寝台特急「サンライズ」完全復調。JR特急利用者数ランキング・2022年ゴールデンウィーク版

空港特急にも復調の兆し

JR各社から2022年ゴールデンウィークの列車利用状況が発表されました。新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されたことで利用者数が回復したものの、依然として「コロナ前」には届きません。

JR在来線特急の利用者数の詳細をランキング形式で見ていきましょう。一部快速列車も掲載しました。

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新幹線利用者数ランキング2022年大型連休版

順位 列車名 区間 利用者数
(万人)
対前年比
(%)
対18年比
(%)
1 あずさ・かいじ・富士回遊 八王子~相模湖 25.3 215 81
2 ひたち・ときわ 我孫子~土浦 23.5 229 80
3 ひたち・ときわ 土浦~水戸 21.7 270 80
4 サンダーバード 京都~敦賀 17.6 353 75
5 かもめ・みどり 鳥栖~肥前山口 16.4 202 62
6 マリンライナー* 児島~宇多津 12.3 172 76
7 あずさ 甲府~上諏訪 11.8 239 82
8 ソニック 小倉~行橋 10.4 175 62
9 ひたち・ときわ 水戸~高萩 9.3 234 79
10 踊り子など 横浜~熱海 8.2 156 98
11 しおかぜ・南風など 岡山~児島 7.9 269 74
12 しらさぎ 米原~敦賀 6.9 250 78
13 カムイ・ライラック・オホーツク・宗谷 札幌~岩見沢 6.2 188 73
14 しなの 名古屋~多治見 5.5 243 71
15 しおかぜ・いしづち 多度津~伊予三島 5.1 252 71
16 しおかぜ 児島~宇多津 5.0 320 73
17 北斗、すずらん 東室蘭~苫小牧 4.9 203 66
18 ひたち 高萩~いわき 4.7 243 92
19 くろしお 和歌山~箕島 4.5 269 66
20 わかしお 東京~蘇我 4.1 170 73
21 きのさき・まいづる等 二条~亀山 4.0 284 71
22 しなの 松本~長野 3.8 196 79
23 南風 児島~宇多津 3.1 229 78
24 やくも 岡山~新見 2.9 257 63
25 南風・しまんと 多度津~阿波池田 2.8 210 75
26 成田エクスプレス 東京~成田空港 2.8 575 17
27 おおぞら・とかち 南千歳~トマム 2.5 190 84
27 しおさい 東京~千葉 2.5 183 74
29 ひだ 美濃太田~下呂 2.4 232 56
30 いなほ 新潟~村上 2.4 264 69
31 しらさぎ 名古屋~大垣 2.2 246 75
31 こうのとり 大阪~三田 2.2 256 62
33 宇和海 松山~宇和島 2.0 188 67
34 うずしお 高松~徳島 1.8 161 76
34 スーパーはくと 姫路~上郡 1.8 339 74
36 スーパーはくと 智頭~鳥取 1.5 329 72
36 草津 高崎~渋川 1.5 212 84
38 ひたち いわき~原ノ町 1.2 234
39 さざなみ 東京~蘇我 1.0 147 74
39 しまんと・あしずり 高知~窪川 1.0 159 73
41 ふじかわ 富士~富士宮 0.9 173 66
41 ひたち 原ノ町~仙台 0.9 234
43 サンライズ出雲・瀬戸 静岡~浜松 0.7 137 103
43 しらゆき 直江津~長岡 0.7 155 68
43 ふじさん 御殿場~山北 0.7 170 69
43 南紀 松阪~紀伊長島 0.7 222 62
43 はるか 日根野~関西空港 0.7 440 7
48 はまかぜ 姫路~寺前 0.5 306 72
48 スーパーいなば 智頭~鳥取 0.5 193 68
48 つがる 弘前~青森 0.5 204 50
48 スーパーいなば 上郡~岡山 0.5 195 66
52 スーパーおき 新山口~増田 0.4 182 72
52 いなほ 酒田~秋田 0.4 238 75
54 リゾートしらかみ* 秋田~青森 0.3 182 62
55 サンライズ出雲 岡山~新見 0.2 136 108
55 伊那路 豊川~本長篠 0.2 204 70
57 うずしお 児島~宇多津 0.1 255 81
58 はまかぜ 岩美~鳥取 0.0067 143 102

*マリンライナー、リゾートしらかみは快速列車
※数字は原則として単位未満切り捨てです。

上記のランキングは、JR各社から広報発表された内容をまとめたものです。JR各社によって、区間選定の基準などがばらばらであることをご承知おきください。

サンライズ出雲

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日並びは抜群

2022年のゴールデンウィークの利用状況の調査期間は、4月28日~5月8日の11日間です。5月2日と6日を休めば4月29日~5月8日の10連休となり、日並びとしては抜群でした。

新型コロナ禍による行動制限のないゴールデンウィークとしては、2019年以来3年ぶりです。その意味では好条件でしたが、日並びが似ていた対2018年にはほとんどの列車が及びませんでした。

「サンライズ」が完全復調

そうしたなか、対2018年の利用者数を超えたのは「サンライズ出雲・瀬戸」です。

新型コロナ禍でも安定的な強さを見せてきた列車ですが、今年は2018年実績を超え、静岡~浜松間で103%という数字を残しました。「完全復調」といってよく、今の時代、個室寝台こそが旅行者に求められていることを証明しているかのようです。

100%を超えた列車としては「はまかぜ」岩美~鳥取間も該当しますが、こちらは母数が少ないので、誤差の範囲内でしょう。

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「踊り子」「ひたち」も高いが

そのほか、対2018年比が高かったのは東海道線特急「踊り子など」の98%。ただし、2018年度には走っていなかった特急「湘南」を含む数字とみられ、「踊り子」がコロナ前まで復調したわけではなさそうです。

「ひたち」の高萩~いわき間も92%と高いですが、2018年は常磐線全線復旧前ですので、それを考慮する必要があるでしょう。つまり、「踊り子など」「ひたち」の対2018年比はいずれも参考記録とみなしたほうがよさそうです。

「あずさ・かいじ」は堅調

こうした特殊事情の見当たらない在来線特急で、2018年度比の回復率が高かったのは、「あずさ・かいじ」の81~82%、「おおぞら・とかち」の84%、「草津」の84%あたりでしょうか。新緑を求める行楽需要を取り込める特急が人気を集めた印象です。

利用者数の多い主要特急で伸び悩んだのは、「かもめ・みどり」「ソニック」の九州特急。いずれも対2018年比60%台にとどまりました。

そのほか、「やくも」「こうのとり」「南紀」「ふじかわ」といった特急も、60%台前半にとどまっています。全体的に首都圏近郊の特急は堅調でしたが、関西圏や東海圏、福岡圏など首都圏以外の大都市圏を起点とする在来線特急は、あまり振るわなかったように感じられます。

理由ははっきりとはわかりませんが、首都圏に比べれば渋滞の少ない地方では、新型コロナを背景にマイカー旅行が増え、鉄道が避けられがちなのかもしれません。

空港特急に復調の兆し

3月に発生した福島県沖の地震で、東北新幹線系統は臨時ダイヤとなりました。その影響か、接続する「つがる」は50%台、「北斗・すずらん」は66%にとどまりました。東北の地震の影響は、広く道南にまで及んだといえそうです。

新型コロナによる海外旅行者の激減で影響を受けた空港特急は、「成田エクスプレス」が対2018年比で17%、「はるか」が7%と、依然として厳しい状況です。ただ、前年に比べれば4~5倍に伸びているので、復調の兆しが見えているのは明るい材料といえるでしょう。(鎌倉淳)

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