大船渡線のBRTが、いよいよ運行されます。運行開始は2013年3月2日。運行区間は気仙沼-盛間です。この区間は、東日本大震災により不通となり、路線バスへの振替輸送が行われてきました。
BRTの運行に関する業務は岩手県交通・ミヤコーバスに委託されます。これにともなって、現在行われている岩手県交通への振替輸送は前日の3月1日を以て終了となります。
BRTで注目されるのは専用道区間ですが、今回運行される気仙沼-盛間で専用道となるのは、大船渡-盛(田茂山踏切)間の約1.9kmのみ。それ以外は一般道を走行します。その先、小友-大船渡間約11kmについても工事が進められており、秋までに専用道化される予定です。
運行は、以下の6系統に分かれます。
・気仙沼-盛(国道45号経由。脇ノ沢、小友、細浦は通らない)
・気仙沼-盛
・気仙沼-陸前高田
・陸前矢作-盛
・陸前矢作-陸前高田
・気仙沼-上鹿折
このうち、最後の気仙沼-上鹿折間については既存のミヤコーバス鹿折金山線の気仙沼駅前-上鹿折駅前間をBRT扱いとして運行します。この区間は道幅が狭いため、BRT専用のバスでの運行が難しいようです。
陸前高田市内には駅(停留所)を2カ所新設します。長部(鹿折唐桑-陸前高田間)、高田病院(陸前高田-脇ノ沢間)です。津波被害の大きかった陸前高田、脇ノ沢の両駅と、山間部の陸前矢作駅は、従来の駅とは違う場所に設置されます。
陸前高田駅は高台に移転し、「みどりの窓口」が復活します。ただし、「みどりの窓口」の営業日は火・木・日曜日のみ、営業時間は10-13時、14-16時と限定的です。
BRT車両は、ノンステップ型のハイブリッド新型車両が順次導入されます。運行状況を確認することのできる「ロケーションシステム」も導入され、気仙沼、大船渡、盛の各駅の待合室ではモニターで現在地などを確認できます。
運行本数は鉄道時代と比べ大幅に増え、気仙沼-陸前高田間が上下計25本、陸前矢作-陸前高田間が同37本、陸前高田-盛間が同51本となります。ただし、ミヤコーバスの既存路線を利用する気仙沼-上鹿折間は同11本と少なくなります。
以下は、気仙沼-盛間の直通列車時刻表です。
■気仙沼駅発時刻表(盛行き直通列車のみ掲載。上段:気仙沼発、下段:盛着)
05:32 06:32 07:32 09:22 11:22 12:22 13:52 16:22 17:52 19:22 20:40 21:30
06:43 07:43 08:43 10:45 12:45 13:45 15:03 17:45 19:03 20:45 22:03 22:53
■盛駅発時刻表(気仙沼行き直通列車のみ掲載。上段:盛発、下段:気仙沼着)
05:10 07:05 08:00 09:30 10:30 12:00 14:00 16:20 18:20 19:00 20:30
06:33 08:16 09:23 10:41 11:41 13:23 15:23 17:31 19:31 20:23 21:53
運賃はBRTだけを利用した場合は鉄道と同額です。JR線に乗り継いだ場合は、鉄道とBRTを合算しますが、岩手県南や宮城県北の一定区間で発着すれば100円引きとなります。
全体に利用しやすさよりも、鉄道時代の駅へのアクセスを重視した印象です。運行本数も増やして、鉄道時代よりも改善されていることをPRするダイヤといえましょう。今後、BRTを広めるための試金石ともいえる路線ですので、JRも採算性よりも利便性を重視させたようです。
今後は鉄道駅跡にこだわらず、停留所を増やしたり運行ルートに柔軟性を持たせて、地元住民の方が利用しやすい運行形態に移行していってほしいものです。