「ローカル路線バス 対決旅 陣取り合戦」第3弾 山形~宮城を分析する。奇襲の効果は絶大か

ドクターと呼びなさい

「ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 陣取り合戦」第3弾が放送されました。太川陽介率いるチームと、河合郁人が率いるチームが、山形県山形市から宮城県の松島を目指して競いました。

乗り継ぎで気になった部分を検証してみましょう。なお、以下はネタバレ100%です。あらかじめご了承ください。(文中敬称略)

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69市町村を取り合う

「ローカル路線バス乗り継ぎ対決旅 陣取り合戦」は、ローカル路線バスを乗り継いで「陣」に見立てた各市町村の名所・名物を体験し、その数を競うというテレビ番組です。

その第3弾が2020年11月18日にテレビ東京系列で放送されました。対決したのは、ルイルイこと太川陽介が率いるチームと、河合郁人が率いるチーム。太川チームには、加藤諒と安藤美姫が参加。河合チームには前回に引き続き別府ともひこが参加し、川村エミコが加わりました。

どちらのチームも使っていいのはローカル路線バスのみ。ただし、両者とも1万円までタクシーを利用できます。

スタートは山形県の山形駅前。ゴールは宮城県の松島五大堂です。両県の69市町村(山形市除く)を陣に見立て、1泊2日で陣取りを競います。より多くの陣を確保したチームが勝ちとなります。

路線バス陣取り合戦第3弾
Ⓒテレビ東京

水バラ ローカル路線バス 陣取り対決旅3 初の県境越え!山形~宮城
【出演】太川陽介、加藤諒、安藤美姫、河合郁人(A.B.C-Z)、別府ともひこ(エイトブリッジ)、川村エミコ(たんぽぽ)
【放送日】2020年11月18日(水) 18時25分~22時00分(テレビ東京系列)

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太川チームの実際ルート

まずは、両チームが実際に旅したルートをおさらいしてみましょう。時刻表上の定刻をわかる範囲で確認しました。番組ではっきり示されなかった時刻や距離、経路は、筆者による推定です。

最初に太川チームのルートです。☆は獲得した「陣」の市町村名です。

▽1日目
山形駅前08:47→09:34天童駅前→徒歩0.7km→盛寿庵(☆天童市)→天童駅前10:25→10:51東根温泉→徒歩0.1km→ポケットパーク足湯(☆東根市)→徒歩1.3km→東根駅→タクシー8.3km、4,120円→和田酒造(☆河北町)→タクシー8.3km、3,040円→12:15東根温泉12:26→12:33村山駅前12:31[遅延]→12:51尾花沢待合所→徒歩0.7km→金鶴(☆尾花沢市)→徒歩0.7km→尾花沢待合所15:35→16:00村山駅前→タクシー5.1km、500円→クアハウス碁点→徒歩0.9km→竜神の吊り橋(☆村山市)→徒歩0.9km→クアハウス碁点→タクシー5.1km、500円→17:10村山駅前18:51→19:08舟形十字路→徒歩1km→西の前遺跡(☆舟形町)→徒歩1km→舟形十字路20:18→20:35新庄駅前→徒歩0.5km→清清亭(☆新庄市)

▽2日目
新庄駅前05:15→07:40仙台駅西口09:13→09:45岩切駅→徒歩3.5km→多賀城(到達せず)→徒歩3.5km→岩切駅→タクシー4.5km、1,800円→利府駅付近→徒歩0.7km→森郷児童公園(☆利府町)→徒歩0.7km→利府駅11:42→12:01二本椚→徒歩2.1km→13:05松島五大堂(☆松島町)

