寝台特急「サンライズ」強い回復。JR特急利用者数ランキング・2021年ゴールデンウィーク版

「NEX」「はるか」不振続く

JR各社から2021年ゴールデンウィークの列車利用状況が発表されました。新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が東京・大阪などで発出され、利用者数が伸び悩んだなか、寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」は力強い回復を見せています。

JR在来線特急の利用者数の詳細をランキング形式で見ていきましょう。一部快速列車も掲載しました。

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在来線特急利用者数ランキング2021年大型連休版

順位 列車名 区間 利用者数(万人) 対前年比(%) 対前々年比(%)
1 あずさ・かいじ・富士回遊 八王子~相模湖 9.7 621 32
2 ひたち・ときわ 我孫子~土浦 7.9 527 30
3 ひたち・ときわ 土浦~水戸 7.2 579 29
4 かもめ・みどり 鳥栖~肥前山口 6.2 1056 26
5 マリンライナー* 児島~宇多津 5.3 362 36
6 ソニック 小倉~行橋 4.7 1066 31
7 あずさ 甲府~上諏訪 4.2 765 29
8 サンダーバード 京都~敦賀 4.1 550 17
9 踊り子など 横浜~熱海 4.0 2466 44
10 ひたち・ときわ 水戸~高萩 3.2 569 31
11 カムイ・ライラック・オホーツク・宗谷 札幌~岩見沢 2.4 422 35
12 しおかぜ・南風など 岡山~児島 2.4 407 23
13 しらさぎ 米原~敦賀 2.3 665 28
14 北斗、すずらん 東室蘭~苫小牧 1.9 534 29
15 しなの 名古屋~多治見 1.9 658 27
16 わかしお 東京~蘇我 1.7 413 39
17 ひたち 高萩~いわき 1.6 494 35
18 しおかぜ・いしづち 多度津~伊予三島 1.5 360 23
19 しなの 松本~長野 1.5 497 34
20 くろしお 和歌山~箕島 1.4 467 19
21 しおかぜ 児島~宇多津 1.2 370 18
22 きのさき・まいづる等 二条~亀山 1.1 379 21
23 南風 児島~宇多津 1.1 425 29
24 おおぞら・とかち 南千歳~トマム 1.0 523 43
25 南風・しまんと 多度津~阿波池田 1.0 416 30
26 しおさい 東京~千葉 1.0 356 38
27 やくも 岡山~新見 0.9 417 20
28 うずしお 高松~徳島 0.8 309 40
29 ひだ 美濃太田~下呂 0.8 1042 22
30 しらさぎ 名古屋~大垣 0.8 648 31
31 宇和海 松山~宇和島 0.7 278 31
32 いなほ 新潟~村上 0.7 529 22
33 こうのとり 大阪~三田 0.6 278 20
34 さざなみ 東京~蘇我 0.5 1002 40
35 しまんと・あしずり 高知~窪川 0.4 510 41
36 ひたち いわき~原ノ町 0.4 450
37 スーパーはくと 姫路~上郡 0.4 560 17
38 スーパーはくと 智頭~鳥取 0.4 575 17
39 サンライズ出雲・瀬戸 静岡~浜松 0.4 585 80
40 ふじがわ 富士~富士宮 0.4 568 39
41 しらゆき 直江津~長岡 0.4 506 35
42 ふじさん 御殿場~山北 0.4 4254 37
43 成田エクスプレス 東京~成田空港 0.3 241 3
44 ひたち 原ノ町~仙台 0.3 407
45 南紀 松阪~紀伊長島 0.3 782 27
46 スーパーいなば 上郡~岡山 0.2 728 30
47 スーパーいなば 智頭~鳥取 0.2 691 30
48 スーパーおき 新山口~増田 0.2 768 32
49 つがる 弘前~青森 0.2 455 19
50 サンライズ出雲 岡山~新見 0.1 614 79
51 いなほ 酒田~秋田 0.1 736 24
52 はまかぜ 姫路~寺前 0.1 466 17
53 はるか 日根野~関西空港 0.1 202 2
54 伊那路 豊川~本長篠 0.1 505 34
55 うずしお 児島~宇多津 0.090 285 32
56 はまかぜ 岩美~鳥取 0.0045 900 62

*マリンライナーは快速列車
※数字は原則として単位未満切り捨てです。

上記のランキングは、JR各社から広報発表された数字をまとめたものです。JR各社によって、区間選定の基準などがばらばらであることをご承知おきください。

サンライズ出雲

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「あずさ・かいじ」首位に

各社の利用状況の調査期間は、4月28日~5月5日の8日間です。2021年のゴールデンウィークは、4月30日を休めば4月29日~5月5日の7連休、休まなくても5連休となっていました。日並びとしては悪くありません。

緊急事態宣言が全国に出された前年(2020年)に比べると、各特急とも利用者数は多少回復しました。しかし、前々年(2019年)に比べると、2~3割程度の利用者数にとどまっていて、新型コロナウイルス感染症の影響は依然として深刻です。

そのなかで首位に立ったのは、中央線特急「あずさ・かいじ・富士回遊」です。前年は常磐線全線再開で勢いがあった「ひたち・ときわ」の後塵を拝しましたが、今年は大差をつけて堂々の首位に返り咲きました。

首都圏の観光特急が健闘

中央線特急は、八王子~相模湖間で前年比621%と、大きく回復しました。他の列車と比べても回復率が高いほうです。観光需要のより強い甲府以西では、765%と力強い回復をみせました。

観光特急といえば、東海道線特急「踊り子など」も前年比2466%ときわめて高い数字です。ただ、この数字には、2021年3月改正で登場した通勤特急「湘南」の数字が新たに含まれるようになったという事情もありそうです。「踊り子」単体の数字は開示されていないので、どの程度の回復率かははっきりしません。

特急「ふじさん」も対前年比で4000%強と非常に高くなりましたが、これは2020年のゴールデンウィークはほとんど運休していたことの反動です。

各列車に個別の事情はあるものの、全体として首都圏の観光特急は、東京の緊急事態宣言にもかかわらず比較的健闘した様子がうかがえます。各自の判断で出かける観光客が昨年よりも増えたことを示しているとみてよさそうです。

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「サンライズ」8割回復

九州の「かもめ・みどり」「ソニック」も、対前年比1000%超という強い回復をみせました。ただ、対前々年比では26%と31%でそれほど高くはないので、前年の落ち込みが、より大きかったことの反動と解釈した方がよさそうです。

対前々年比で回復率が高かったのが、寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」。新型コロナ前の2019年ゴールデンウィークの80%にまで回復しました。全車個室寝台の強みを見せたと言えそうです。

近畿圏不振、「空港特急」壊滅

近畿圏を発着する特急は伸び悩みました。「サンダーバード」が対前々年比で17%、「きのさき、まいづるなど」が21%、「くろしお」が19%などとなっています。

全国的には対前々年比20%台後半~30%程度の列車が多い中、近畿圏発着の多くは20%前後にとどまっています。いうまでもなく、大阪府を中心とした京阪神エリアでの新型コロナウイルス感染症の爆発的拡大が影響したのでしょう。

東西の空港特急も壊滅的な不振が続いています。「成田エクスプレス」が新型コロナ前の3%、「はるか」が2%。前年と比べても200%台の回復にとどまっています。両列車とも、国際線の空港利用客が回復しないと不振を抜け出すのは難しそうです。

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