西鉄「特急大削減」「運賃値上げ」を断行。コロナ禍の苦境映す

日祝ダイヤも新設

西鉄が2021年3月ダイヤ改正で、平日昼間の特急を全廃します。運賃も最大40円値上げするなど、コロナ禍での大改革を断行します。

広告

日中時間帯の特急を格下げ

西日本鉄道が、2021年3月13日ダイヤ改正の概要を発表しました。改正するのは天神大牟田線で、平日ダイヤは現行732本を713本に約3%を削減。土曜ダイヤは現行654本を642本に約2%削減。新設する日祝ダイヤは、現行654本を626本に約4%削減します。

なかでも大きなトピックスは、平日の日中時間帯(11時~15時台)です。西鉄福岡~大牟田間の特急を急行に格下げ。福岡~小郡間の急行を削減します。これにより、日中時間帯に特急が走らなくなります。現行ダイヤと改正ダイヤの、日中福岡口の運転本数は以下の通りです。

現行:特急2本、急行4本、普通6本
改正:特急0本、急行4本、普通6本

西鉄福岡駅の時刻表比較は以下の通りです。

西鉄2021年3月ダイヤ改正
画像:西鉄プレスリリース

福岡~大牟田間の所要時間は、特急が64分のところ、急行は73分で、9分増となります。

このほか、平日夜間時間帯(21時以降)では、終電時刻を約15~30分繰り上げるとともに、21時以降の減便を行います。

終電繰り上げ、深夜・夜間の減便は、JR九州も2021年3月ダイヤ改正で実施する予定です。快速サービスの縮小も近年の傾向です。新型コロナを機に、西鉄も足並みを揃える形です。

広告

土曜と日祝を分離

西鉄の2021年3月ダイヤ改正のもう一つの特色は、これまで同一だった土曜日と日曜祝日のダイヤを、土曜ダイヤと日祝ダイヤに分けることです。

土曜ダイヤでは、深夜帯および朝時間帯の減便を行いますが、日祝ダイヤではそれに加えて、18時以降の減便を行います。日祝は夕方以降の利用が少ないためのようです。

土曜、日祝ダイヤとも、特急の減便は少なく、1日で2本減のみです。日中の特急運行は継続します。

西鉄では減便の理由を「新型コロナウイルス等の影響による働き方や行動様式の変化に伴い、利用動向が大きく変化しているため」などとしています。

西鉄3000形

最大40円の値上げ

運賃の値上げも行います。実施日は2021年3月6日で、西鉄天神大牟田線と貝塚線の一部区間が対象です。

値上げとなるのは、国から認可されている運賃(上限運賃)を下回る設定をしている区間で、上限運賃と同額に値上げします。天神大牟田線は最大20円、貝塚線では最大40円の値上げとなります。

西鉄福岡発の場合、井尻・雑餉隈が10円値上げで260円に、春日原・白木原・下大利が20円値上げで310円に、都府楼前・西鉄二日市・紫・西鉄五条が10円値上げで360円となります。

貝塚発の場合、西鉄香椎などが10円値上げで210円に、和白、三苫が30円値上げで260円に、西鉄新宮が40円値上げで310円となります。

西鉄では、運賃値上げの理由を、「新型コロナウイルス感染症の影響で利用者が減少しているなか、持続的な輸送サービスを提供し続けるため」としています。

国の認可の範囲内での運賃変更なので、手続き的に簡単なところから手を打ってきた、ということでしょう。

減便と値上げという、鉄道会社としては厳しい措置をほぼ同時に断行せざるを得ない点に、西鉄の苦境が見て取れます。(鎌倉淳)

広告
前の記事芳賀・宇都宮LRT「事業費1.5倍増」の理由をみてみる。開業は1年遅れに
次の記事JR東海315系の投入スケジュール。初年度は8両編成を7編成