JR東日本がオフピーク定期券の詳細を発表しました。東京近郊の電車特定区間に導入し、ピーク時間帯に使えないかわりに約10%割引となります。
電車特定区間に
JR東日本が発表したオフピーク定期券は、平日朝のピーク時間帯の1時間30分間を利用できないかわりに、通常の定期券に比べて約10%値下げするもの。ピーク時間帯に利用した場合、通常運賃が別途必要となります。2023年3月に導入する予定です。
オフピーク定期券の設定範囲は、首都圏の電車特定区間で完結する定期券です。おおざっぱには、東京を中心に、大船、高尾、大宮、取手、千葉の範囲です。横須賀線は久里浜まで含まれます。
Suica定期券限定
オフピーク定期券の設定はSuica通勤定期券のみで、紙の定期券(磁気定期券)や、通学定期券には設定されません。
2023年3月に、通常の通勤定期券は、現行の定期券から平均で1.4%値上げし、さらにバリアフリー料金を加算します。オフピーク定期券は現行運賃から約10%値下げして、バリアフリー料金を加算します。
各駅のピーク時間帯は?
ピーク時間帯は駅によって異なり、各駅で1時間30分ずつ設定します。利用時刻の判定は改札口の入場時で、出場時の時刻は関係ありません。
オフピーク定期券で、ピーク時間帯に改札口を通って入場する場合、別途IC普通運賃がかかります。つまり、ラッシュのピーク時に定期券は完全無効となります。
各駅のピーク時間帯は、現在実施中の「オフピークポイントサービス」のピーク時間帯を基本として設定する予定です。その時間帯は以下の通りです。ピーク前後の時間帯はオフピーク定期券で利用可能です。
山手線
山手線各駅のピーク時間帯は、おおむね07時20分~08時50分ごろです。東京、新宿、品川といったターミナル駅では07時30分~09時00分となっています。
中央線
中央線は吉祥寺駅が07時15分~08時45分。国分寺駅が06時55分~08時25分。八王子駅が06時35分~08時05分です。なお、下表の大月~相模湖間は、オフピーク定期券の設定区間外です。
京浜東北線
京浜東北線(南方面)は、横浜駅が07時00分~08時30分、大船駅が06時40分~08時10分です。
京浜東北線(北方面)は、川口駅が07時05分~08時35分、大宮駅が06時45分~08時15分です。
常磐線
常磐線は松戸駅が07時05分~08時35分、我孫子駅が06時45分~08時15分です。下表の土浦~藤代間はオフピーク定期券の設定区間外です。
総武線
総武線は船橋駅が06時55分~08時25分、千葉駅が06時35分~08時05分です。
方面により違いがありますが、おおむね06時30分~09時00分のうち1時間30分が利用できない時間帯として設定されています。都心に近づくほど、利用できない時間が後ろ倒しになります。
なお、上記は、現行の「オフピークポイントサービス」のピーク時間帯です。オフピーク定期券の設定時間が多少ずれる可能性はありますので、実際に購入される方は、購入前にお確かめください。
足が出るのは?
以上が、オフピーク定期券の概要です。
気になるのは、オフピーク定期券で、月に何回くらいピーク時間帯に乗ってしまうと足が出るのか、という点でしょう。
新宿~八王子間の定期券を例にとってみましょう。6ヶ月定期で通常定期が70,530円のところ、オフピーク定期券では62,600円となります。つまり7,930円安くなります。
同区間は現行IC運賃が482円で、バリアフリー運賃を10円加算すると、2023年3月には492円となります。
計算すると、オフピーク定期券は、通常定期券に比べ、通常運賃の16.1回分安いことになります。つまり、6ヶ月で17回、ピーク時間帯に乗ると(通常IC運賃を支払うと)、通常定期券より高く付く計算です。足が出ないようにするには、ピーク時間帯利用を月2回までに押さえる必要があります。
受け入れられるのか?
オフピーク定期券が割に合うかは、利用者の働き方によるので何ともいえません。たとえば、10時以降が始業時間という、元からオフピークの人には悪くない内容で、通常定期券からのシフトが起こりそうです。
一方、9時や9時半が始業時間といった、定時がピーク時間帯の人には、たとえフレックスな勤務形態でもオフピーク定期券に手を出しにくいのではないか、という印象です。
会社として導入すると、早出のときに精算が必要になるという手間も生じますし、取り入れる企業がどれだけあるのかは予想しづらいところでしょう。
JR東日本としては、オフピーク定期券の導入による増収は見込んでいないそうですので、10%程度がオフピーク定期券に移ると考えているようです。(鎌倉淳)