JR東日本「10円値上げ」のエリアはどこまで? 首都圏電車区間が対象に

鉄道バリアフリー料金制度

JR東日本が、首都圏で10円の値上げを実施します。バリアフリー施設の整備を目的としたもので、値上げエリアは首都圏の電車特定区間です。

広告

鉄道バリアフリー料金制度

JR東日本は、2023年3月から、首都圏の一部区間の鉄道運賃を一律10円値上げすると発表しました。

ホームドア設置など駅のバリアフリー化を促すために国土交通省が新設した「鉄道バリアフリー料金制度」を導入するものです。

この制度は、駅の段差解消やホームドア設置などの整備費用をまかなう目的の場合、現行料金に一定額を上乗せすることを認めるもので、JR東日本が全国で初めて導入します。

値上げとなるエリアは、首都圏の電車特定区間。下図の範囲内で、16路線278駅が対象となります。

電車特定区間
画像:JR東日本プレスリリース

おおざっぱにいって、東京を中心に、久里浜、高尾、大宮、取手、千葉に収まる範囲です。このエリア内のみ乗車する場合に、普通運賃とIC運賃は10円、通勤定期券は1箇月が280円、3箇月が790円、6箇月が1,420円値上げとなります。

広告

330駅でホームドア設置

JR東日本は費用を運賃に上乗せすることによって、2031年度末までに、値上げエリア内の330駅、計758番線においてホームドアを設置します。総費用は2035年度までに約5,900億円を見込んでいて、この半分を、値上げによってまかなう計画です。

JR東日本はこれまで、ホームドアの整備や段差の解消を、既定の運賃収入の範囲内でおこなってきました。今後、10円を上乗せすることにより、その負担を軽減することができます。

新型コロナウイルス感染症の拡大で運賃収入が減少するなか、正規運賃の値上げに比べれば簡単な手続きで値上げできる手法を活用したともいえるでしょう。

鉄道施設のバリアフリー化に巨費がかかるのは事実で、その費用捻出に苦しむ鉄道各社が追随する可能性は高そうです。(鎌倉淳)

広告
前の記事新幹線「マグネシウム合金車両」実用化へ一歩。ALFA-Xで性能を確認
次の記事「バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅」第11弾 箱根~秩父を分析する。ハプニングに救われた?