向ヶ丘遊園はこう変わる! ショッピングモールや大規模温浴施設を建設へ

住宅はつくらない

小田急電鉄が、向が丘遊園の跡地開発の計画概要を発表しました。商業施設、温浴施設、自然体験エリアの3つが軸になる、新しい郊外型レジャー施設が誕生するようです。

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2002年に閉園

向が丘遊園は、川崎市多摩区あった小田急電鉄系の遊園地です。1927年の小田急線開業と同時に開園し、「花と緑の遊園地」として沿線住民に親しまれてきましたが、2002年3月に閉園しています。

この跡地について、小田急では2004年に川崎市と「向ヶ丘遊園跡地に関する基本合意書」を締結。その利用計画の具体化を図ってきました。このほど固まったコンセプトは、「人と自然が回復しあう丘」です。

約16万2700平米の開発地全体を「商業施設エリア」「温浴施設エリア」「自然体験エリア」の3つエリアに分け、身近なレジャーやちょっとした非日常を感じられる特別な空間や体験を創出します。2023年度のオープンを目指します。

向ヶ丘遊園再開発計画
画像:小田急電鉄プレスリリース

分棟型のショッピングモール

商業施設エリアは、総面積29,900平米。買い物や飲食などをゆっくりとくつろぎながら楽しめるショッピングモールです。分棟型が特徴で、「ちょっとした非日常感」のある施設展開を図ります。

具体的な施設概要は明らかではありませんが、周辺に不足する飲食業態を中心とし、地域の「ハブ機能」を果たすことを目指します。

向ヶ丘遊園再開発計画
画像:小田急電鉄プレスリリース

大江戸温泉物語に匹敵

商業施設の東に位置する温浴施設エリアは、25,600平米。東京の大江戸温泉物語の敷地面積が30,800平米ですので、それに匹敵する大きさです。緑に囲まれた環境のなかで、伝統的な温泉旅館を連想させる日本家屋様式の温浴施設を展開します。

露天風呂、貸切個室風呂、着衣サウナなどを設置し、施設規模や機能面で全国有数の温浴施設を目指すとしています。天然温泉を掘削するかは定かではありません。

向ヶ丘遊園再開発計画
画像:小田急電鉄プレスリリース

グランピングやキャンプも

最大面積となるのが、自然体験エリアです。39,300平米の敷地に豊かな自然を体験できるアウトドア系施設やグリーンショップを導入。グランピングやキャンプなどの宿泊機能も持たせます。小田急では、この自然体験エリアを、計画地の中核としたい考えです。

商業施設で買い物し、温浴施設で入浴し、自然体験エリアで宿泊する、といった使い方ができるのかもしれません。

向ヶ丘遊園再開発計画
画像:小田急電鉄プレスリリース
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実現しなかった跡地計画

向が丘遊園の跡地利用については、これまで二度にわたり計画が浮上してきましたが、いずれも実現に至りませんでした。

2004年に小田急電鉄と川崎市が「向ヶ丘遊園跡地に関する基本合意書」を締結した後、2007年に小田急がマンション建設を中心にした跡地利用計画を発表しました。しかし、住民の反対にくわえ、リーマンショックなどの経済情勢の悪化もあり、実現しませんでした。

2010年には規模を縮小した「向ヶ丘遊園ガーデン&レジデンス」の構想を発表し、庭園住宅やガーデン施設を整備する方針を明らかにしました。しかし、これも実現せず、2014年に小田急が見直しを表明し、新たな跡地の利用計画を策定するとしていました。一方で、2011年には、跡地の一部に藤子・F・不二雄ミュージアムが開館しています。

住宅をつくらない計画

今回の計画は、2007年、2010年の両計画と違い、住宅をつくらないのが特徴的です。かわりに、地域住民に受け入れられやすいショッピングモールを中心に据え、多世代に人気のある大規模な温浴施設を設け、都心に近いエリアとしては稀少なアウトドア宿泊施設を備えました。

人口減少時代と、高齢化社会に対応し、地域住民とインバウンドの両方を意識した計画になっているといえそうです。(鎌倉淳)

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