JR四国が2017年度の区間別輸送密度を発表しました。大黒柱の本四備讃線や予讃線といった主力路線が前年度並みを維持し堅調でした。反面、ローカル線区間の利用者は減少傾向が続き、高知県では全区間で輸送密度が4,000を割り込みました。
JR四国・線区別輸送密度ランキング
JR四国が発表した2017年度の輸送密度ランキングです。輸送密度の低い順から掲載していきましょう。
路線名 | 区間 | 輸送密度(人/キロ/日) | 対前年比(%) |
---|---|---|---|
牟岐線 | 牟岐~海部 | 232 | 93.4 |
予土線 | 北宇和島~若井 | 340 | 102.0 |
予讃線(海線) | 向井原~伊予大津 | 442 | 96.6 |
牟岐線 | 阿南~牟岐 | 753 | 107.6 |
土讃線 | 須崎~窪川 | 1,173 | 101.8 |
鳴門線 | 池谷~鳴門 | 1,917 | 94.3 |
土讃線 | 琴平~高知 | 2,928 | 103.0 |
徳島線 | 佐古~佃 | 2,962 | 100.6 |
予讃線 | 松山~宇和島 | 3,079 | 99.3 |
内子線 | 内子~新谷 | 3,693 | 100.8 |
高徳線 | 引田~徳島 | 3,753 | 98.5 |
土讃線 | 高知~須崎 | 3,985 | 98.5 |
牟岐線 | 徳島~阿南 | 4,807 | 99.9 |
高徳線 | 高松~引田 | 4,941 | 98.9 |
土讃線 | 多度津~琴平 | 5,693 | 102.7 |
予讃線 | 観音寺~今治 | 6,093 | 101.1 |
予讃線 | 今治~松山 | 7,471 | 101.4 |
予讃線 | 多度津~観音寺 | 9,606 | 100.1 |
本四備讃線 | 宇多津~児島 | 24,583 | 102.6 |
予讃線 | 高松~多度津 | 24,769 | 100.9 |
JR四国 | 全線 | 4,730 | 100.8 |
※JR四国全線が利用できるフリータイプのきっぷについては、利用実態にかかわらず、発売実績に応じて全線(一部の線区を除く)で輸送人員(輸送人キロ)を計上。予土線は、四国内のフリータイプのきっぷによる輸送人員の影響を除いた場合、輸送密度は206人(対前年比率94.8%)となります。
全社では微増
JR四国の輸送密度は、全体として前年度より微増となりました。四国デスティネーションキャンペーンが実施されたことなどが堅調の要因といえそうです。一方で、人口減少の影響も受け、8線区で対前年比の輸送密度が減少しています。
減少が目立つのは末端路線で、鳴門線の池谷~鳴門間が対前年比で94.3%、接続する高徳線も全線で前年度割れとなっています。
土讃線の高知~須崎間も前年度より59人キロ(1.5%)減少し、輸送密度4,000を割り込みました。これで、高知県全域のJR線が「特定地方線水準」になってしまったわけです。
牟岐線は明暗
最大の伸び率となったのが、牟岐線の阿南~牟岐間で、前年度比7.6%増です。この理由ははっきりしませんが、前年度は前々年度比94.4%と減少幅が大きかったので、その反動でしょうか。
同じ牟岐線でも、末端部となる牟岐~海部間は前年度比93.4%と失速しており、明暗が分かれました。牟岐線の末端部は、前年度も前々年度比94.9%となっており、利用者減少に歯止めがかかっていません。
海部から先の阿佐海岸鉄道の輸送密度は127(2016年度)で、さらに低くなっています。室戸岬までのDMV導入が計画されており、観光客誘致による活性化が待たれますが、現状の数字を見る限り心配です。(鎌倉淳)