神戸空港、国際線化が正式決定。就航先とアクセス増強は?

定期便は2030年ごろ

神戸空港の国際化が決定しました。2025年にも国際チャーター便の受け入れを開始し、2030年ごろに定期便を設定します。

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3空港懇談会で合意

関西、伊丹、神戸の3空港の役割を議論する官民組織「関西3空港懇談会」は、2022年9月18日に大阪市内で会合を開き、2030年ごろをメドに神戸空港を国際化することで合意しました。

国際線の発着回数は、定期便を1日最大40回です。これに先だって、関西万博を開催す2025年には、不定期の国際チャーター便を受け入れることも決めました。

国内線についても、新たなターミナルを整備した上で、1日の発着回数の上限を現状の80回から120回に引き上げることで合意しました。運用時間も拡大される見通しですが、現時点では未確定で、航空需要を踏まえて検討します。

神戸空港

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国内専用空港で出発

神戸空港は2006年に開港しました。1970年代に国際空港の候補地となりながら拒否したという歴史的経緯があり、2,500m滑走路1本を備えるだけの国内線専用空港という位置づけで建設されました。開港後も、発着回数や離着陸ルートに厳しい制約が課せられてきました。

背景として、関西空港の経営難がありました。しかし、インバウンドの隆盛やLCCの発達で関西空港の利用客が増加。2018年には台風被害で関空が一時閉鎖される事態も起き、リスク分散のため、神戸空港の国際化が本格的に検討されるようになりました。

2019年には、3空港懇談会で中長期的な検討として国際化に合意。そしてようやく、2030年という具体的な年限を定めた正式合意にこぎ着けました。

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就航先は?

国際線化で新設される就航先は未定ですが、2,500m滑走路で1日最大40回となると、近距離の定番路線が予想されます。ソウルや台北、香港などで、遠くてもバンコクやシンガポールあたりでしょう。

それでも、神戸市民の旅行者には朗報です。現状、神戸から海外に行くには関西空港を利用するのが一般的ですが、大阪湾の反対側に位置し、なにしろ遠いです。市内にある神戸空港に国際線が発着するようになれば、神戸からアジア主要都市へ行きやすくなります。

アクセスを改善できるか

課題は神戸空港のアクセスでしょう。

現在、神戸空港アクセスの主役はポートライナーですが、近年は朝夕ラッシュ時の混雑が激しくなっています。また、三宮駅から片道18分もかかり、距離のわりに遠く感じます。そのため、国際線化で発着便数が増加するなら、空港アクセスの増強が不可欠です。

とはいえ、ポートライナーの輸送力増強や高速化には限界があります。現実的なのは、空港バスの路線拡大でしょう。現在は三宮駅、新神戸駅から、わずかなバス便があるだけですが、今後、三宮エリア以外も含めて、空港バスのネットワーク拡大と増便を期待したいところです。(鎌倉淳)

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