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三江線、関西空港線、桜島線が好調。JR西日本の輸送密度ランキング2017年版

全102線区の最新データ

JR西日本が、2016年度の各線区の平均通過人員(輸送密度)を公表しました。廃止が決定した三江線が前年比4割以上の増加を記録し、関西空港線、桜島線も好調です。一方で、北陸新幹線ブームが一段落した大糸線は半減という結果になりました。

JR西日本「平均通過人員」のデータ

JR西日本が公表している平均通過人員とは、利用者の1日1kmあたりの人数を表し、「輸送密度」とも表現されます。

まずは、JR西日本の2,016年度輸送密度が500以下の区間を見てみましょう。( )内は前年度(2015年度)です。

三江線

輸送密度500以下

芸備線・東城~備後落合 9(8)
芸備線・備中神代~東城 81(87)
三江線・三次~江津 83(58)
大糸線・南小谷~糸魚川 100 (196)
因美線・東津山~智頭 195(197)
木次線・備後落合~宍道 204(215)
福塩線・府中~塩町 206(200)
芸備線・備後落合~三次 225(216)
山陰線・益田~長門市 282(300)
姫新線・中国勝山~新見 326(328)
山陰線・長門市~小串、長門市~仙崎 380(412)
越美北線・越前花堂~九頭竜湖 423(458)
姫新線・上月~津山 435(431)
小野田線・小野田~居能など 470(440)

目を引くのは芸備線・東城~備後落合間の「9」。全国のJR各社を見渡しても、これより低い数字はありません。1日1kmあたり9人しか利用していないとなれば、片道あたり4.5人にすぎません。乗用車1台で運びきれる数字です。

隣接する芸備線・備中神代~東城間も「81」と低い数字。芸備線では備後落合~三次間も「225」となっており、芸備線の東半分にあたる備中神代~三次間の利用低迷が目立ちます。

三江線は「83」で、前年度のワースト2から、順位としてはひとつ改善しました。三江線は2016年8月に廃止方針が明らかになったため、年度後半にかけて「お別れ乗車」が急増したのでしょう。2017年度はさらに輸送密度が上がるとみられます。

一方、大糸線の南小谷~糸魚川間は前年度の「196」から「100」となり半減。北陸新幹線開業ブームの反動ともみられますが、同新幹線開業前の2014年度の「137」をも下回りました。「反動減」を通り過ぎての大幅減は気になります。

輸送密度500未満は、鉄道路線としての存続が危ぶまれる数字です。中国地方の山岳路線と、山陰線西端付近に集中しています。

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輸送密度501~2,000

続いて、輸送密度500~2,000を見てみましょう。2,000以下は、旧国鉄の第一次特定地方交通線の指定水準です。

美祢線・厚狭~長門市 562(574)
山口線・津和野~益田 575(411)
山口線・宮野~津和野 760(754)
山陰線・城崎温泉~浜坂 817(826)
姫新線・津山~中国勝山 888(875)
山陰線・浜坂~鳥取 941(941)
姫新線・播磨新宮~上月 935(957)
小浜線・敦賀~東舞鶴 1,083(1,096)
紀勢線・新宮~白浜 1,252(1,392)
関西線・亀山~加茂 1,257(1,267)
山陰線・出雲市~益田 1,300(1,346)
岩徳線・岩国~櫛ケ浜 1,312(1,330)
芸備線・三次~狩留家 1,381(1,503)
播但線・寺前~和田山 1,387(1,409)
加古川線・厄神~谷川 1,895(1,884)

こちらも中国地方の山岳路線が目立ちますが、関西線の亀山~加茂間や、播但線の寺前~和田山間といった、大阪近郊区間の外側エリアも散見されます。

北陸新幹線敦賀以西の並行在来線候補にも挙げられる小浜線は「1,083」。この数字を見ると、JRとしては新幹線開業にかこつけて、切り離したくなるのではないでしょうか。

