美祢線の復旧見通せず。大雨で80箇所の被災が明らかに

「役割」協議も

大雨で被災したJR美祢線の被災状況が明らかになりました。全線で計80箇所で被災しており、復旧は見通せません。

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被災80箇所

JR美祢線は厚狭~長門市間46kmを結ぶローカル線です。2023年6月30日からの大雨で厚狭川が増水し、四郎ヶ原~南大嶺間に架かる「第6厚狭川橋梁」が流出。他にも盛土流出など複数箇所で線路の被害が確認されていました。

被災状況を調査していたJR西日本は、9月19日に詳細な被災状況を初めて公表。湯ノ峠~長門湯本間37kmで計80箇所の被災箇所があったことを明らかにしました。

最大の被害は四郎ヶ原~南大嶺間に架かる「第6厚狭川橋梁」の流出です。そのほか、盛土流失など18カ所、崩土流入・堆積など43カ所、橋梁変状など9カ所、電気設備など7カ所などの被害が確認されました。

美祢線
画像:JR西日本

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河川計画の検討求める

被害のなかった設備についても、6つの橋梁で水位上昇が橋桁に達したことを確認しました。

美祢線は、2010年7月にも厚狭川氾濫で大規模な被害を受けています。このためJR西日本は、厚狭川全体の河川計画について検討することを、河川管理者である行政側に求めました。

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復旧見通せず

JR西日本は、復旧費用や復旧時期については明らかにしていませんが、おそらくは数十億円規模の復旧費用と、数年単位の工期が必要になるでしょう。

一方、美祢線の2021年度までの3年間の平均収支は、4億6000万円の赤字です。2021年度の輸送密度は366にまで落ち込んでいます。

こうした状況から、JRとしては、復旧以前の議論として、地域交通における美祢線の役割について協議をするよう、自治体に要請しています。

今後については「進め方について関係自治体の皆様に相談」と表現するにとどめ、復旧への姿勢を明確にしていません。

美祢線が運転再開にこぎ着けることができるのか。そのハードルは、低くはなさそうです。(鎌倉淳)

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