「ローカル路線バスの旅 陣取り合戦」第9弾 三島~甲府を分析する。夜間偵察vs情報収集

ひよったんですね

「ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 陣取り合戦」第9弾が放送されました。太川陽介が率いるチームと河合郁人が率いるチームが、静岡県三島市から山梨県甲府市を目指して競いました。

乗り継ぎで気になった部分を検証してみましょう。なお、以下はネタバレ100%です。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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市町村を取り合う

「ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 陣取り合戦」は、ローカル路線バスを乗り継いで「陣」に見立てた各市町村の名所・名物を体験し、その数を競うテレビ番組です。

その第9弾が2022年9月14日にテレビ東京系列で放送されました。対決したのは、ルイルイこと太川陽介が率いるチームと、A.B.C-Zの河合郁人が率いるチームです。

太川チームには、太川チームには、あのちゃん、こがけんが参加。河合チームには久代萌美、田村亮が加わりました。

どちらのチームも使っていいのはローカル路線バスのみ。ただし、両者とも1万円までタクシーを利用できます。

スタートは静岡県の三嶋大社。ゴールは甲府市の甲府城跡です。静岡・山梨県内の61市町村を陣に見立て、1泊2日で陣取りを競います。ゴール時刻は18時までで、より多くの陣を確保したチームが勝ちです。

なお、今回も20時以降の陣取りやバス乗車は禁止されました。面積の広い「どデカ陣地」には、2か所チェックポイントが設定されていて、そのうち一つには2陣を与えるというボーナスも設定されています。

ローカル路線バスの旅陣取り合戦第9弾
Ⓒテレビ東京

水バラ ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 陣取り合戦 第8弾 爽快!初夏の青森でバトル
【出演】 太川陽介、あの、こがけん、河合郁人、久代萌美、田村亮
【放送日】2022年9月14日(水) 18時25分~21時54分(テレビ東京系列)

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太川チームの実際ルート

まずは、両チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻や距離、経路は、筆者による推定です。

最初に太川チームのルートです。☆は獲得した「陣」の市町村名です。

▽1日目
三島駅08:30→08:39伏見南→徒歩0.7km→柿田川公園(☆清水町)→徒歩0.7km→伏見南09:29→09:41大手町10:21→10:34沼津港→0.7km→あした葉(☆沼津市)→徒歩0.7km→沼津港11:04→11:11大手町11:32→12:15東田子浦駅12:35→12:51平家越橋→平家越碑(☆富士市)→徒歩1.3km→吉原中央駅13:15→13:16吉原四丁目13:30→13:55富士宮駅14:10→14:39白糸の滝観光案内所前→徒歩0.7km→白糸の滝(☆富士宮市)→徒歩0.8km→白糸の滝入口15:00→15:50富士緑の休暇村→徒歩0.4km→道の駅なるさわ(☆鳴沢村)16:49→17:15河口湖駅→徒歩1.2km→小曲展望広場(☆富士河口湖町)→徒歩0.2km→遊覧船・ロープウェイ入口18:12→19:30甲府駅

▽2日目
甲府駅07:08→07:30農林高校→07:43小笠原橋→徒歩0.1km→瓦屋(☆南アルプス市)→徒歩0.1km→小笠原橋08:40→08:52長沢火の見→徒歩0.2km→利根川公園(☆富士川町)→徒歩0.2km→長沢火の見09:27→09:30追分→徒歩1.6km→富士川大橋→タクシー6.9km、3,170円→た・から農産物直売所(☆中央市)→タクシー2.9km→麩の岡田屋(☆昭和町)→タクシー7.7km→信玄堤(☆甲斐市)→タクシー0.8km、計4,810円→12:15本竜王12:31→12:40六科→徒歩1.5km→御勅使工業団地入口→タクシー3.7km、2,000円→下宿→徒歩1.1km→韮崎駅14:10→14:53甲府駅→徒歩0.3km→甲府城跡(☆甲府市)

韮崎駅を14時10分に出たバスは、定刻の場合、甲府駅に14時53分に着きます。甲府城までは駅からすぐですが、ゴール時刻は15時32分でした。

最終的に太川チームが獲得した陣は、清水町、沼津市、富士市、富士宮市、鳴沢村、富士河口湖町、南アルプス市、富士川町、中央市、昭和町、甲斐市、甲府市の計12か所でした。



Googleマップの経路は概略です。実際のルートとは異なります。(以下同)