輸送密度2,001~4,000

続いて輸送密度4,000以下の路線です。4,000は国鉄時代なら第二次特定地方交通線に指定される水準です。

赤穂線・播州赤穂~長船 2,212(2,215)
高山線・猪谷~富山 2,252(2,178)
呉線・三原~広 2,493(2,665)
宇部線・新山口~宇部 2,525(2,520)
境線・米子~境港 2,620(2,554)
氷見線・高岡~氷見 2,621(2,582)
和歌山線・高田~五条 2,688 (2,792)
城端線・高岡~城端 2,776(2,787)
草津線・柘植~貴生川 2,963(2,996)
山陰線・小串~幡生 2,968(3,126)
舞鶴線・東舞鶴~綾部 3,272(3,221)
津山線・津山~岡山 3,623(3,616)
山陰線・福知山~城崎温泉 3,647(3,712)
紀勢線・和歌山~和歌山市 3,653(3,575)
因美線・智頭~鳥取 3,756(3,773)
伯備線・新見~伯耆大山 3,988(4,009)

伯備線の新見以北が輸送密度4,000を割り込み、「特定地方交通線」水準になりました。ただ、特急運転線区ですので客単価は高く、普通列車のみローカル線と同等には扱えません。

そのほか、山陰線の福知山~城崎温泉間や、因美線の智頭~鳥取間など、陰陽連絡特急の走る路線にも輸送密度4,000以下がみられます。

また、山陰線の小串~幡生間が前年度比約5%減と、大きな減少になったのが気になります。

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輸送密度4,001~8,000

輸送密度4,000~8,000人以下の区間です。この輸送密度の路線は、旧国鉄時代に条件付きで「幹線」と扱われました。

宇野線・茶屋町~宇野 4,134(4,008)
山陰線・鳥取~米子 4,256(4,312)
福知山線・篠山口~福知山 4,457(4,519)
七尾線・津幡~和倉温泉 4,681(4,807)
和歌山線・五条~和歌山 4,760(4,876)
伯備線・備中高梁~新見 4,948(4,984)
桜井線・奈良~高田 5,354(5,492)
吉備線・岡山~総社 5,749(5,752)
山口線・新山口~宮野 6,042(6,318)
山陰線・米子~出雲市 6,104(6,171)
山陰線・園部~福知山 6,194(6,292)
福塩線・福山~府中 6,936(6,806)
姫新線・姫路~播磨新宮 7,156(6,918)
加古川線・加古川~厄神 7,451(7,401)
山陽線・新山口~下関 7,977(7,371)

目を引くのは、山陽線新山口~下関間。前年度に比べて約8%の大幅増となっています。下関付近では、上述の山陰線の小串~幡生間が大幅減となったのと対照的です。

宇野線の茶屋町~宇野間や、福塩線の福山~府中間、姫新線の姫路~播磨新宮間が、それぞれ約2~3%程度の増加です。大きく輸送密度を落とした区間は見当たりません。

輸送密度8,001~20,000

輸送密度8,000~20,000の区間です。全線が輸送密度8,000以上の路線は、国鉄時代の分類では無条件に「幹線」として扱われました。大量輸送という鉄道としての役割を果たせる路線ということでしょう。

紀勢線・白浜~和歌山 8,701(8,984)
播但線・姫路~寺前 8,989(9,000)
芸備線・狩留家~広島 9,306(9,062)
山陽線・糸崎~白市 9,316(9,431)
赤穂線・相生~播州赤穂 9,429(9,357)
山陽線・岩国~新山口 9,488(9,431)
赤穂線・長船~東岡山 10,520(10,525)
和歌山線・王寺~高田 10,740(10,811)
伯備線・倉敷~備中高梁 11,194(11,295)

地方都市の近郊路線が多いですが、数字の大きな増減は見当たりません。芸備線の狩留家~広島間が約2%増、紀勢線の白浜~和歌山間が約3%減です。

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輸送密度12,000~20,000

輸送密度12,000~20,000です。30分に1本程度の頻度で列車運行されている区間が多いです。

山陽線・上郡~岡山 13,185(13,561)
福知山線・新三田~篠山口 14,366(14,610)
博多南線・博多~博多南 14,680(14,063)
山陽線・福山~糸崎 17,288(14,971)
北陸線・敦賀~米原 17,747 (17,429)
可部線・横川~あき亀山* 18,720(18,474)
草津線・貴生川~草津 18,760(18,883)

可部線の可部~あき亀山間は2017年3月4日で、前年度の数字は横川~可部間です(*)。2016年度で可部~あき亀山間開業の影響を受けているのは1ヶ月ほどですが、1%程度の前年比増となっています。ただし、路線延伸の効果かはなんともいえません。

