いすみ鉄道は、脱線事故で運休中の全線の復旧費用が、最大で20億円程度になるとの試算を明らかにしました。仮に運行を再開したとしても、安全運行を続けるには10年間でさらに50億円の費用が必要になる見通しも示しています。持続的に鉄路を維持できるのか。正念場にさしかかっています。
全線復旧に20億円
いすみ鉄道は、千葉県の大原~上総中野間26.8kmを結ぶ第三セクター鉄道です。旧国鉄の木原線を引き継いで、1988年に営業を開始しました。
2024年10月に脱線事故が発生し、全線が運休していますが、このほど、復旧にかかる費用の試算を公表しました。
大原~上総中野間の全線を復旧する場合、費用は最大で20億円程度になるとのことです。さらに、全線で安全な運行を続けるには10年間で50億円程度の費用がかかるという見通しも明らかにしました。
同社の古竹孝一社長は、株主の県、いすみ市や大多喜町など4市町に試算結果を示し、今後の対応に関する協議を申し入れました。

大原~大多喜間は復旧着手済み
いすみ鉄道は、2025年6月に、乗客の多い大原~大多喜間15.8kmの復旧費用ついて、約10億円かかるとの見通しを示しています。この区間は、すでに復旧作業に着手していて、2027年秋までの運行再開を目指しています。
今回明らかにしたのは、乗客の少ない大多喜~上総中野間11kmの復旧費用です。こちらも最大10億円程度と見積もり、全線復旧には合計20億円かかる見通しを示しました。
10年で合計70億円
脱線事故をめぐっては、運輸安全委員会が2025年10月、枕木の腐食などが脱線事故につながったとする報告書を公表し、適切に線路を管理・補修する体制を構築するよう勧告しました。
今回の試算は勧告を踏まえたもので、全線復旧後に路線を適切に維持管理していくために、10年で合計70億円がかかることを示しています。
年平均にすると7億円です。復旧する場合、国の支援を受けながら、沿線自治体で維持費を負担していくことになります。
輸送密度364人
いすみ鉄道の輸送密度は、2023年の数字で364人と低い水準です。
これは全線平均ですから、復旧工事が未着手の大多喜~上総中野間に限れば、輸送密度はもっと低いでしょう。明確な数字は公表されていませんが、駅別乗降客数のデータから推測すると、2桁の水準のようです。
そこに巨費を投じて復旧し、維持し続けるのは、自治体として難しい選択になるのは間違いありません。
すでに復旧工事に着手している大原~大多喜間については復旧が確実視されます。しかし、大多喜~上総中野間の存廃については、正念場にさしかかってきたといえそうです。(鎌倉淳)





