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河合チームの実際ルート

つづいて、河合チームの実際ルートです。

▽1日目
三島駅(南口)→徒歩1.0km→三島駅新幹線口→徒歩1.7km→鮎壺の滝(☆長泉町)→徒歩2.1km→三島駅10:00→11:00御殿場プレミアムアウトレット11:10→11:20御殿場駅→徒歩0.1km→石川商店(☆御殿場市)→徒歩0.1km→御殿場駅12:30→12:53道の駅すばしり(☆小山町)13:53→14:07山中湖旭日丘→徒歩0.4km→旭日丘観光(☆山中湖村)→徒歩0.4km→山中湖旭日丘14:57→15:16えびすや前→徒歩0.4km→忍野八海(☆忍野村)→徒歩0.4km→えびすや前16:28→16:49富士山駅→タクシー2km、900円→一休(☆富士吉田市)→タクシー2km、900円→富士山駅18:00→19:30甲府駅→タクシー→昭和町→タクシー2,900円→甲府駅

▽2日目
甲府駅05:50→06:13石和温泉駅→徒歩6.0km→08:10山梨市駅→タクシー3.8km、1,370円→フルーツ公園(☆☆山梨市)→タクシー8.3km、2,900円→石和温泉駅(☆笛吹市)09:59→10:29甲府駅前11:00→11:30イオンモール甲府昭和→徒歩0.7km→麩の岡田屋(空振り)→徒歩0.7km→イオンモール甲府昭和12:00→12:30甲府駅13:50→14:42韮崎駅→タクシー+徒歩3km、1,010円→和こう(☆韮崎市)→徒歩3km→鳥の小池16:52→17:00韮崎駅17:00→17:43甲府駅→徒歩0.3km→甲府城跡

河合チームのゴールは17時52分。18時のタイムリミットギリギリのゴールとなりました。韮崎市の陣から韮崎駅へは、鳥の小池からのコミュニティバスを利用したようです。その場合、韮崎駅での乗り継ぎ時間は時刻表上は0分ですが、何とか乗り継げたようです。

河合チームの獲得した陣は、長泉町、御殿場市、小山町、山中湖村、忍野村、富士吉田市、山梨市(2陣)、笛吹市、韮崎市の10陣でした。


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太川チームの検証

では、両チームのとったルートについて、気になる部分を検証してみましょう。まずは太川チームからです。

三島駅でジャンケンに勝った太川チームは、沼津方面のバスに乗車。清水町の陣(柿田川公園)を手堅く獲った後、沼津市の陣である沼津港に向かいます。

ところが、大手町で約40分のバス待ちとなり、しわ寄せで沼津港の滞在時間が短くなってしまいました。結果的には沼津港でのミッションを短時間で済ませて事なきを得たのですが、もう少し早く行くことも可能でした。

▽1日目
柿田川公園(☆清水町)→伏見南09:29→09:41大手町10:01→10:10沼津港

実際ルートで、太川チームは大手町で約40分も待っていますが、上記の通り、その半分の20分で乗り継ぐことができました。

ショートカットの失敗

沼津駅から大手町を経て沼津港に向かうバスは、伊豆箱根バスと東海バスの2社があります。大手町09時41分発と10時21分発が伊豆箱根バス。10時01分発が東海バスです。

伊豆箱根バスと東海バスの停留所は少し離れていて、一行が伊豆箱根バスの停留所で時刻表を確認したところ、9時41分発が行ったばかりでした。バス停が異なる東海バス10時01分発には気付かず、そのまま約40分を待つことになりました。もし、東海バスの停留所に行っていれば、20分早い便に乗れたでしょう。

大手町で東海バスの停留所に気付くのは難しかったかもしれませんが、ショートカットをせずに、伏見南からのバスを終点の沼津駅前バス停まで乗っていれば、気付くことができたかもしれません。その場合、以下のようになります。

▽1日目
伏見南09:29→09:49沼津駅10:00→10:10沼津港11:04→11:12沼津駅

いうなれば、大手町での乗り継ぎミスは、ショートカットをしたが故の見逃しでした。ただし、その後の行程に影響はありませんでした。

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1日目に隙なし

太川チームは、その後、吉原中央駅での乗り間違いがあったものの、すぐにリカバーし、富士宮駅14時10分発のバスに乗車。富士宮市の陣(白糸の滝)も確保して、河口湖方面への最終バスに乗車します。