このように、1日目に怒濤の7陣を確保。2日目にも2陣を追加して、計9陣を獲得しました。


※Googleマップは概略です。実際のルートをたどっているとは限りません(以下同)。

河合チームの実際ルート

次に、河合チームのルートです。☆は獲得した「陣」の市町村名です。

▽1日目
山形駅前08:47→09:23長崎桜町→徒歩0.9km→鍋掛松(☆中山町)→徒歩0.9km→長崎桜町10:13→10:24寒河江駅前10:40→10:46石川→徒歩1.1km→チェリーランドさがえ(☆寒河江市)→徒歩1.1km→石川12:01→12:20ひなの湯・産直センター前→徒歩4.7km→山形空港→タクシー3.9km、1,600円→さくらんぼ東根駅前14:13→15:25仙台駅西口→徒歩1.1km→雅(☆仙台市)→徒歩1.1km→仙台駅18:20→19:20湯舟沢→徒歩1km→富谷宿(閉店)→徒歩3km→下草入口21:01→21:07吉岡営業所→徒歩0.5km→梅香亭(閉店)→徒歩0.4km→大衡村境→徒歩2.2km→大衡城(☆大衡村)→徒歩3.2km→ルートイン仙台大和インター

▽2日目
ルートイン仙台大和インター→徒歩1km→梅香亭(☆大和町)→タクシー6.2km→富谷宿(☆富谷市)→タクシー約18km、計8,400円→多賀城市内→徒歩→多賀城跡(☆多賀城市)→徒歩2.5km→塩釜駅前11:30→12:19塩釜郵便局入口→徒歩0.5km→武田の笹かまぼこ(☆塩竃市)→徒歩1km→本塩釜駅前15:21→15:48利府駅前15:57→16:16二本椚→徒歩2.1km→16:50松島五大堂

河合チームは、1日目4陣、2日目4陣の計8陣を獲得しました。最後の松島五大堂を獲得できていれば9陣でしたが、太川チームに奪われて、及びませんでした。

結果として、9対8で太川チームが勝利しました。

両者のとったルートについて、検証してみましょう。なお、ロケは1日目が休日、2日目は平日に行われたようですので、それに準じて調べています。

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河北町に行かなかったら

最初に気になったのは、ルイルイの「河北町ブロック作戦」でしょう。序盤の奇襲は成功したものの、タクシー代7,160円を費やしました。

序盤に「兵力」の7割をつぎ込んでの攻勢には驚きましたが、ここで河北町を無理に奪わずに、北上した場合、どのようになっていたでしょうか。すなわち、東根温泉からそのまま村山方面へ北上した場合です。

▽1日目
天童駅前10:25→10:51東根温泉→徒歩0.1km→ポケットパーク足湯(☆東根市)→徒歩0.1km→東根温泉12:26→12:33村山駅前

このように、村山駅前の到着時刻は実際ルートと同じです。ルイルイ一行は、東根温泉でのミッション後、村山へのバス待ち時間を使って河北町へ往復しているので、時刻表上で先行することはありません。要するに、タクシー代約7,000円を温存できるだけのことです。

太川チームはタクシー代を温存できますが陣を一つ獲れず、そのぶん河合チームが一つ獲れることになります。つまり、1日目は7対4から6対5になっていたことを意味します。その場合、2日目の陣取りが実際ルートと同じなら、計算上は最終的に8対9で河合チームが勝利します。

奇襲の効果は?

実際には、太川チームが奇襲をせずにタクシー代を温存していれば、その他の場所で展開の余地が広がりますので、8対9の敗退にはならないでしょう。たとえば、7,000円のタクシー代があれば、2日目に岩切~多賀城~利府~塩竃を一気に回ることができたでしょうから、以下のようなことが可能です。

▽2日目
仙台駅西口09:13→09:45岩切駅→タクシー3.4km→多賀城(☆多賀城市)→タクシー5.2km→森郷児童公園(☆利府町)→タクシー5.4km→武田の笹かまぼこ(☆塩竃市)→徒歩1km→本塩釜駅前12:43→13:10利府駅前15:57→16:16二本椚→徒歩2.1km→16:50松島五大堂

このように、2日目にタクシー代を残していれば、ルイルイ一行は多賀城市、利府町、塩竃市の陣を河合チームの先手を打って確保することもできていたはずで、河北町と松島町抜きで少なくとも計9陣を取れていたでしょう。その場合の河合チームの動きまでは予想できませんが、河北の奇襲の効果が絶大だったとまではいえません。

