JR北海道社長が、北海道新幹線の高速化に意欲。道内320km/h運転は実現するか

新函館北斗~札幌1時間切りへ

JR北海道の島田修社長は、2019年1月17日の定例会見で、北海道新幹線の高速化に意欲を示しました。東京~札幌間の4時間半運転の実現を、明確な目標として掲げています。

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東京・札幌4時間半

北海道新幹線の新函館北斗~札幌間は、2030年度の開業を目標に建設中です。現在は整備新幹線の仕様である最高速度260km/hで建設されており、国土交通省の試算では、途中2駅停車の場合で、新函館北斗~札幌間の所要時間が1時間4分となっています。

朝日新聞2019年1月18日付によりますと、島田社長は会見で、「東京―札幌間は4時間半を実現できるよう全力を挙げたい。そのためにも札幌―新函館北斗間は1時間を切る速達化を目指さなければならない」と述べました。

北海道新幹線

道内区間の320km実現目指す

最高速度260km/hでも、ノンストップなら新函館北斗~札幌間は1時間を切ることが可能とみられます。

ただ、北海道新幹線の運転本数からみて、ノンストップの列車を多く設定することはできず、途中停車タイプの列車が多くなると見込まれます。となると、現状の設備では、新函館北斗~札幌間の平均所要時間が1時間を切るのは困難でしょう。実現には、同区間の高速化が必要になります。

JR東日本は、東北新幹線の整備新幹線区間である盛岡~新青森間の320km/h化を検討しています。島田社長はこの動きを歓迎。北海道新聞同日付は、「JR北海道も道内区間で320キロを実現し、現状のままなら約5時間と見込まれる東京―札幌間を4時間半で結びたい考え」と報じました。

北海道新幹線の道内区間での320km/h運転を、JR側がいつ、どこまで本気で目指すのかはわかりません。とはいえ、320km/h運転を求める声は地元からも出ていますし、JR東日本が目指す盛岡~新青森間の高速化とあわせて、関係機関で議論されそうです。

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枠組み固まらず

現時点で、整備新幹線区間の高速化の枠組みは固まっていません。整備新幹線の線路などの設備は鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が保有し、JRは貸付料を払って新幹線を運行しています。

整備新幹線区間の高速化を行う場合、防音壁のかさ上げや吸音板設置などの騒音対策が必要になります。その費用を国が負担するのか、JRが負担するのか、という基本的な枠組みは何も決まっていないのが現実です。

仮に整備費用をJRが負担するとして、JR東日本なら負担できるでしょうが、経営難のJR北海道にはその能力はありません。結局のところ、島田社長が目標を掲げたところで、北海道新幹線の高速化は税金頼みになってしまい、その予算確保は難題です。

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青函トンネルの共用区間問題

東京~札幌間では、青函トンネルの貨物共用区間の速度制限の問題もあります。これについて「島田社長は『新幹線の本来の高速走行を実現するため、関係機関と協議し、合意形成を図っていきたい』と述べ、国を交えたJR貨物との協議入りに強い意欲を示した」(朝日)とのことです。

青函トンネル内の共用区間については、2019年3月のダイヤ改正で、現行140km/hの最高速度が160km/hに引き上げられます。ただ、それ以上の速度向上には、貨物列車との運行時間帯の分離が必要とみられており、JR貨物を含めた関係機関との協議が必要になります。

整備新幹線と青函トンネル区間の高速化は、いずれも簡単な話ではありません。それでも「東京~札幌4時間半」に向けて、議論を重ねてほしいところです。(鎌倉淳)

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