敦賀開業の年であり、「サンダーバード」「しらさぎ」に使われている特急用車両681系・683系に余剰が見込まれています。

681系は微妙ですが、683系はまだ使用に耐えうる車齢です。しかし、その転用先は明らかではありません。「らくラクはりま」で使う289系は、683系を改造した車両です。となると、将来の683系転用による通勤特急の増強を視野に入れた、試験的な位置づけもありそうです。

JR西日本としては、通勤特急「らくラクはりま」と新快速「Aシート」の利用状況を比べながら、2022年度末の北陸新幹線敦賀開業に向けて、「着席ニーズにお応えする車両」の最終形を固めていくのでしょう。(鎌倉淳)

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