JR東日本が、京葉線に建設中の「幕張新駅」について、駅名案を募集します。応募できるのは千葉市在住者などに限られますが、駅名候補を考えてみましょう。
新習志野~海浜幕張間
「幕張新駅」(仮称)は、JR京葉線・新習志野~海浜幕張間に設置される新駅です。JR東日本と、千葉県・イオンモール・千葉市を構成員とした幕張新都心拡大地区新駅設置協議会が開業準備を進めています。開業予定は2023年春で、駅の正式名称を決めるにあたり、名称を公募します。
応募できるのは、千葉市の在住・在職・在学者です。インターネット、または郵便はがきにて受け付けます。
駅名案の募集期間は2021年6月1日から6月30日までで、駅名発表時期は2021年秋ごろを予定しています。応募された駅名から、新駅名をJR東日本が選考します。
「幕張ゲートウェイ」?
ということで、例によって駅名案を当サイトで勝手に考えてみましょう。
最初に誰もが思い浮かぶのは、やはり「幕張ゲートウェイ」でしょう。たしかに、場所としては幕張新都心の入口にあたる場所なので、ネーミングとして間違ってはいません。が、二番煎じですし、さすがにあり得ないので却下します。
次の候補は「新幕張」でしょうか。仮称の「幕張新」の前後を入れ替えた形で、受け入れられやすいでしょう。ただ、京葉線には新木場、新浦安、新習志野と、「新」の付く駅名が多いので、またか、という気もします。
幕張の西に位置するので「西幕張」もありそうです。文句の付けにくい穏当な命名ですが、無難すぎますし、ちょっと地味かもしれません。また、駅から離れた場所に「幕張西」という地名があるので、混乱するかもしれません。
幕張新都心にあることに着目すれば、「幕張新都心」駅も候補になりそうです。ただ、幕張新都心の中心部にあるのは海浜幕張駅ですので、こちらを「幕張新都心」駅にしてしまうと、一見さんには紛らわしそう。
次善の策として「幕張新都心西口」は、長いですが、わかりやすいネーミングです。東横インみたいだというなら「幕張新都心西」でもいいでしょう。
イオンの発言権
新駅の概算事業費は126億円で、イオンモールが2分の1、千葉市、千葉県、JR東日本が各6分の1ずつ負担します。駅の建設費の半分はイオンモールが持つわけです。となると、駅名についてイオンモールの意向は無視できないでしょう。
イオンモールの意向を100%反映するなら「幕張イオン」や「イオンモール幕張新都心」という、そのままズバリという名称になるでしょう。しかし、千葉市や千葉県としては、税金を投入する以上、駅名に企業名を入れるのは避けたいところ。イオンモールとて、いつかは閉店する日が来るでしょうから、駅名の安定性の観点からも「イオン」は入れづらいといえます。
イオン側に立って譲れない一線を推測してみると、「幕張」か「新都心」のどちらかの名称が含まれることでしょうか。「イオン」「幕張」「新都心」の全てが含まれないと、イオンモール幕張新都心の隣接駅であることが伝わりにくくなるからです。
最大公約数を探る
関係4者が受け入れられる最大公約数を探ると、「そこが幕張新都心の大規模商業施設であることが認識できる名称」に行き着きます。ならば、「幕張モール」「幕張新都心モール」といった呼称でしょうか。
あるいは、新しい商業エリア名として「幕張マリンタウン」といった名称を創出するかもしれません。イオンにしてみれば、「越谷レイクタウン」と対になるネーミングです。
「幕張メッセ」も候補にしたいところですが、最寄り駅は海浜幕張駅です。利用者の混乱を招くもとになるので、採用はされないでしょう。
新駅のロータリーの前から伸びる道は「シンボルロード・海の道」と呼ばれています。これにあやかると「幕張海の道」「幕張海道」といった名称はアリかもしれません。が、ショッピングモール感がありませんね。