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村山で飛び乗らなかったら

次に気になったのは、村山駅前での乗り継ぎでしょうか。時刻表上では、ルイルイ一行が東根温泉から乗ったバスは、村山駅前12時31分発の新庄行き「48ライナー」に間に合いません。ところが、「48ライナー」の遅延で間に合ってしまったので、ルイルイは勢いで飛び乗ってしまいます。

このとき、「48ライナー」に飛び乗らずに、先に村山の陣を攻めていたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
東根温泉12:26→12:33村山駅前→タクシー5.1km、500円→クアハウス碁点→徒歩0.9km→竜神の吊り橋(☆村山市)→徒歩0.9km→クアハウス碁点→タクシー5.1km、500円→村山駅前14:31→14:51尾花沢待合所→徒歩0.7km→金鶴(☆尾花沢市)→徒歩0.7km→尾花沢待合所17:02→17:11大石田駅前→(☆大石田町)→大石田駅前17:45→17:54尾花沢待合所18:31→19:08舟形十字路

このように、尾花沢以降で実際ルートに収斂します。大石田町のミッションが到着後30分程度で済むのなら、無理なく1陣をプラスできたでしょう。

結局のところ、ルイルイが村山で「48ライナー」に飛び乗ってしまったことには意味がなく、どちらかというと失敗でした。結果的に村山~尾花沢間を2往復しましたので、1往復約40分を余計に費やしてしまったことになります。陣取り合戦において、日の高い時間の40分は貴重ですので、もったいなかったともいえます。

大石田へ向かっていたら

太川チームで目立ったミスといえば、尾花沢での乗り逃しでしょう。一行は大石田方面へ行こうと目論んでいましたが、時刻表を確認しているうちにバスが出発してしまいました。仮にこのバスに乗れていたらどうなっていたでしょうか。

▽1日目
尾花沢待合所13:52→14:01大石田駅→(☆大石田町)→大石田駅15:00→徒歩2.4km→尾花沢待合所15:35→16:00村山駅前15:55→16:04尾花沢待合所

大石田駅に到着後、1時間でミッションが終わるなら、大石田町の陣を取った後に歩いて尾花沢に戻れば、実際ルートで村山に向かえますので、1陣が純増でした。大石田町は町域が小さいので、1時間でミッションが終わった可能性も高く、その意味ではもったいなかったです。

大石田で1時間でミッションが終わらないなら、以下のようになります。

▽1日目
尾花沢待合所13:52→14:01大石田駅→(☆大石田町)→大石田駅15:55→16:04尾花沢待合所

この乗り継ぎでは、実際ルートで使った尾花沢から村山へのバスに間に合わず、村山へ向かうなら、17時25分のバスを待たねばなりません。その場合、村山の観光案内所が閉まってしまい、ワンコインタクシーを利用できないでしょう。つまり、大石田を取れば、1日目に村山を取ることができなくなります。

まとめると、1日目、ルイルイはミスがなければ大石田の陣を獲得できたかもしれず、最大8陣を確保していた可能性があります。そこまで確保してしまうと差が付きすぎてつまらないので、7陣でよかったのかも、と思ってしまいそうです。

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中野栄を目指したら

とにもかくにも、1日目、ルイルイ一行はがんばりました。21時過ぎまで陣取りに精を出し、宿に着いたのは23時以降でしょう。宿泊は新庄市内の老舗ホテルのようですが、宿交渉のシーンはなく、ホテル名も出なかったことから、何かの事情があったようです。

驚くことに、深夜まで行動したにもかかわらず、一行は翌朝5時15分発の始発バスでスタートしました。早朝を長距離移動時間に充てたのは効果的で、仙台に着いてもまだ7時台。仙台宿泊と変わらないくらい早い時間から宮城県内に展開できました。

とはいえ、仙台市から周辺市町にバスで出るのは簡単ではありません。仙台市内は市バスの路線網が発達しているものの、周辺市町へは宮城交通の限られた路線しかないからです。

