JR津軽線蟹田~三厩間、廃止が事実上決定。復旧断念、「66区間」で初

今別町が受け入れ

JR津軽線の蟹田~三厩間が、災害から復旧しないまま廃止される見通しとなりました。存続を求めてきた今別町長が廃止を容認しました。

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今別町長が容認

JR津軽線は、2022年8月の大雨で盛土崩落などの被害が出て、蟹田~三厩間で不通が続いています。JR東日本は、利用者が少ないことを理由に復旧を見送っていて、バスや乗合タクシーなどへの転換を提案しています。

この問題を話し合う沿線市町村長会議(首長級会議)の会合が2024年5月23日に開かれました。

席上、これまで鉄道の維持を訴えてきた今別町の阿部義治町長が廃止容認を表明。他に路線維持を訴える関係自治体が存在しないことから、すべての自治体が廃止に同意したことになり、同区間は復旧しないまま廃止される見通しとなりました。

津軽線三厩駅

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すべての自治体が廃止に合意

沿線自治体では、外ヶ浜町がバスや乗合タクシーへの転換に合意していて、青森県も同調しています。路線維持を訴えているのは今別町だけとなっていました。

この日の会議で、今別町長は、「現状のままでは、会議が膠着・進展しないままで、鉄路に今別町がこだわり続けても、沿線の自治体の皆さん、そして今別町のためにはならないという判断をもって、自動車交通への協議に応ずるという、苦渋の決定・決断をしたところであります」と述べました。

JRが提案する形でのバス・乗合タクシー転換を受け入れる姿勢を示した形です。

これにより、沿線のすべての自治体が不通区間の廃止に合意したことになり、今後、新たな交通体系構築に向けて、具体的な議論が進められることになります。

津軽線枝沢橋梁
画像:JR東日本

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「66区間」で初の廃止

JR東日本は、2022年11月に「ご利用の少ない区間の経営情報」として、輸送密度2000人以下の66区間の収支や営業係数を公開しました。

公開対象は下図の区間です。

JR東日本「ご利用の少ない区間」
画像:JR東日本プレスリリース

津軽線も公開対象に含まれていて、2021年度の営業係数は青森~中小国間が19.8億円、中小国~三厩間が5.8億円の赤字でした。

津軽線蟹田~三厩間が廃止されると、「66区間」では初めての廃止区間となります。(鎌倉淳)

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