常磐線が3年10か月ぶり「全線運転再開」へ。代行バスが竜田~原ノ町駅間で運転開始。上野~仙台は普通列車で約9時間

常磐線の竜田~原ノ町間で代行バスが運転されることになりました。これで、常磐線の全線で鉄道またはバスによる運転が再開され、約3年10か月ぶりに「全通」することになります。この区間での代行バスの運転開始は2015年1月31日です。

広告

国道6号線が通行規制解除

常磐線原ノ町~竜田間は約46㎞で、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の影響で2011年3月11日以来、不通になっています。しかし、2014年9月に国道6号線の規制が解除され、この区間を自動車が走行可能になったことから、地元南相馬市などが代行バスの運行を要望していました。

1月31日から運転する代行バスは、定員50人のトイレ付き車両で、1日2往復の運転です。両駅間には8つの駅がありますが、いずれも停車せず、ノンストップの直通運転となります。バス運行は地元バス会社の浜通り交通に委託します。

常磐線代行バス

通常運賃で乗車可能

運賃はJRの通常運賃で、切符も通常通りJR各駅で購入できます。他区間からの通しのきっぷも購入できます。

運行時間は次の通りです。

常磐線竜田~原ノ町代行バス時刻表

▼下り
竜田9時35分→10時50分原ノ町
竜田20時10分→21時20分原ノ町

▼上り
原ノ町6時50分→8時15分竜田
原ノ町16時50分→18時15分竜田

被曝線量は1マイクロシーベルト

国道6号の通行規制が解除された2014年9月の報道では、国道6号線の避難指示区域の南端から北端までの平均空間放射線量は毎時3.8マイクロシーベルトとされています。最大値は大熊町内の毎時17.3マイクロシーベルトで、いまだに線量が高い場所は残っています。

JR東日本の調査では、1回の通行で乗務員の線量は0.8~1.0マイクロシーベルトだったそうです。代行バス車内では乗務員が線量計を携帯し、実際に走行している地点の車内での空間線量率と合わせて、1回通行にするにあたっての被爆線量を測定するとのこと。希望すれば、バスの乗務員が測定値を知らせてくれます。

よく比較される例として、東京~ニューヨーク往復で200マイクロシーベルトの被曝量です。代行バスでの1マイクロシーベルト程度の被曝量をどうお考えになるのかは、各自の判断にお任せします。

普通列車で上野~仙台を1日で行ける

常磐線の不通区間としては、ほかに浜吉田~相馬間があります。この区間はすでに代行バスが運行しています。したがって、竜田~原ノ町間の代行バス運行開始により、常磐線は3年10か月ぶりに、鉄道とバスを組み合わせて全線で運転が再開されることになります。

したがって、今後は上野~仙台間を常磐線経由で移動できるようになります。普通列車を利用する場合は、以下のような接続になります。ただし、JRは、代行バスと鉄道の接続を保証していません。

常磐線普通列車・全線乗車用時刻表

▼下り
上野5:10→6:58水戸7:14→9:24竜田9:35→(代行バス)→10:50原ノ町12:02→12:19相馬12:30→(代行バス)→13:17浜吉田13:49→14:28仙台
所要時間:9時間18分

▼上り
仙台14:35→15:11浜吉田15:24→(代行バス)→16:16相馬16:26→16:44原ノ町16:50→(代行バス)→18:15竜田18:29→19:03いわき19:54→21:27勝田21:40→23:41上野
所要時間:9時間6分

所要時間は上下とも9時間あまりです。現時点では代行バスの運行本数が少ないため、旅行には不向きです。今後の本数増を期待したいところです。

JR時刻表

広告
前の記事ガーラ湯沢への直通列車が削減へ。昼間は越後湯沢で乗り換えに。「ぜんぶ北陸新幹線のせいだ」
次の記事誰がスカイマークを殺したか。遠因をたどれば「JAL破綻処理」に行き着くのでは?