長崎線の肥前山口駅の改称が決まりました。新駅名は「江北駅」。町名にあわせる改称ですが、特急の分割・併合で知られた伝統の駅名が消えることには寂しさもあります。
山口村にあったので
肥前山口駅は、佐賀県杵島郡江北町大字山口にあります。1895年、九州鉄道の駅として誕生しました。当時は山口村にあったので、肥前山口駅と命名されました。山口村は1932年に周辺2村と合併し江北村となり、1952年には町制施行により江北町に昇格。その後、肥前山口駅は江北町の玄関口の地位を占めてきました。
その江北町が、2022年に町制施行70周年を迎えるにあたり、駅名の変更を要望。JR九州がこれにこたえ、長崎新幹線が開業する2022年秋に、駅名を「江北駅」に変更することが決まりました。新幹線開業による運賃表などの改修にタイミングをあわせるため、変更日は同新幹線開業日となりますが、詳細は未定です。
分割・併合駅として
旅行者にとっては、肥前山口駅は特急列車の分割・併合駅として有名でした。ブルートレイン華やかなりし頃は、寝台特急「さくら」や「あかつき」の分割・併合が行われていましたし、長崎線・佐世保線特急「かもめ」「みどり」も博多~肥前山口間は併結運転の列車が多く走っていました。
また、鉄道ファンにとっては、稚内から始まる最長片道きっぷの終着駅としても、その名を知られてきました。2004年にはNHK BS hiが『列島縦断 鉄道12000キロの旅 〜最長片道切符でゆく42日〜』を放送。関口知宏が肥前山口駅でゴールしました。その記念碑は今も駅前に残されています。
肥前山口駅は、たんなる地方の駅ではなく、鉄道ファン・旅行者にも縁の深い駅だったといえます。
とはいえ、駅名をどうするかは地元住民とJRが決めることで、外野が口を挟むのは筋違いでしょう。伝統の駅名が消えるのは残念ですが、新たな旅の出発点となると受け止めたいところです。
さようなら、肥前山口駅。いままでありがとうございました。(鎌倉淳)