広島電鉄宇品線に延伸計画。広島港のウォーターフロントへ

車両基地も新設

広島電鉄宇品線に延伸計画が浮上しています。広島港から先、出島地区へ延伸し、車両基地も建設するという構想です。

広告

宇品線を1.2km延伸

広島電鉄宇品線は、市中心部の紙屋町電停と、宇品港旅客ターミナルに隣接する広島港電停を結ぶ5.9kmの路線です。広島駅からの1系統、5系統と、西広島からの3系統の、3つの系統が乗り入れています。

広島港電停

広島港の南西には出島地区という埋立地があり、広島県では、2019年3月に改訂した「広島港湾計画」で土地利用計画を定めています。そのなかで、出島地区の中心に近い2.7haを「交通機能用地」として確保しています。

中国新聞2019年4月27日付によりますと、広島電鉄は宇品線を1.2km延伸し、この用地に約2ヘクタールの車庫を建設するとのこと。車庫は高潮被害を防ぐために2階建てとし、延伸区間の一部を高架とします。

下図の右上、グレーの「埠頭用地」が広島港電停のあるエリアです。車庫の予定されている「交通機能用地」は下図中央です。

広電出島延伸
画像:広島港湾計画より
広告

千田車庫の機能を移転

延伸計画の詳細は不明ですが、中国新聞の報道の通りだとすれば、広島港電停から西へ軌道を延ばし、臨港道路出島2号線に沿う形で、一部高架の軌道を建設。広島特別支援学校付近に電停を新設し終点とします。途中に停留所が設けられるかはわかりません。

新たな車庫は、特別支援学校の南側に位置し、東西に細長い用地です。新車庫には、千田車庫の機能を移設する案が有力とのことです。千田車庫の跡地は再開発を探ります。

出島地区の埋め立ては2024年度までに完了する予定です。広島電鉄は同年度まで駅前大橋線の工事にかかっていることもあり、宇品線延伸はそれ以降になる見通しです。

広告

ウォーターフロント開発

港湾計画図を拡大して見ると、延伸部終点付近には「都市機能用地」や「交流厚生用地」が広く確保されています。

広電出島延伸
画像:広島市港湾計画

交流厚生用地とは、港湾を通じた人的・経済的な交流活動を推進する文化施設や、レクリエーション活動施設などに使われる土地を指します。

「広島港長期構想」(2018年9月)によりますと、広島県は出島エリアに国際的な交流拠点としての機能を持たせ、賑わい空間の創出を目指していますので、その用地でしょう。

つまり、広島電鉄の延伸は、新しいウォーターフロント開発と一体になった計画とみられます。車庫の移転計画を含むことから、実現可能性は高そうです。

まだ正式決定ではありませんが、延伸が楽しみです。(鎌倉淳)

広告
前の記事小田急電鉄はこう変わる! 新型車両5000系を導入。2019年設備投資計画
次の記事日田彦山線復旧に転機は来たか。JR九州がBRTなどを提案