輸送密度20,001~40,000

輸送密度20,001~40,000です。都市間輸送を担う主力幹線と、大都市郊外路線が目立ちます。

呉線・広~海田市 24,948(25,146)
山陽線・姫路~上郡 25,005(25,283)
関西空港線・日根野~関西空港 26,677(24,331)
北陸線・金沢~福井 27,153(27,100)
本四備讃線・茶屋町~児島 28,680(28,144)
北陸線・福井~敦賀 29,264 (28,532)
奈良線・木津~京都 29,837(29,848)
おおさか東線・放出~久宝寺 34,516(33,857)
山陽線・岡山~福山 35,930(36,967)
阪和線・日根野~和歌山 36,983(37,332)
湖西線・近江塩津~山科 38,202(37,689)

伸びが目立つのは関西空港線です。前年度比約10%増で、インバウンド効果でしょう。2013年度には「19,240」でしたので、4年間で38%も利用者が増えている急成長路線です。

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輸送密度40,001~100,000

輸送密度40,001~100,000の区間です。大都市郊外の路線が主です。

宇野線・岡山~茶屋町 42,043(41,154)
山陽線・広島~岩国 42,707(42,133)
山陽線・白市~広島 43,249(43,460)
山陰線・京都~園部 44,099(43,680)
片町線・木津~京橋など 66,783(67,217)
関西線・加茂~JR難波 68,925(67,217)
桜島線・西九条~桜島 83,683(79,689)

ここで目を引くのは桜島線です。前年度比約5%増で、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の人気上昇によるものとみられます。2013年度には「65,399」でしたので、4年間で約28%も増加しています。USJは国内の観光客にも人気ですし、インバウンド効果も含まれるのでしょう。

関西線の加茂~JR難波も2%程度の増加率で、大阪近郊としては伸び率は高い方です。これもインバウンドの影響なのかは、定かではありません。

桜島線

輸送密度100,001以上

最後に、輸送密度10万人以上の、いわば混雑区間をまとめてみましょう。

福知山線・尼崎~新三田 100,226(100,731)
東海道線・米原~京都 120,946(120,836)
JR東西線・京橋~尼崎 121,525(120,850)
阪和線・天王寺~日根野、鳳~東羽衣 157,433(155,290)
山陽線・神戸~姫路、兵庫~和田岬 201,083(201,488)
大阪環状線・天王寺~新今宮 290,555(286,475)
東海道線・京都~大阪 349,268(344,851)
東海道線・大阪~神戸 391,351(390,684)

全体に大きな増減はありませんが、人口減少が顕在化しつつあるなかでも、大阪の近郊路線はいまのところ堅調です。

「改造プロジェクト」が進行中の大阪環状線は約1%増となりました。2013年は「278,282」でしたので、4年間で4%程度ほど利用者が増えている計算になります。数字からみると、リニューアルは成功しているといってよさそうです。

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新幹線

客単価が在来線と異なる新幹線は別枠で掲載します。

北陸新幹線・富山~金沢 21,556(22,790)
北陸新幹線・上越妙高~富山 23,245(24,858)
山陽新幹線・広島~博多 54,001(54,522)
山陽新幹線・岡山~広島 89,806(89,492)
山陽新幹線・新大阪~岡山 117,093(115,806)

北陸新幹線が2万人台で、いずれも前年度より数字を落としています。開業効果が終了したことが見て取れますが、大きな落ち込みにはなっていません。

山陽新幹線は広島以西で微減、広島以東で微増です。

北陸新幹線E7系金沢駅

大都市と地方で明暗

JR西日本全体の輸送人キロは、582億7100万キロとなりました。過去最高を記録した2015年度の583億4100万人キロから、やや数字を落としています。

在来線に限ると379億2300万人キロで、ピークである1995年の407億2500万キロから7%ほど減少しています。

2016年度のJR西日本の在来線の平均輸送密度を計算してみると「24,760」です。在来線102線区のうち、平均を超えているのは26線区にすぎません。

個別の輸送密度を見てみると、大阪近郊区間では善戦しているものの、地方ローカル線では微減が続いている印象を受けます。大都市の収益で地方ローカル線を支える構図が見て取れますが、それがいつまで持続できるのか、考えさせられます。(鎌倉淳)