さらに、鳴沢村の陣(道の駅なるさわ)、富士河口湖町の陣(小曲展望広場)を獲って、甲府市に抜けることができました。

この間、一度もタクシーを使わず、歩いた距離も僅かです。この乗り継ぎは見事で、1日目の太川チームの乗り継ぎに隙はなさそうです。

なお、富士宮から北上せずに、南部町から身延町に入るルートはバスがつながらず困難です。本栖湖から身延町方面へはバス路線がありますが、時刻があいません。

精進湖から上九一色に抜ける道筋は、「太川蛭子のバス旅2019 第6弾」で宇垣美里と通り抜けたルートですが、このときは精進にタクシーを呼ぶ時間がかかりました。その記憶がルイルイに残っていたはずですので、採り得ないでしょう。

信玄堤に向かっていたら

2日目に進みます。この日の太川チームの最初のポイントは、信玄堤でしょうか。甲府駅からバスに乗り、農林高校前で下車すれば信玄堤へ行けるという情報を得たものの、スルーして南アルプス市へ向かいました。仮に信玄堤へ向かっていたらどうなっていたでしょうか。

▽2日目
甲府駅07:08→07:30農林高校→徒歩3.4km→信玄堤(☆甲斐市)→徒歩0.8km→本竜王08:36→09:07韮崎駅

農林高校で下車して、信玄堤まで約3.4kmを歩きます。甲斐市の陣を獲得した後、最寄りの本竜王のバス停から韮崎駅へ向かうバスに乗り、韮崎市の陣を目指したことでしょう。

その後の行程については仮定を重ねることになるので検証しませんが、河合チームが山梨市方面に向かったのであれば、太川チームが大きく不利になる展開にはならなさそうです。ただ、農林高校から信玄堤へは3.4kmも離れているので、あえてこのタイミングで訪れる必要もなく、ルイルイの判断は正しかったといえます。

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印章資料館に向かっていたら

実際ルートに戻ります。信玄堤をスルーした太川チームは、南アルプス市の陣(瓦屋)、富士川町の陣(利根川公園)を相次いで確保。小刻みにバスを乗り継ぎ、追分という停留所から歩いて富士川大橋を渡りました。

市川三郷町に入って陣の位置を確認したところ、印章資料館とわかりました。富士川大橋からは10km近く離れていて、タクシーに乗ると片道3,000円くらいはかかります。これを知ったルイルイは、印章資料館訪問を諦め、中央市方面へ転じます。

ここは、今回、ルイルイの最大の決断だったかもしれません。仮に印章資料館を目指していたらどうなっていたでしょうか。

▽2日目
利根川公園(☆富士川町)→徒歩0.2km→長沢火の見09:27→09:30追分→徒歩1.6km→富士川大橋→タクシー9.6km→印章博物館(☆市川三郷町)→タクシー7.6km→鰍沢営業所11:02→11:58甲府駅前

上記の乗り継ぎでは、印章資料館に寄った後、甲府エリアの最寄りのバス停である鰍沢営業所までタクシーで戻ると仮定しています。実際には、鰍沢営業所から甲府駅に直行するとは思えませんが、わかりやすくするために甲府駅行きのバス時刻を表示しています。

甲府行きバスをどこかで降りて陣を獲りにいくことになりますが、時間的には、中央市の陣(た・から農産物直売所)と昭和町の陣(麩の岡田屋)の2陣で、河合チームの後手を踏む可能性があります。

したがって、印章博物館へ向かうのは、戦略として上手くないでしょう。つまり、印章資料館に向かわなかったことは好判断といえます

身延市を狙えたか

ただし、本当に印章資料館に行ったら、身延町の境まではすぐですので、身延町の陣も狙っていたでしょう。

身延町は「どデカ陣地」ですので、2陣を得られるかもしれません。中央市、昭和町、甲斐市の3陣を失っても、身延町の陣を得られれば合計の陣数は同じなので、悪くはありません。

ただ、河合チームの獲得陣も増えるので、トータルでは太川チームに厳しい結果に終わっていた可能性が高そうです。

要するに、ルイルイが市川三郷町に向かわなかったことは、昭和町で河合チームの先手を打つという意味も含めて、正しい判断だったといえます。

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河合チームの検証

つづいて、河合チームの検証です。三島駅でジャンケンで敗れて御殿場方面に向かうと決めた後、長泉町の陣(鮎壺の滝)を早々に確保したのはファインプレーでした。

その後、裾野市も通過したはずですが、放送では全く触れられていませんでした。おそらくは、河合チームがスルーして、スルーされた陣の店舗が店名公表を望まなかったのでしょう。

