2018年7月の豪雨で被災し、不通が続いているJR日田彦山線に関し、JR九州が不通区間のBRT化を検討していることがわかりました。
復旧費用56億円
日田彦山線は、添田-夜明間の29.2kmが不通となっており、復旧のメドは立っていません。被災は60ヵ所以上に及び、JR九州は当初、復旧費用を70億円と試算していました。
その後、竹本橋梁を架け替えではなく補強修繕にしたり、大分県や福岡県の災害復旧事業を利用するなどして費用を圧縮。現時点で、復旧事業費は56億円とされています。
ただ、JR九州は、不通区間の被災前の収支を2.6億円の赤字と公表。巨額の復旧費用負担に難色を示しています。
鉄道以外の復旧可能性
JR九州の青柳俊彦社長は、2018年8月27日の定例会見で、「モードそのものについての見直しも案にある」と話し、鉄道以外での復旧の可能性について、踏み込んで発言しました。
産経新聞8月28日付によりますと、「きちんと維持していく方策が確認できれば、鉄道でやりたい。だが、鉄道を安全に維持するにはコストがかかる。真っ向から『一銭たりとも出さない』と言われるのは厳しい。モードの変更もある。BRTなどがある」と述べました。
自治体が費用負担に応じなければ、鉄道以外での復旧を検討することを明言したといえます。
釈迦岳トンネルを専用道に
毎日新聞8月28日付は、JR九州と沿線自治体の「協議が決裂した場合、同社はBRT化を提案する見通し」と報じました。
具体案にも触れており、「BRT化では、彦山-筑前岩屋間で釈迦岳を貫通する釈迦岳トンネル(4.3キロ)内の線路を舗装し、バス専用道路にすることを検討。現在、不通区間の代行バスは線路西側の迂回路を運行しており、同トンネルを通れば運行時間を大幅に短縮できる見通し」と記しています。
釈迦岳トンネル区間以外は、並行して県道や国道が整備されているため、一部を専用道とし、残りを一般道とするなどの経路が考えられているようです。
復旧可能性も残る
JR九州としては、上下分離や補助金投入などがなされれば、鉄道として同線を復旧させる方針を崩していません。沿線自治体との協議がまとまれば、2018年度内にも着工する姿勢もみせています。
したがって、現時点では鉄道復旧の可能性は残されています。ただ、JR九州の求めに応じて、上下分離で鉄道を存続させる場合には、自治体側に持続的な費用負担が生じます。そのため、自治体側が受け入れるにしても、調整には時間がかかるとみられます。
なんとか、両者が歩み寄って、公共の足を守る道筋を立てて欲しいところですが。