北陸鉄道石川線、存続が正式決定。金沢駅直通、香林坊延伸も検討へ

車両更新も

北陸鉄道石川線の存続が正式に決定しました。バス(BRT)への転換も検討されましたが、運転手不足などから困難と判断。今後は、上下分離などの支援と、利便性向上策を検討します。

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首長会議で正式決定

北陸鉄道石川線は、野町~鶴来間の13.8kmを結ぶローカル鉄道です。北陸鉄道が単独での維持は困難として、浅野川線とあわせて上下分離を行政に求めていました。

金沢市周辺自治体で構成する石川中央都市圏地域公共交通協議会では、2023年3月に地域公共交通計画を策定し、「北陸鉄道石川線・浅野川線のあり方」について検討を続けてきました。その沿線首長会議が8月30日に開かれ、石川線について行政が支援のうえ、存続することが決まりました。

北陸鉄道石川線

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バス運転手が不足

首長会議に出席したのは、金沢市、野々市市、白山市の沿線3市長と、同じく北陸鉄道が運行する浅野川線の沿線である同県内灘町の町長。オブザーバーとして馳浩知事も出席しました。

会議では、金沢市の村山卓市長が「鉄道として存続させることが必要」と訴え、白山市の田村敏和市長も「バスの運転手が不足している状況では鉄道として存続をせざるを得ない」と同調。野々市市の粟貴章市長も「必要な行政の支援は続けなければならない」と同意し、4首長は石川線を存続させることで一致しました。

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北陸本線直通も検討

北陸鉄道石川線は新型コロナウイルス禍前から赤字が続いていて、必要な設備更新費用もまかなえない状況になっています。今回、行政が支援を決定したことで、浅野川線とあわせて、上下分離などによる運営形態の変更が行われる見通しです。

行政が主体となり、利便性の向上も検討します。短期的には、野町での接続を想定した「バス一体の時刻表」や「バスとの通し運賃体系」「バスとの乗継割引」を検討します。

北陸鉄道石川線存続
画像:「北陸鉄道石川線・浅野川線のあり方について」より

また、増便やキャッシュレス化、パーク・アンド・ライドなどの強化や、車両更新の方向性についても検討します。

中長期的には、北陸本線への直通運転、香林坊への延伸などについて、技術的検討を実施することも決まりました。

こうした利便性向上策を2023年内にとりまとめ、2024年1月の地域公共交通協議会で決定します。(鎌倉淳)

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