その後、御殿場市、小山町、山中湖村、忍野村、富士吉田市と、陣を一つ一つ確保していきます。どこもバス停から近くわかりやすい場所の陣が多く、取りこぼしはありませんでした。

夜間偵察の失敗

河合チームにとって、1日目の最大の決断は、甲府駅からの夜間偵察でしょう。富士吉田から甲府駅へ向かうバスで太川チームと呉越同舟になったことで、先手を取ろうと、甲府駅からタクシーに飛び乗って、昭和町まで夜間偵察に向かいます。

結果として、昭和町の陣が判明したものの、営業時間外であえなく空振り。陣を得るところなく、タクシー代を2,900円も失ってしまいました。夜間偵察は失敗に終わったと言っていいでしょう。

甲斐市を偵察していたら

ちなみに、甲府駅から昭和町までは約5km。同じくらいの距離で、西側の甲斐市境に行くこともできました。もし甲斐市にタクシーで向かっていたら、信玄堤がチェックポイントですので、そのまま進んで夜間に1陣を得られたかもしれません。

▽1日目
19:30甲府駅→タクシー7.8km、2,850円→信玄堤(☆甲斐市)→タクシー7.8km、2,850円→甲府駅

ただ、信玄堤まで行くと、上記のようにタクシー代を往復で5,000円くらい使ってしまいます。これでは翌日の行程に支障もでるため、「信玄堤に行っていたらよかった」という話でもなさそうです。

甲府駅のバスセンターは20時30分まで案内窓口が開いていますから、20時までの活動時間帯を使い切れば、河合チームも太川チームの後に情報収集をすることができたことでしょう。今回に関しては、夜間偵察よりも情報収集に徹した方がよかったように感じられます。

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山梨市へのバス

2日目、河合チームはなんと5時台のバスで石和温泉方面に向かいます。狙いは「どデカ」山梨市の2陣で、往路に石和温泉駅に立ち寄って陣であるワイナリーの営業時間もチェックしておこうという作戦です。

ここで気になったのは、石和温泉駅から山梨市内まで歩くと決めつけていることでしょうか。実は、以下のような乗り継ぎも可能でした。

▽2日目
甲府駅前07:45→08:15石和温泉駅08:25→08:43山梨厚生病院→徒歩2.1km→フルーツ公園→徒歩2.1km→山梨厚生病院10:23→10:41石和温泉駅11:08→11:38甲府駅前

石和温泉駅から山梨厚生病院までのバスがあり、そこから2km上り坂を歩けば、フルーツ公園です。石和温泉駅からの始発が8時25分。これに乗るには甲府駅前07時45分のバスで足り、山梨厚生病院に08時43分に到着します。

一行が実際ルートで山梨市駅に着いたのは08時10分頃ですので、それに比べれば30分あまり遅くなりますが、フルーツ公園のカフェの本来の営業時間は10時30分からですし、9時頃に到着できれば、これでも十分早いでしょう。

御勅使行きバスに乗っていたら

同じ早起きをするなら、甲府駅から御勅使方面行きのバスに乗ってみるという選択もありました。

▽2日目
甲府駅前06:16→06:35本竜王→徒歩0.6km→信玄堤(☆甲斐市)→徒歩0.6km→本竜王07:22→07:43甲府駅前08:10→08:33石和温泉駅09:15→09:33山梨厚生病院→徒歩2.5km→フルーツ公園(☆☆山梨市)→徒歩2.5km→山梨厚生病院11:50→12:08石和温泉駅(☆笛吹市)13:06→13:36甲府駅前

上記は、朝に甲斐市にバスで向かってみて、陣(信玄堤)を獲得。その後、甲府に戻り、バスを乗り継いで山梨市の陣(フルーツ公園)と笛吹市の陣(石和温泉駅)を押さえるというルート案です。

実際には、信玄堤が陣であることは行ってみないとわからないのですが、甲斐市から折り返して、山梨市に向かっても、タクシーを使わず4陣を得られたという例として示してみました。

仮定に仮定を重ねた机上論ですが、フルーツ公園の開店時間の繰り上げはおまけ感もありますし、制作側はこのくらいの時間に訪れることを想定していたのではないか、という話です。

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下教来石往復を考えてみる

河合チームの劣勢を決定づけたのは、昭和町合戦の敗退でしょう。訪れたのに陣が獲れなかったのは痛恨でした。最後、韮崎市の陣はなんとか確保しましたが、北杜市方面へ足を伸ばすことはできませんでした。