住所から考えると
新駅の住所からも検討してみます。住所は「千葉市美浜区浜田」です。ただ、浜田地区に向けた出口はできないので、「幕張浜田」といった名称は付けづらいでしょう。
イオンモールがあるのは豊砂地区ですので、「幕張豊砂」「新都心豊砂」あたりはいずれも候補といえるでしょう。「豊砂」だけだと、「豊洲」と音が似ているから混乱しやすく、微妙です。浜田と合わせて「豊砂浜田」「浜田豊砂」はあるかもしれません。
習志野市芝園地区とも隣接していますので、「芝園豊砂」「豊砂芝園」も検討できます。ただ、駅住所の浜田を差し置いて、隣接二地区の住所を合わせるのは、政治的に微妙な気もします。
政治的に問題ないのは、区名である「美浜」を入れること。「美浜幕張」なら収まりがいいですが、海浜幕張駅と字面が似ているのが難点です。「幕張美浜」ならあり得るかもしれませんが、地域名と区名が逆なのはどうかという気がします。
近くには高速道路の「湾岸幕張PA」があります。あやかるなら「湾岸幕張」駅もありでしょうか。
近隣施設名を使うなら、「免許センター前」「豊砂公園」がありますが、幕張感も新都心感もショッピングモール感もなさすぎて、イオンとしては受け入れにくいかも。
地名から離れると
さて、ここまでは、現在ある地名からの発想で新駅名を考えてきました。しかし、高輪ゲートウェイのように、そうした発想の上(あるいは斜め上)をいく駅名も考えてみましょう。斬新な発想を求めることに公募の意味があるとすれば、地名とは無関係な要素を新駅名に入れ込む可能性は十分にあります。
ちなみに、新駅のコンセプトは「ゆったりとした時間が流れる駅」だそうです。ゆったりを英語にすると「comefortable」「relax」「leisurely」「peacefully」「slowly」あたりでしょうか。ならば「幕張コンフォート」「幕張リラックス」「幕張レイジュアリー」「幕張ピースタウン」「幕張スロータウン」……、どれも厳しいですね。
熊谷俊人・千葉県知事は、高輪ゲートウェイ駅の駅名発表時に「なんでこんな名前にしちゃったんでしょうね」「間違っても『幕張新都心ゲートウェイ駅』にならないようお願いします」などとツイートしました。
今回は地元がお金を出す請願駅でもあり、知事にも発言権はあるでしょう。熊谷知事の過去の発言との整合性を考えるなら、カタカナ交じりの名称のハードルは高そうです。
行政が好みそうなネーミングで考えてみると、「幕張みらい」「幕張きぼう」「幕張きずな」といった名称でしょうか。ゆったり感を出すなら「ゆらり幕張」「幕張ゆうタウン」などはいかがでしょうか。お買い物を連想させるなら「ぶらり幕張」といった感じも……、まあダメですね。
本命不在
ということで、いろいろ書いてきましたが、なかなか本命といえる呼称はありません。ふつうに考えれば「新幕張」が本命ですが、前述したとおり、京葉線には「新」の付く駅名が多いので、できれば避けたいところでしょう。
無難なのは「西幕張」ですが、無難すぎて新鮮味がありません。しかし、口を挟む当事者が多いほど、無難に落ち着くのが世の常ですので、4者が金を出し合う今回は、無難な結論になるのではないか、と予想します。無難と言えば「幕張新都心西」も、長いけれどわかりやすいかもしれません。
ということで、当サイトの予想です。
本命 西幕張
対抗 新幕張
対抗 幕張モール
穴馬 幕張新都心西
大穴 幕張マリンタウン
いつものことですが、筆者の予想はだいたい外れます。これまで、当サイトで何度か駅名予想をしていますが、どんぴしゃで当てたのは、イージーな予想の「新綱島」くらいです。今回は難しいので、たぶん外れると思います。(鎌倉淳)