「EX早特21ワイド」が微妙な件。「のぞみ」が全時間帯で利用できるけど

値上げされて変更不可

東海道・山陽新幹線で、「EX早特21ワイド」が発売されます。全時間帯の「のぞみ」を利用できるのが売り物ですが、「EX早特21」より値上げされていて、使い勝手としては微妙です。

広告

7月22日まで限定

JR東海は、東海道・山陽新幹線のインターネット予約サービス「エクスプレス予約」「スマートEX」で、「EX早特21ワイド」という商品を発売します。2021年6月1日~2021年7月22日の期間限定で、全時間帯の「のぞみ」号が割引価格で乗車できます。商品概要は以下の通りです。

商品名「EX早特21ワイド」

設定期間 2021年6月1日(火)~2021年7月22日(木・祝)

発売期間 2021年5月1日(土)~2021年7月1日(木)
 ※乗車日の1ヵ月前(10:00)から21日前(23:30)まで購入できます。

対象列車 終日の「のぞみ」普通車指定席

主要区間の価格(割引率)
東京~名古屋:9,800円(△13%)
東京~新大阪:12,370円(△15%)
東京~岡山:13,900円(△21%)
東京~広島:15,000円(△22%)

上記のように、主要区間で通常価格より13~22%の割引率です。東京~岡山、広島といった飛行機と競合する区間ではお得な価格設定です。

N700S東海道新幹線のぞみ天竜川

「EX早特21」と比較すると

「EX早特21ワイド」の特徴は、全時間帯の「のぞみ」に割引価格で乗車できることです。これまで発売されてきた「EX早特21」は、乗車駅を6時台と11時~15時台に出発する「のぞみ」号だけが対象ですので、全時間帯で使えるというのは、大きなメリットです。

ただ、単純に時間帯を拡大するだけでなく、同時に値上げもされています。「EX早特21」と「EX早特21ワイド」の価格を比べてみると、以下のようになっています。

区間 EX早特21
ワイド
EX早特21
東京~名古屋 9,800円 8,960円
東京~新大阪 12,370円 11,200円
東京~岡山 13,900円 13,240円
東京~広島 15,000円 14,260円

 

ご覧の通り、「EX早特21ワイド」は、「EX早特21」より数百円から1,000円程度高くなっています。

そのほか、「EX早特21ワイド」の注意点としては、変更が一切できません。変更の場合はいったん払い戻して買い直すことになります。

「EX早特21」は変更が可能なので、その点でも「EX早特21ワイド」は不利です。つまり、両者は似たような商品名ですが別物と考えたほうが良さそうです。

広告

「EX早特21」は発売休止

そうしたポイントを理解した上で、両方の商品を選べればいいのですが、困ったことに、「EX早特21ワイド」が発売されている期間は、「EX早特21」は発売されません。つまり、早朝や日中の「のぞみ」を使って安く移動しようとしている人とっては、この期間、値上げされた上に使いにくくなるという、残念なお知らせになってしまっています。

一方で、東海道・山陽新幹線のピーク時間帯の「のぞみ」号を利用する場合は、これまでより安く移動できる選択肢が生まれることになります。

値上げなのか値下げなのか。よくわからないきっぷですが、21日前発売で変更一切不可という厳しい制約は、JR東日本の半額きっぷ「お先にトクだ値スペシャル」と同水準です。路線が違うので単純な比較はできませんが、この制約でこの程度の割引率なら、使うことはないかな、というのが、筆者の個人的感想です。(鎌倉淳)

広告
前の記事函館線長万部~小樽間の存続厳しく。北海道新幹線並行在来線の収支予測公表
次の記事さようなら「肥前山口駅」。江北駅へ改称で、伝統の駅名が消える。