クレジットカード大手の三菱UFJニコスは、三菱UFJニコスとフランチャイジー各社が発行する、VisaとMastercardのブランドカードの外貨事務処理手数料を値上げします。これまでの税込1.67%から2.16%と、約30%の大幅値上げです。年末年始に海外旅行にお出かけになる人は、気をつけましょう。
「外貨事務処理手数料」とは?
クレジットカードで海外ショッピングをする場合、利用者は購入代金とは別に手数料を支払わなければなりません。この手数料の名称はカード会社によって異なりますが、「外貨事務処理手数料」や「外貨取扱手数料」などという名称になっています。
具体的には、VISAやMasterなどの国際ブランドが定める基準レートに、各カード会社が定める手数料をかけあわせたものが、利用者の支払金額となります。
たとえば、国際ブランドがVISAのクレジットカードなら、VISAインターナショナルが定める取引用の基準レートをベースとし、その基準レートに各カード会社が数%の外貨事務処理手数料を上乗せして「換算レート」としています。基準レートは、VISAなら世界共通ですが、外貨事務処理手数料は個別のクレジットカード会社が決めています。
年末年始に値上げを実施
とはいうものの、実際は、国際ブランドがVISA、Masterの場合、日本国内のカード会社の外貨事務処理手数料は1.63%程度が相場で、ほぼ横並びでした。ところが、今回、三菱UFJニコスが2.16%と大幅に値上げしたわけです。
三菱UFJニコスによりますと、対象となるのはMUFGカード、DCカード、NICOSカード、JAカードです。
改定時期はMUFGとDCが2016年12月21日以降にVisa Worldwide、Mastercardで処理された売上から、NICOSとJAが2017年1月6日以降の処理からです。
他社は追随するか?
これまでのところ、三菱UFJニコス以外のカード会社での、VISA、Masterの外貨事務処理手数料値上げは確認できていません。ただ、ウェブサイトで外貨事務処理手数料を表示している会社ばかりではありませんので、正直なところ、はっきりはわかりません。また、今後、追随するカード会社が出てくるかもしれません。
現時点では、海外でVISAカードやMasterカードを使ってショッピングをする場合、三菱UFJ系列よりも、他のカード会社のカードを使ったほうが為替レートはよさそうです。
ちなみに、国際ブランドの基準レートは、VISA、Master、JCBで、それほど大きな差はありません。とはいえ、「基準レートはMaster一番安い」という意見があり、データを見るとそうなのかな、とも思います。データは、このサイトの考察が面白いです。この記事でも参考にさせていただきました。
キャッシングが有利なケースが増える?
さて、外貨事務処理手数料が2%台になると、海外でのカード利用は、ショッピングよりもキャッシングが有利になる局面が増えるとみられます。というのも、キャッシングの場合は外貨事務処理手数料がかからないからです。
キャッシングでは、代わりに年率18%程度のキャッシング手数料がかかります。カードの使用日から30日で銀行口座から引き落とされると仮定すると、この手数料は1.5%程度に相当します。
キャッシングの場合、現金引出時にATM手数料などがかかることもありますし、返済のタイミングなどもありますので、最終的な手数料額がいくらになるかは一概にはいえません。
ただ、ショッピングの外貨事務手数料が2%以上となると、海外での買い物は、キャッシングで現金にしてからのほうが有利になるケースも増えそうです。(鎌倉淳)