では、北杜市方面へ向かうには、どういう乗り継ぎがあったのでしょうか。放送でも取り上げられた、下教来石方面のバスに乗ると仮定しましょう。

逆算すると、韮崎駅から下教来石方面のバスに乗車して、折り返してゴールできるのは、以下の乗り継ぎが最終です。

▽2日目
甲府駅前11:20→12:02韮崎駅13:45→14:25下教来石下14:42→15:22韮崎駅15:30→16:13甲府駅前

河合チームは、石和温泉からのバスで10時29分に甲府駅に着いていましたので、この乗り継ぎを実現することは可能でした。

また、上記は韮崎駅15時30分発のバスで甲府に戻っていますが、韮崎駅17時のバスに乗っても、時刻表上は18時までに甲府城跡にゴールできます。そのため、タクシー代が残っていれば、下教来石方面からの帰路に、韮崎駅からタクシーで韮崎市の陣(和こう)に寄ることもできます。

韮崎駅~下教来石間の沿道に北杜市の陣があり、2陣獲得できるなら、韮崎市とあわせて、この往復だけで3陣が得られることになります。その場合、河合チームは2日目に6陣を得ることができ、引き分けに持ち込めていました。もちろん、北杜市の陣がどこにあるかはわかりませんので、仮定の話ですが。

電撃戦は可能だったか

河合チームが勝利できる別の可能性として、1日目に先を急いで甲府盆地へ向かっていたらどうなっていたかも考えてみます。御殿場以降のチェックポイントを全てスルーして、一気に甲府盆地を目指す「電撃戦」を展開した場合です。

▽1日目
御殿場駅12:30→13:45河口湖駅14:08→15:01石和温泉駅(☆笛吹市)16:31→17:00甲府駅南口

1日目に笛吹市の陣を得て、甲府駅に17時頃に着くことができます。ただ、今回は甲府盆地の陣の多くが日中に営業している店舗となっていて、17時に甲府駅に着いても訪問できる陣は限られます。

つまり、先を急いで甲府盆地に入っても、十分な「蓋」をすることができません。そのため、一気に先行する「電撃戦」を仕掛けても不発に終わっていた可能性が高そうです。

つまり、河合チームが、1日目にルート上の陣を丁寧に拾っていったことが、間違っていたとはいえません。むしろ、全スルーしていたら、劣勢のまま2日目を迎えて大敗していた可能性もあるでしょう。

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情報収集の大切さ

河合チームの行程を振り返ると、2日目の午前中に、市町村の少ない甲府盆地東側へ向かってしまったのが大きな失敗だったように思えます。二日目は太川チームも同じ甲府駅スタートでしたが、最初の方面選択の差が、そのまま勝敗につながってしまいました。

背景として、太川チームは1日目夜に甲府駅で十分な情報収集をしたのに対し、河合チームはしなかったことでしょう。かわりに仕掛けた夜間偵察が不発に終わったことで、劣勢を強いられた感があります。

そう考えると、大きなバスターミナルでの情報収集の大切さが改めて感じられた回となりました。逆に、先手を取って「蓋」をする電撃戦や、終バス後の「夜間偵察」といった奇策が、万能でないことを示した回とも言えるでしょう。

まとめてみると

全体をまとめてみると、1日目は両チーム取りこぼしもなく、まったくの互角で甲府駅に到着しました。

甲府駅到着後、バス窓口に寄ったか、タクシーで夜間偵察に出かけたかが、勝敗を分けた印象です。むろん、これは結果論で、昭和町の陣が夜間でも得られるものであれば、河合チームには大きなアドバンテージになっていたはずです。つまり、たんに賭けに敗れただけともいえます。

夜間偵察だけなら賭けに敗れただけですが、翌朝、市町村の少ない甲府盆地東部方面に向かったことは、情報収集不足に起因する判断ミスと言えるかもしれません。結果として、太川チームに甲府盆地西部エリアの総取りを許してしまいました。

河合チームも西部方面に進んでいれば、太川チームが獲得した陣のいくつかは横取りできたはずですから、勝機はあったでしょう。夜間偵察VS情報収集という視点で見ると、後者に軍配が上がったという話です。

メンバーではあのちゃんの存在感が際立ち、こがけんのアシストも効いて、太川チームの士気は高かったように感じられました。対する河合チームは、過去太川に2勝の田村亮が盛り上げましたが、河合を補佐する参謀役を欠いた観があり、及びませんでした。

これで、太川チームが4勝3敗2引き分けとなり、一つ勝ち越しました。次回も楽しみです。(鎌倉淳)

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