大阪駅西側再開発まとめ。新改札口と新駅ビルで、北梅田駅を取り込むか。

同一駅になるの?

大阪駅が西側へ大拡張します。西側高架下に新改札口を設置し、駅ビルも新設。「大阪駅」はどこまで広がるのでしょうか。

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「大阪駅西口」を開設

大阪駅西側への拡張工事は、2020年~2027年にかけて行われます。まず、大阪環状線のホームを西側に延長し、その高架下に改札口や商業ゾーンを整備します。

大阪環状線は最大8両編成のため、最大12両編成が停まる神戸線、京都線よりもホームが短くなっています。これを神戸線・京都線並みに西側へ伸ばします。神戸線・京都線のホームも先端が細くなっている部分を拡幅します。

大阪駅西側の高架下には新改札口を整備し、各ホームとを結ぶエレベーター、エスカレーターを設置します。現在、大阪駅西端の改札口は「桜橋口」ですが、それより西に新しい改札口ができるわけです。本記事では、これを「大阪駅西口」と呼びます。大阪駅西口の新改札口は2023年春に暫定供用開始し、2024年夏に本供用開始となります。

大阪駅西側高架下再開発
画像:JR西日本プレスリリース

大阪駅西口改札には南北貫通通路を設置し、周辺には商業ゾーンを展開。バスターミナルも新設し、交通結節点とします。西口高架下の延床面積は約7,000平米で、店舗面積は3,000平米です。

現在の飲食店街「梅三小路」や商業施設「アルビ」は、今回の再開発に先立ち閉鎖します。高架下の商業ゾーンやバスターミナルは、2027年春までに開業します。

大阪駅西側高架下再開発
画像:JR西日本プレスリリース
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「西口駅ビル」を建設

その大阪駅西口の北側には、新駅ビルを建設します。「ルクア大阪」が入るノースゲートビルディングの西隣で、2024年秋に開業予定。これを本記事では「西口駅ビル」と呼びましょう。

大阪駅西口駅ビル
画像:JR西日本プレスリリース

「西口駅ビル」は、地上23階、地下1階建て、高さ120mで、延床面積は約59,000平米です。1階が駅コンコース、2階が通路・広場、3~5階が商業ゾーン、6~22階がオフィスゾーンです。

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中央郵便局跡地に超高層ビル

一方、大阪駅西口の南側では、旧大阪中央郵便局跡地に超高層ビルが建ちます。地上39階、地下3階建てで、延床面積は約227,000平米に達します。

大阪駅西地区再開発
画像:JR西日本プレスリリース

地下1階~6階が商業施設、7階~8階と29階~38階がバンケットを備えた客室約400室の高級ホテル、9~27階がオフィスです。5階~8階には劇場も入ります。劇場はMBSグループが運営し、約1,200人を収容。演劇やミュージカル、演芸などが行われます。

大阪駅西地区再開発
画像:JR西日本プレスリリース

ビルの1階では大阪駅西口高架下の通路とつながり、新改札口と直結します。また、地下では西梅田地区と大阪駅を結ぶガーデンアベニューと直結します。さらに、2階レベルには歩行者デッキを整備して、大阪駅のサウスゲートビルディングと直結します。3つの階層でJR大阪駅とつながるわけです。

大阪駅西地区再開発
画像:JR西日本プレスリリース

アトリウムに面して、旧大阪中央郵便局舎の一部(正面側)を保存・移設して空間演出を行うのも特徴です。開発規模は大きく、西梅田の景観を一変させる大プロジェクトになるでしょう。こちらは西口駅ビルより半年ほど早い、2024年3月竣工予定です。

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北梅田駅ともリンク

大阪駅西口の再開発は、東海道線支線に地下化によって作られる新駅(仮称:北梅田駅)の設置事業ともリンクします。北梅田駅はうめきた2期地区に建設中で、関空特急「はるか」や紀勢線特急「くろしお」の停車が予定されているほか、将来的にはなにわ筋線の始発駅にもなります。

大阪駅西口は北梅田駅近くに位置します。パースを見ると、北梅田駅の地下道の出口から道路を挟んだ反対側に、大阪駅西口があります。普通に考えれば、この地下道を延ばして、大阪駅の新改札口につなげるのでしょう。北梅田駅と大阪駅西口は距離にして50m程度にすぎません。道路下に埋設物がなければ、地下道をつなげるのは難しくなさそうです。

大阪駅西口駅ビル
画像:JR西日本プレスリリース

ただ、北梅田駅と大阪駅がどう連絡するかについて、公式発表はありません。北梅田駅が大阪駅と別の駅となるのか、大阪駅の構内に取り込まれるのかも、現時点では明らかにされていません。

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駅ビルの計画図

北梅田駅と大阪駅西側高架の間には、西口駅ビルが建ちます。西口駅ビルは地上23階建て地下1階建てですが、JR西日本のプレスリリースには、最上階の23階と、地下1階の用途が示されていません。機械室か何かかもしれませんが、はっきりしません。

大阪駅西口駅ビル
画像:JR西日本プレスリリース

西口駅ビルは、大阪市都市計画審議会で計画図が公表されています。それを見ると、駅ビルの地下1階やや東側に、幅12~13mほど掘り下げた部分がみられます。大阪駅西口改札口内のコンコースに接するあたりです。

大阪都市計画交通広場の変更
画像:大阪市都市計画審議会議第244号

プレスリリースに示された新改札口の位置と付き合わせると、大阪駅西口と北梅田駅を改札内の地下通路で結ぶなら、ここにできる空間を活用することになりそうです。逆にいえば、この空間が両駅の構内連絡のために設けられているのなら、北梅田駅は大阪駅に取り込まれることになります。

大阪駅西口高架下
画像:JR西日本

「暫定供用」と「供用」

JR西日本の発表によると、北梅田駅の開業予定は2023年春で、それにあわせて西口改札を「暫定供用開始」します。北梅田駅の開業に間に合うように、大阪駅西口改札を暫定的に設置するということです。

そして、西口改札の「供用開始」は2024年夏とされました。西口駅ビルの開業は2024年秋ですから、新駅ビルの建物がおおむね完成してから新改札口の供用が本格的に開始されるわけです。

「暫定供用」と「供用」はJR西日本プレスリリースの表現で、その違いはどこにあるのか、これもよくわかりません。駅ビルが完成することで、改札口も完成するということのようですが。

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同一駅か、別の駅か

新改札口と北梅田駅開業の時期が一致することから、JR西日本が新改札口と北梅田駅を連携させるのは間違いないでしょう。どのような形でつながるのかが、まだわかりません。

制度面から見れば、別駅ながら運賃・料金面で特例を設けて同じ駅のように扱うのか、完全に同一駅にしてしまうのか、はっきりしません。

ちなみに、JR西日本は、北梅田駅を「うめきた(大阪)地下駅」と表現しています。国土交通省などが、なにわ筋線の起点として表記する際は「北梅田駅(仮称)」が標準ですが、JR西日本は「北梅田駅」と表記しません。

JR西日本のいう「めきた(大阪)地下駅」が、大阪駅構内の一部となるのか、北新地駅のような独立駅になるのか。どこかの段階で発表されるのを楽しみに待ちたいと思います。(鎌倉淳)

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