すでに、大衡村が河合チームの掌中に落ちていることから、北方は無理と判断したルイルイは、岩切から多賀城へと目指します。このとき、別の方法はなかったでしょうか。

まず、多賀城市を目指すなら、たとえば中野栄へ向かうという方法もあります。

▽2日目
仙台駅前08:27→09:00中野栄駅→徒歩3.8km→多賀城跡

多賀城跡には10時頃には着けますので、河合チームよりわずかに早く陣取りができたとみられます。ここで多賀城市の陣を獲得できれば、ルイルイチームの勝利はほぼ確定していたでしょう。

ただ、仙台駅前08時27分発に乗れたかは微妙です。一行は7時40分に仙台駅に到着していますが、08時13分発の岩切行きには乗らず、一本後の09時13分発に乗っています。それだけ情報収集に時間がかかったことを意味しますので、8時27分発は無理だった可能性も高そうです。

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富谷北上案は

次に、安藤美姫が提案した、富谷方面への北上案についても検討してみます。以下のようになります。

▽2日目
仙台駅前09:23→10:26富谷→徒歩0.3km→富谷宿

仙台9時23分発のバスに乗れたとして、富谷宿に着くのが10時30分頃。河合チームが富谷宿に着いたのは9時15分ですから、間に合いません。この時点で、大和町の陣も奪われていますので、富谷市から北には奪えそうな陣がほとんどなくなります。

となると、塩竃市方面へ転進することになりますが、その場合は、いったん仙台市内まで撤退して岩切に抜けることになります。

▽2日目
仙台駅前09:23→10:26富谷→徒歩0.3km→富谷宿→徒歩0.3km→富谷10:51→11:26泉中央駅→徒歩1.5km→八乙女駅11:58→12:32仙台駅前12:43→13:18岩切駅/岩切駅前15:08→15:37利府駅前15:57→16:16二本椚→徒歩2.1km→16:50松島五大堂

こうなると、時間的に利府の陣は河合チームに奪われているでしょうし、ゴール松島の陣も確保できたか怪しくなります。つまり、太川チームは宮城県内で総崩れになっていたでしょう。

大郷ルート

ただ、富谷方面がどうしようもないかというと、そうでもありません。富谷からさらに北を目指すと、たとえば以下のようになります。

▽2日目
仙台駅前09:23→10:26富谷11:15→→徒歩0.3km→11:25大和町ターミナル13:20→物産館(☆大郷町)15:20→15:58松島町役場→徒歩1.2km→松島五大堂(☆松島町)

大和町から大郷町を経て、松島を目指すルートです。大郷町の陣が町の中心部(物産館付近)にあるならば、そこを確保して五大堂にゴールできます。河合チームより早くゴールできそうですので、この場合は2日目に2陣を得て計9陣。実際ルートと同じになります。

ただ、河合チームも利府町の陣を獲得できれば9陣になりますので、勝敗はわかりません。

まとめると、安藤が唱えた富谷方面案は、そのまま大郷町に抜ければ計9陣を得てゴール可能で、歩く距離も少なく、悪くないアイデアだったといえます。ただ、相手チームをブロックできるルートではないので、勝利の可能性を高めるなら、ルイルイの岩切案のほうが優れていたといえます。

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もう1陣とれなかったか

実際ルートに戻ります。ルイルイ一行は岩切駅から多賀城の陣を目指しますが、歩いている途中にあえなく陥落。そこで岩切駅にとって返し、タクシーで利府の陣を狙い、無事確保します。

驚いたのは、その時点で他の陣をあきらめたこと。そのかわり、早い時間に松島に着いてゴールの陣の確保を狙いました。結果的にこれで勝利できましたが、もう少し粘ってもよかったのではないか、という気もします。もう1陣を確保できなかったのか、考えてみましょう。

とはいうものの、この時点で、河合チームは多賀城を制しているので、東方の塩竃市、七ヶ浜町は望み薄です。狙うとしたら上述した大郷町でしょう。

利府から大郷へのバスはあるものの、朝8時台の次は16時台で遅すぎます。つまり、利府の陣を得た後、確実に狙えるのはゴール松島の陣のみでした。そこをきっちり取りに行ったルイルイの戦略は、正しかったと言えます。

ということで、太川チームは結果として計9陣でしたが、取りこぼしがあったとしても大石田の陣くらいです。そう考えると、ミスは少なったといえそうです。

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