JALが米ハワイアン航空と提携し、共同運航を開始します。ハワイアン航空は現在はANAの提携航空会社ですが、これを奪う形になります。日本経済新聞が報じました。
幅広い路線で共同運航
日本経済新聞2017年9月23日付は、JALとハワイアン航空が「2018年3月をメドに日本とハワイ間のコードシェア(共同運航)を始める」と報じました。「全日空の提携先であるハワイアン航空を自陣に引き込むことで、強者連合を構成する」としています。
JALにとって、ハワイ路線は便数ベースで30%のシェアを握る得意エリア。「ハワイへはJAL」のイメージは今も強く、ANAの追随を許しません。2017年9月には成田-コナ線の運航を開始したばかりです。
一方、ハワイアン航空も羽田便を毎日2便(ホノルル便とコナ便合算)、成田便を毎日1便運航して、日本-ハワイ路線で15%のシェアを持ちます。いわば、日本~ハワイ間では、JALとハワイアンが「2強」を形成しているわけで、日経が報じるとおり、今回の提携は「強者連合」といえます。
日経によりますと、「日本とハワイを結ぶ路線をはじめハワイの離島、日本国内の運航便など幅広い路線で共同運航を実施する」としており、かなり広い提携になる模様です。
ベトナムの敵をハワイで?
一方のANAは、日本の航空会社として初となるエアバスA380を2019年春に成田-ホノルル線で導入する予定です。超大型機の導入で、ホノルル路線で攻勢をかけてくるのはまちがいなく、JALとハワイアンは提携でこれを迎え撃つわけです。
ハワイアン航空は、航空アライアンスには加盟しておらず、これまでは、いわば「全方位外交」で各アライアンスの航空各社と適宜提携してきました。今回のJALとの提携は、そうした形よりも、より踏み込んだ業務提携になるようです。
JALはベトナム路線で、永年の提携先だったベトナム航空を2016年にANAに奪われるという苦杯をなめました。今回のハワイアン航空との提携で、「ベトナムの敵をハワイで討つ」ことになるのでしょうか。
ANAとしては、A380の大量の座席を捌くため、ハワイアンとの共同運航に期待していたでしょうから、その点でも痛手なはずです。ハワイをめぐるJALとANAのこれからの競争は、なかなか興味深いところです。(鎌倉淳)