JR東日本が、2026年3月期中間決算の資料で、武蔵野線と西武池袋線の直通運転を検討していることを明記しました。JRが投資家向け資料(IR)でこの計画を明記したのは初めてです。
新秋津・所沢連絡線
JR武蔵野線と西武池袋線の直通運転構想は、2025年6月にメディアで報道され、JR東日本の喜㔟陽一社長が定例会見で認めたという経緯があります。
このほど公表されたJR東日本の2026年3月期中間決算の説明資料では、「既存アセットを活用(融合・連携)したビジネス展開」のひとつとして、「武蔵野線の『新秋津駅』と西武池袋線の『所沢駅』の連絡線を活用した直通運転を検討」と明記されました。
喜㔟社長は、決算説明会で「2028年度に実現していきたい」と述べ、「新たな観光ルートを作れる予定」と自信をみせました。
説明資料では「臨時列車の運行」と注釈が付けられていて、通勤電車が定期的に直通運転する計画ではないことも念押しされています。
つまり、2028年度に、武蔵野線・西武池袋線直通の観光列車が、臨時列車として運転される計画、ということです。

西武池袋線と京葉線をつなぐ
どのような観光列車が、どういう区間で運転されるかははっきりしません。
喜㔟社長は、2025年6月の記者会見で「所沢のお客様からすれば、たとえばディズニーランドに行ける、海浜幕張に行ける」「京葉線周辺のお客様にしてみれば、秩父という観光名所に近くなる」などと述べていて、西武池袋線と京葉線をつなぐ列車を検討していることを示唆しました。
ただし、今回の決算資料で、具体的な区間を推定できる情報は記載されませんでした。
西武のレストラン列車を充当か
車両についても情報はありません。
これについては、西武鉄道が、新たなレストラン列車を新造する計画を明らかにしていて、2028年3月に運行を開始する予定です。
タイミング的には、武蔵野線直通開始時期と一致します。新造なので、JR線直通に対応する仕様で作られているとみられ、この車両が直通運転に投入される可能性は高いでしょう。

東京~秩父のレストラン列車?
レストラン列車の強みは、所要時間が長くても利用者を集められる、という点です。
たとえば、東京駅から武蔵野線を経由して西武池袋線方面に向かうと大回りで、通常の特急用車両を用意しても、利用者は限られるでしょう。しかし、レストラン列車なら、時間が余計にかかることは問題になりません。景色を見ながら食事をするのが目的の列車だからです。
西武鉄道の新たなレストラン列車は、フルコースを提供する超高級路線で設計されています。その発着地にふさわしい場所といえば、東京駅でしょう。東京駅発着なら、集客力は抜群に高くなり、超高級列車でも集客に困らないはずです。舞浜駅を経由するので、社長が触れたディズニーランドの利用にも使えます。
したがって、憶測ですが、東京駅~西武秩父駅間の直通列車なども、想定されているのではないでしょうか。3時間程度はかかりそうですが、レストラン列車としてみれば、ちょうどいい所要時間です。(鎌倉淳)
























